状況
minatonは港区在住の0〜3歳児の保護者向けに、外来でよく聞かれる質問を記事化していくメディア。1人医師で運営している ので、量と質を両立させる仕組みがないと続かない。
外来でAという質問が出る→「あ、minatonに書いておこう」と思う→数週間経って忘れる、を繰り返していた。「思った瞬間に1本仕上がる」レベルまで工程を圧縮する 必要があった。
やったこと
3ステップに分けた。
Step 1: 質問ストック
外来後に1行メモで「今日聞かれた質問」を残す。週末に5〜10件たまる。例:
- 「夜泣きはいつ収まるのか」
- 「離乳食をなかなか食べない」
- 「予防接種の同時接種は安全か」
Step 2: Claudeで下書き
質問1つに対して、以下を投げる。
あなたは小児科外来医、おかもん先生として書きます。
以下のテーマでminaton記事(港区在住の0〜3歳児の保護者向け)を書いてください。
テーマ: [質問]
条件:
- 1500〜2000字、ですます調
- 絵文字なし、**太字多用なし、「AI時代の〜」枕詞なし
- 医学的主張には [要出典] とマーキング
- 「過剰に安心させない・過剰に不安にさせない」のバランス
- 最後に「外来で相談すべきサイン」を3点
Step 3: 医療ファクトチェック
[要出典] マーキングされた箇所をPubMed APIで原文検索し、エビデンス強度別に書き換える。
- RCTがあれば「研究では〜」と書く
- ガイドライン記載があれば「日本小児科学会のガイドラインでは〜」
- 専門家の意見レベルなら「一般的に言われているのは〜」と弱める
- 該当エビデンスがなければその主張ごと削る
このFCを通過した記事だけpublish。
効いたところ
- 週3本ペース、年100本以上を 1人で 維持できている
- 外来で「それminatonにも書いてあるから持ち帰って読んでみてください」と渡せるようになった
- 同じ質問への説明時間が外来全体で短縮
- 記事の医学的正確性が「自分の記憶で書いた時」より上がった(PubMed突合する分)
限界・気をつけていること
患者教育メディアは間違ったことを書くと害が大きい。FC工程は絶対に省かない。
- エビデンス強度: AI出力は「断定的に書きがち」。RCT 1本を「研究によれば」と書くか「複数の研究で確認されており」と書くかで意味が変わる。原文を見て調整する
- 古い情報: Claudeの参照は学習データ時点のもの。最近改訂されたガイドライン はAI出力を信用しない(予防接種・救急対応など)
- 記事末尾の「相談すべきサイン」: ここはAIに任せず必ず自分で書く。患者安全に直結するため
- 読者像: 港区子育て層という特定読者を意識しているか、毎回確認する。「一般論」になると刺さらない
- おかもん先生トーン: AI出力は時々「丁寧すぎる」「説教くさい」になる。読み直して肌感で削る
横展開
メルマガ、日経メディカル連載、書籍の章、講座の教材など、「自分の主張+エビデンス」型の文章 はすべて同じパイプラインで回せる。質問ストック→下書き→FC→公開、の3工程に分解できれば、AIで圧縮できるのは下書き工程だけ。FCと「自分の主張」工程は人で担保する。