まず結論:「いい感じに」では、いい感じにならない
AIへの指示で、いちばん多い失敗が、これだ。「いい感じにして」。
漠然と頼むと、漠然としたものが返ってくる。AIは、あなたの頭の中を読めない。「いい感じ」の中身を、あなたが言葉にしていないからだ。
指示の解像度を上げる。これだけで、返ってくるものの質が、はっきり変わる。
「どの部署に・何を・なぜ」で指示する
私が使っている型は、シンプルだ。「どの部署に・何を・なぜ」。
ぼんやり全体に頼むのではなく、担当を名指しして、具体的な作業を、目的つきで渡す。
- ✕「料金、なんとかして」
- ◯「決済の設定で、この商品を月◯円で有効にして。理由は、今月から有料化するから」
対象(どこ)、動作(何を)、目的(なぜ)。この三つが揃うと、AIは迷わない。そして、目的が分かると、あなたが言い忘れた細部まで、向こうから補ってくる。
単発の質問と、システムへの指示は違う
ここで、一つ区別しておく。
「これ教えて」という単発の質問と、自分のOSに組み込んだAIへの指示は、別物だ。前者は、その場限りの会話。後者は、記憶も技能も持った相手への、業務命令に近い。
OSへの指示は、相手が前提を分かっている分、短くて済む。でも、その短さに甘えて「いい感じに」と言うと、せっかくの前提が活きない。前提があるからこそ、最後の一点(何を・なぜ)を、はっきり渡す。
解像度は、自分の理解の鏡
おもしろいのは、指示の解像度が低いとき、たいてい自分自身が、何を求めているか分かっていないことだ。
「いい感じに」としか言えないのは、自分の中で「良し」の基準が、まだ言葉になっていないから。指示を磨くことは、自分の判断基準を磨くことでもある。AIに渡すために言葉にする過程で、自分の考えがはっきりする。
持ち帰り
- 今日出した曖昧な指示を一つ、「どの部署に・何を・なぜ」で書き直す
- 特に「なぜ(目的)」を、必ず一文添える
- うまく言葉にできないときは、それは自分の基準がまだ曖昧なサイン。そこを考える
次章は、それでも失敗するときの話だ。AIは、暴走する。前提は「失敗する」こと。大事なのは、戻り方だ。