規程の質問係は、だいぶ頼れるようになりました。それでも、ときどき迷います。この答えは、そのまま同僚に伝えていいのか。それとも、自分で規程を開いて確かめるべきか。
迷うたびに、全部を確かめていたら、AIに任せた意味がありません。かといって、全部をそのまま伝えるのは怖い。
Step 1:基準を、先に決めておく
迷うのは、その場で考えているからです。使うか使わないかの基準を、先に決めておけば、迷う時間が減ります。
基準は、たとえばこうです。
AIの答えを採る基準(例)
出典が開ける
出典が付いていて、開いて確かめられる
版が新しい
出典の資料が、いまの版である
知っていることと矛盾しない
自分の経験や、ほかの資料と食い違わない
食い違ったら人に聞く
誰に聞くかも決めておく
1から3がそろえば、採ります。どれか1つでも欠ければ、出典を自分で開くか、4のとおり人に聞きます。この基準は、仕事によって変えて構いません。
Step 2:基準を、道具箱に書く
決めた基準は、道具箱に書いておきます。自分の言葉で書くのがこつです。人の作った基準をそのまま写すと、使う場面で思い出せません。
■ AIの答えを採る基準(規程の質問係)
・出典の条が付いていて、開ける
・目次で「最新版」になっている規程が出典
・ほかの規程と食い違わない(本物では、去年の自分の出張の実績とも合うか見る)
・合わないときは、総務の担当に聞く
Step 3:基準を、前の回の答えにかけてみる
書いた基準を、前の回で返ってきた答えにかけてみます。表の「出典」「版」「矛盾なし」は、基準の1から3です。
| 答え | 出典 | 版 | 矛盾なし | 判定 |
|---|---|---|---|---|
| 日帰りの日当は2,000円(旅費規程 第5条) | ○ | ○ | ○ | 採る |
| 海外出張の日当は:資料に無い | ー | ー | ー | 人に聞く |
| 日帰りの日当は1,500円(旅費規程 2025年版) | ○ | ✕ | ー | 捨てる |
3つ目は、前の回では返ってきませんでした。でも、目次の作り直しを忘れたり、古い版を開かせたりすると、こういう答えが返ってきます。基準があれば、出典の版を見るだけで、捨てると決められます。捨てたら、「最新版だけを開いて、もう一度答えて」と聞き直します。海外出張のように資料に無いことは、総務の担当に聞きます。
基準を持つと、どこまでAIに任せられるかが、自分で分かるようになります。基準を満たす答えは、そのまま使ってよい。満たさない答えは、確かめるか、人に回す。
これで、手元の資料だけを出典にしてAIに答えさせ、その答えを採るか捨てるかを、自分の基準で決められるようになりました。レベルマップの到達チェック「AIの答えを採る/捨てる基準を自分で持っている」が埋まります。道具箱に基準を書いたら、それがこの章の1行です。
ここが核心
AIの答えを全部信じるのでも全部疑うのでもなく、採る基準を先に決めておく。
注意
ただし、お金・人・法律が絡む答えは、基準を満たしても人に確かめる
給料、契約、処分、法律の解釈のように、間違えたときの影響が大きい答えは、基準を満たしていても、最後は担当の人に確かめます。基準は、確かめる回数を減らす道具で、責任を移す道具ではありません。
セルフチェック
1. AIの答えを採る基準を道具箱に書くとき、この回のすすめに合っているのはどれですか?
今日のまとめ
- 基準を先に決めると、迷う時間が減る
- 例:出典が開ける・版が新しい・知っていることと矛盾しない・欠けたら人に聞く
- 基準は自分の言葉で道具箱に。影響の大きい答えは、最後は人に確かめる
これで第5章は終わりです。
次の問い:第2部に進む前に、身につけておくことは?