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Case教育他者指導系

研修医のプレゼンに「足場」を作る、Claudeで症例構造を整理する

研修医のカルテ情報をClaudeに渡し、One-linerからAssessment & Planまでの骨格を作る。プレゼン本番は研修医が話す。AIは構造の足場を組むだけ。

小児科医 / 卒後10年目 / 研修医指導担当を兼任(愛育病院)Claude7 min

効いた点

「何から話せばいい?」が消えた。フィードバックの内容が「構造」から「思考」に変わり、指導の質が上がった。体感で準備時間は半減

限界

AIが整形した骨格に乗るだけでは研修医の臨床推論が育たない。骨格を見てなぜその順序か、なぜこのProblemが上位かを必ず一緒に考えさせる

場面

朝のカンファレンス前、研修医の症例プレゼン準備に付き合う場面

入力

研修医が書いたカルテのサマリー(匿名化済み)をClaudeに渡し、One-liner〜Assessment & Planの構造化プレゼンの骨格を出力させる

状況

朝のカンファレンス前、研修医から「プレゼンどうすればいいですか」と聞かれる頻度がある。カルテの情報は揃っている。でも話す順序が整理できていない、One-linerが長すぎる、Problem Listの優先順位が曖昧、そういう「構造の問題」で30分前まで悩んでいる。

自分が付き合えるならいい。でも朝は自分の外来前の準備もある。

構造の整理は、実は机の上の作業だ。カルテのテキストがあれば、論理的な骨格は組める。そこだけAIに担わせて、自分は「骨格を見て何を考えるか」のフィードバックに集中できないか、そう思って使い始めた。

やったこと

研修医に「匿名化したカルテのサマリーをメモ帳に書いてきて」と先に頼む。個人情報を削ぎ落としたテキストができたら、それをそのままClaudeに渡す。

あなたは大学病院の指導医です。以下のカルテ情報を、朝のカンファレンスで発表できる構造化された症例プレゼンテーションに整理してください。

# カルテ情報
{{カルテの情報をそのまま貼り付け(個人情報は匿名化)}}

# 出力形式
1. One-liner(1文サマリー)
2. 主訴
3. 現病歴(OPQRST形式、pertinent positives/negatives明記)
4. 既往歴・内服薬・アレルギー
5. 身体所見(バイタル+異常所見中心)
6. 検査結果(異常値ハイライト)
7. Problem List(優先順位順)
8. Assessment & Plan(各Problemごと)

プレゼン5分以内の分量で。

返ってきた骨格を研修医と一緒に読む。ここからが本番で、AIの出力をそのまま使わせない。

自分が確認するのは以下の3点だけ。

  1. One-linerの精度: 「この患者を一文で言うと何か」が正確に圧縮されているか
  2. Problem Listの順序: 緊急度・重要度が適切に並んでいるか、AIが見落とした問題がないか
  3. pertinent negatives: 鑑別を絞るために必要な陰性所見が漏れていないか

修正を加えたら、あとは研修医に「自分の言葉で話す」よう返す。

効いたところ

  • 「何から話せばいいか分からない」という入り口の詰まりがなくなった
  • フィードバックの内容が「なぜそこから話した」「この情報をどこに置くか」という構造への指摘から、「なぜこのProblemが最初か」「この評価の根拠は」という思考への指摘に移った
  • 準備にかけていた時間が体感で半分になった
  • 研修医側の「プレゼン怖い」という心理的ハードルも少し下がった(骨格が見えているので)

限界・気をつけていること

これを続けていて一番気をつけているのは、「AIが構造を作ったから研修医が構造を考えなくなる」リスクだ。

  • 骨格はあくまで足場。足場に乗って自分で考える訓練をしないと意味がない。骨格を渡した後に必ず「なぜOne-linerはこの構造か」「Problem 1が最上位の理由は」を研修医に口で説明させる
  • プレゼン本番でAIの出力を読み上げるのは禁止。AIは準備の材料、本番は自分の言葉だけ
  • Assessment & Planの内容、特に薬剤・用量・治療方針、はClaudeの知識で出てくることがあるが、必ず施設のプロトコルと突合する。特に小児は体重換算・用量設定が施設ごとに異なる
  • カルテ情報の匿名化は研修医に徹底する。年齢・性別・主訴・バイタルの数値は使えるが、入院日・病棟番号・担当医名は不要
  • 「AIが構造化した」と指導医側が把握していないと、研修医の本来の思考を評価できなくなる。同席している他の指導医にも「今日はAIで骨格を組んでいる」と共有しておく

横展開

この「AIが骨格を組み、人間がその骨格を読んで考える」パターンは、症例プレゼン以外にも使える。

抄読会のレジュメ、勉強会の構成案、学会スライドのアウトライン、どれも「構造の問題」と「思考の問題」に分けられる。前者をAIに任せると、後者に使える時間と集中が増える。

ただし、いずれの場面でも「AIが構造を作ったから終わり」にしないことが前提だ。骨格は足場であって、建物ではない。