ここまでのレッスンで、報告と差分を突き合わせ、指摘を仕分け、自分用のサブエージェントを作る方法を扱いました。最後のレッスンでは、これらをその場で見ていられない、長い実行にどう当てはめるかを扱います。
チェックできるものを渡す
Claudeは、作業が「終わったように見える」ところで手を止めます。何も渡さなければ、その判断材料は「見た目」しかありません。公式ドキュメントはこう述べています。
“Give Claude a check it can run: tests, a build, a screenshot to compare. It's the difference between a session you watch and one you walk away from.”
筆者訳Claudeに実行できる確認手段を渡すこと。テスト、ビルド、見比べるためのスクリーンショットなど。見ているセッションと、席を外せるセッションの違いはここにある。
テストスイート、ビルドの終了コード、デザインと見比べるスクリーンショット。合格・不合格がはっきり返ってくる確認手段さえあれば、Claudeはそれを実行し、結果を読み、通るまで自分で繰り返せます。この確認手段を渡さないまま長時間の実行を頼むことが、長く任せるときにいちばん起きやすい事故です。
確認手段を渡すときは、結果を「断言」でなく「証拠」で返させてください。テストの出力そのもの、実行したコマンドとその返り値、結果のスクリーンショットなど、自分の目で確かめられる形です。証拠を確認するほうが、自分でもう一度検証をやり直すより速く、しかも見ていなかったセッションにもそのまま使えます。
確かめの強さを4段階で選ぶ
確かめる強さは、1回の指示で済む場合もあれば、セッションをまたいで効かせたい場合もあります。強さの順に並べると、次の4段階になります。
確かめの強さ、4段階
1回の指示の中で
「実行して、通るまで直して」と1つの依頼にまとめる。今日から使える
セッションをまたいで
完了条件を/goalに設定する。別の評価役が毎ターン確認し、満たすまで続く
決定論的な関門として
Stop hookでチェックをスクリプトとして走らせ、通るまでターンを終わらせない
もう一つの意見として
検証用のサブエージェントに、自分の作業を見ずに診断だけさせる
上に行くほど、その場で1回だけ効く確認で済み、下に行くほど、見ていない時間が長い実行にも効き続ける仕組みになります。無人実行を長く任せるほど、下の段階の確かめが要るという順番で覚えておくと使いやすくなります。
無人実行ほど、独立した確認が要る
公式ドキュメントは、この原則をはっきり述べています。
“The longer Claude works unattended, the more an independent check matters before you count the work as done.”
筆者訳Claudeが無人で作業する時間が長いほど、その作業を完了と数える前の独立した確認が重要になる。
報告と差分を突き合わせるで扱った「報告は本当でも全部ではない」という見方は、無人実行では特に効いてきます。見ていた時間が短いほど、自分の記憶に頼れる部分が減るからです。確認できないなら、その作業はまだ出荷しない。この一線を持っておくと、無人実行の結果を安易に完了扱いしてしまう事故を防げます。
権限モードと組み合わせる
権限モードの選び方で扱ったAutoモードは、無人実行にも向いています。ただし、Autoモードの分類器が判定しているのは危険性であって、正しさではありません。壊れたコードでも、危険な操作を含んでいなければ通ってしまいます。
つまりAutoモードは、想定外の破壊的な操作を防ぐ安全網であって、作業の質を保証する仕組みではありません。質を保証したいなら、この安全網に加えて、Stop hookやサブエージェントによる確認を重ねる必要があります。無人実行を任せるときは、権限モードと確かめの強さを、別々の軸として両方そろえてください。
やってみよう
演習1:直近の長時間タスクを振り返る
最近、席を外して任せたClaude Codeの作業を1つ思い出してください。どの段階の確かめまで用意していたか、4段階に当てはめて振り返ってみましょう。用意していなかった段階があれば、次はどこまで足すかも考えてみてください。
演習2:次に無人で走らせる前に、チェックを1つ決める
これから無人で走らせようとしている、または走らせたい仕事を1つ思い浮かべてください。「これが通れば完了」と言えるチェック(テスト・ビルド・見比べる基準など)を1つ、具体的に決めてみましょう。
今日のまとめ
3行で振り返ります。
- Claudeは「終わったように見える」ところで手を止めるため、合否がはっきり返るチェックを渡すことが自走の条件になる
- 確かめの強さは、1回の指示・/goal・Stop hook・検証サブエージェントの4段階で選べ、無人実行が長いほど下の段階が必要になる
- 権限モードの分類器は「危険性」しか見ていない。作業の質を保証したいなら、確かめの仕組みを別に重ねる
このコースでは、探索から始まり、指示の置き場所、権限モード、報告の確かめ方、レビュー、サブエージェント、長く任せるときの確かめ方までを扱いました。次に仕事を任せるときは、どこか1つだけでも今日の習慣を試してみてください。
セルフチェック
1. Claudeに「実行できる確認手段」を渡すことの効果として、本文で説明されたものはどれですか。
2. 確かめの強さの4段階のうち、「決定論的な関門」に当たるものはどれですか。
3. Autoモードの分類器について、本文で説明された限界はどれですか。