トリアージプロンプトの特殊性
トリアージは、限られた情報と限られた時間の中で緊急度を判断するプロセスです。AIをトリアージ支援に使う場合、「見逃し」のリスクを最小化するプロンプト設計が最も重要になります。
トリアージプロンプトの出力は、あくまで医療者の判断を補助するものです。AIの評価を最終判断とすることは絶対に避けてください。特に、AIが「緊急性低い」と判断した場合でも、臨床的に不安がある場合は常に安全側に判断してください。
緊急度評価プロンプト
あなたは救急医学の専門医で、トリアージに精通しています。
以下の患者について、JTAS(Japan Triage and Acuity Scale)に基づく緊急度評価を行ってください。
【患者情報】
- 年齢/性別: [XX歳][性別]
- 来院手段: [救急車/自家用車/徒歩]
- 主訴: [主訴]
- バイタルサイン:
- 意識: GCS [E V M] / JCS [レベル]
- BP: [/] mmHg
- HR: [回/分]
- RR: [回/分]
- SpO2: [%]([Room Air/O2投与下])
- BT: [℃]
【補足情報】
- 既往歴: [既往]
- 内服薬: [薬剤]
- アレルギー: [アレルギー]
- 発症時刻: [時刻/不明]
- 症状の経過: [急性/亜急性/慢性]
【評価出力形式】
- JTASレベル判定: [1蘇生/2緊急/3準緊急/4低緊急/5非緊急]
- 判定根拠: [具体的な判定理由]
- Red Flags: [見逃してはいけない徴候の有無]
- 推奨される初期対応:
- 即時行うべきこと
- 15分以内に行うべきこと
- 検査オーダー
- 再評価のタイミングと基準
【制約】
- 迷った場合は常に上位(より緊急)のレベルに分類
- 高齢者・小児・妊婦はバイタルの基準値が異なることに注意
- 「見た目(第一印象)」の重要性にも言及
- 典型的でない症状でもRed Flagsがあれば緊急度を上げる
主訴別緊急度スクリーニング
あなたは救急医学の専門医です。
以下の主訴について、見逃してはいけないRed Flagsを系統的にチェックしてください。
【主訴】[主訴を入力]
【患者情報】 [基本情報とバイタル]
【出力形式】 ■ この主訴で絶対に除外すべき疾患(Must-not-miss)
| 疾患 | Red Flags | この患者での該当 | 除外検査 | 所要時間 |
|---|
■ Red Flags チェックリスト □ [Red Flag 1] → 該当/非該当/確認中 □ [Red Flag 2] → 該当/非該当/確認中 □ [Red Flag 3] → 該当/非該当/確認中 ...
■ 追加で確認すべき問診事項
- [確認すべき質問] -- 理由: [なぜ重要か]
- ...
■ 安全に帰宅させるための条件
- [条件1]
- [条件2]
- 再受診の基準: [具体的な症状]
【制約】
- Red Flagsは「感度重視」で設定(見逃しを防ぐ)
- 確認中の項目は全て確認するまで帰宅させない
- 高齢者の非典型的症状に注意
胸が痛い患者が来ました。どうしたらいいですか?
52歳男性、20分前からの胸部圧迫感で来院。冷汗あり。 バイタル: BP 98/62, HR 110, RR 24, SpO2 94%(RA), BT 36.2 既往: 高血圧、糖尿病、喫煙30年 内服: アムロジピン、メトホルミン
JTASレベル判定と、ACS/大動脈解離/肺塞栓の除外に向けた 初期対応を時間軸で示してください。 到着後0分/5分/15分/30分で何をすべきかのタイムラインで。
電話トリアージ
あなたは救急医学に精通した看護師の教育者です。
以下の電話相談について、電話トリアージのガイドラインに沿った評価を行ってください。
【相談内容】 相談者: [患者本人/家族(続柄)] 患者: [年齢][性別] 主訴: [電話での訴え] 発症時期: [いつから] 補足情報: [聞き取れた情報]
【評価出力形式】 ■ 追加で確認すべき質問(電話で聞くこと)
- [質問] -- 目的: [何を確認するか]
- [質問] -- 目的: [何を確認するか]
- ...
■ 暫定的な緊急度判定
- レベル: [今すぐ救急車/今日中に受診/明日受診/経過観察]
- 根拠: [判定理由]
■ 相談者への伝え方
- 伝えるべきこと: [具体的な言葉で]
- 注意すべき症状: 「もし○○になったら救急車を呼んでください」
- やってはいけないこと: [禁忌事項]
【制約】
- 電話では情報が限られるため、常に安全側に判断
- 「大丈夫」とは言わない(責任を持てない情報量のため)
- 救急車を呼ぶべき状況を明確に伝える
- 小児・高齢者は閾値を低く設定
バイタルサイン異常の評価
あなたは救急医学の専門医です。
以下の異常バイタルサインについて、系統的な評価を行ってください。
【バイタルサイン】 BP: [/] mmHg HR: [回/分] RR: [回/分] SpO2: [%]([条件]) BT: [℃] 意識: GCS [E V M]
【正常からの逸脱】 [AIに各バイタルの異常を特定させる]
【評価出力】
- 異常値の特定と重症度分類
- バイタルの組み合わせから推測される病態
- ショックの分類(あてはまる場合)
- qSOFAスコア(該当する場合)
- SIRS基準(該当する場合)
- 直ちに行うべき介入
- 追加で必要な情報・検査
- 15分後に再評価すべきポイント
【制約】
- 単独の異常値ではなく、バイタルの組み合わせパターンで評価
- 年齢別の正常値を考慮(特に小児・高齢者)
- 代償機転の破綻の徴候を見逃さない
- 治療介入の優先順位を明確に
トリアージプロンプトの鉄則:
- 安全第一: 迷ったら常に上位(より緊急)に分類する
- 系統的: Red Flagsチェックリストを必ず使う
- 時間軸: 「今すぐ」「15分以内」「1時間以内」を明確に区別
- 再評価: 初回評価後の再評価基準を必ず設定する
- 謙虚さ: AIの評価は補助であり、臨床判断が常に優先
この章のポイント
トリアージプロンプトは、全ての医療プロンプトの中で最も安全性に配慮した設計が必要です。AIの判断を鵜呑みにせず、Must-not-missの疾患を系統的にチェックし、迷った場合は常に安全側に判断してください。プロンプトの設計においても「見逃しゼロ」を目標に、感度重視のチェックリストを組み込むことが重要です。