来週、社内の勉強会で20分話すことになりました。テーマは「新しい補助金の制度」。この章では、この勉強会の資料を例に進めます。テーマは、自分の仕事に合わせて変えて構いません。
いつもの流れはこうです。チャットのAIで調べる。要点をメモにまとめる。話の順番を考える。スライドを作る。図を描く。全部で3時間。調べものはAIが速くなりましたが、残りの手作業はそのままです。
まとめて任せたら、楽になるはずです。試しに「補助金の勉強会のスライドを作って」と頼むと、それらしいスライドがすぐにできました。でも、根拠の分からない数字が混ざり、話したい順番とも違います。結局、全部を読み直すことになりました。
Step 1:一連の仕事には、節目がある
資料づくりのような仕事は、いくつかの段に分かれています。段と段の間が、節目です。
資料づくりの4つの段
調べる
何が分かっていて、根拠はどこか
組み立てる
何を、どの順で話すか
書く
スライドや文書の形にする
整える
見た目、言葉、図を直す
このように、仕事の段を順番に並べたものを、ワークフローと呼びます。
まとめて「作って」と頼むと、AIは4つの段を一気に進めます。最初の段のずれ(根拠のない数字)が、最後の段まで運ばれます。
Step 2:節目で止まって、確かめる
だから、一連の仕事を段に分けて任せ、節目ごとに止まってもらいます。
エージェントは、ネットで検索して、ページを開いて読むこともできます。そのときも、許可を求めてくることがあります。最初の段は、こう頼みます。
補助金の制度について、社内の勉強会(20分、聞き手は事務の同僚)の資料を作りたい。
まず「調べる」だけやって。ネットで調べ、要点を一覧にして、renshu/勉強会/要点.md に保存して見せて。
要点ごとに、根拠のページの URL と、そのページのどの部分に書いてあるかを付けて。
根拠が見つからない要点は「根拠なし」と書いて、一覧から消さないで。
組み立てと、スライドづくりは、私が見てから頼みます。
保存先の「.md」は、文字だけで書くメモのファイルです。見出しや箇条書きを、記号で書く書き方で、マークダウンと呼びます。テキストエディット(Windows ではメモ帳)で開けます。
ここから先は、1回に1段ずつ進めます。要点を確かめるのが次の回、組み立てとスライドがその次の回です。
第2章の「計画を見てから任せる」を、段ごとに繰り返している、と考えると分かりやすいと思います。
Step 3:節目は、3つで足りる
段の全部で止まる必要はありません。止まるのは、あとで直すと高くつく所です。
資料づくりなら、調べたあと(根拠のずれは最後まで運ばれる)と、組み立てたあと(順番を変えると全部書き直し)。この2か所に、最後の完成を加えた3つで足ります。
ここが核心
一気に最後まで任せるのではなく、一連の仕事を段に分けて任せ、あとで直すと高くつく節目で止めて確かめる。
注意
ただし、節目を増やしすぎると、手作業が戻ってくる
段ごと、ページごとに止めていたら、結局は自分で作るのと変わりません。最初は3つの節目で試し、慣れてきたら、問題の起きなかった節目を減らします。
セルフチェック
1. 勉強会の資料づくりを任せるとき、いちばん止まって確かめる価値が高い節目はどれですか?
今日のまとめ
- 一連の仕事には段があり、段の並びをワークフローと呼ぶ
- 段に分けて任せ、節目で止めて確かめる
- 節目は、あとで直すと高くつく所。最初は3つ
次の問い:AIが調べたことは、どこまで信じていい?