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Case外来判断補助系

外来で「これは何だろう」と迷ったとき、Claudeに鑑別を投げる

慢性咳嗽、反復する腹痛、原因不明の発熱、確信が持てない場面でAIに鑑別リストを出させ、自分の見落としを確認する使い方。

小児科医 / 卒後10年目 / 中規模総合病院(愛育病院)Claude7 min

効いた点

「考えた順番通りのリスト」ではなく想定外の疾患を拾う確率が上がった。体感で週1〜2回、自分の頭にない選択肢が出てくる

限界

AIは自分が学習していない稀少疾患は出せない。また、診察前から方向性を決めていると確証バイアスが乗ったまま投げてしまう。最終判断は必ず医師

場面

外来診察中に鑑別診断が固まらず、見落としを確認したい場面

入力

主訴・現病歴・バイタルをClaudeに渡し、Critical/Common/Rareの3段階で鑑別リストを生成。自分の想定外が1〜2個含まれているか確認する

状況

先週、3歳の慢性咳嗽で来た児の診察に少し迷った。2ヶ月続く湿性咳嗽、アレルギー歴なし、受動喫煙なし、抗生剤を1コース使ったが改善しない。自分の頭では気道感染遷延とアレルギー性咳嗽が軸にあったが、「これで網羅できているか」という感覚が残った。

そこで待合が落ち着いた隙に、Claudeに鑑別を投げた。返ってきたリストに「胃食道逆流症(GERD)」が含まれていた。幼児の慢性湿性咳嗽でGERDを外来で系統的に考えた記憶が、その瞬間はなかった。

小児外来での判断ミスの多くは「正しく診断した疾患が別の疾患の陰にあった」ではなく「そもそも候補に入っていなかった」ことによると感じている。AIに鑑別を出させる目的は「診断を任せる」ことではなく、「自分が候補から外したものを戻してもらう」ことだ。

やったこと

外来PCのClaudeに以下のテンプレを常駐させてある。診察後の数分で埋めて送る。

あなたは熟練した総合診療医です。以下の小児症例の情報をもとに、
鑑別診断リストを作成してください。

# 症例情報
- 主訴: [主訴を入力]
- 現病歴: [発症からの経過、随伴症状、経過中の治療反応を時系列で]
- 既往歴: [既往疾患、服薬歴、アレルギー]
- バイタルサイン: 体温__°C、脈拍__/分、呼吸数__/分、SpO2__%

# 出力形式
1. Critical(見逃してはいけない疾患): 3つ
2. Common(頻度の高い疾患): 3つ
3. Rare(稀だが考慮すべき疾患): 2つ

各疾患について、この症例で疑う根拠と、除外するために必要な追加情報を
1〜2行で記載してください。

注意: この出力は診断の補助です。最終判断は必ず医師が臨床所見と合わせて行ってください。

慢性咳嗽の件では、現病歴に「就寝後も咳嗽あり、食後に増悪するエピソードが1回」と書いて送った。それがGERDのフラグになった。自分が診察中に聞いていた情報だったが、鑑別の軸として活性化していなかった。

返ってきたリストを全部採用するわけではない。「Criticalに喉頭がんが入っているが3歳では現実的でない」という判断は常に医師が行う。リストを見ながら「なぜこれが入っているか」を考えるプロセス自体が、自分の思考の精査になる。

効いたところ

  • 「自分の頭の中だけで鑑別を回す」より、想定外の疾患を1〜2個拾う確率が上がった
  • 体感で週1〜2回、「あ、その軸を忘れていた」という疾患が出てくる
  • Criticalの枠に入るか確認するだけで、見逃しリスクの高い疾患を意識的に除外できる
  • 現病歴を言語化して入力するプロセス自体が、情報の整理になっている

限界・気をつけていること

  • AIは学習データに含まれていない稀少疾患を出せない。「出なかった疾患が否定された」わけではない
  • 診察前に「おそらくXだろう」と思っていると、確証バイアスが乗ったまま入力してしまう。出力もその方向に偏ることがある
  • バイタルや現病歴の入力が不正確だと、Critical の構成が大きく変わる。入力情報の精度が出力の質を決める
  • AIが出した根拠(「就寝後の咳嗽があるためGERDを考慮」)は参考であり、エビデンスではない。追加の臨床確認が必要
  • 入力に患者氏名・生年月日・カルテ番号を含めない。症例情報は匿名化してから渡す

「AIが鑑別した」ではなく「医師が、AIでリストを補完してから判断した」という線は常に引いておく必要がある。

横展開

同じパターンは、反復する腹痛(過敏性腸症候群と機能性腹痛と器質疾患の分岐)、原因不明の発熱(感染症以外の炎症疾患)、発達の遅れ(環境要因と器質疾患の混在)でも使える。外来で「方向性は出たが完全には固まらない」と感じる場面がこの使い方の適所だ。