状況
小児科外来で、アトピー性皮膚炎の乳児を連れてきた初診の保護者の多くが「ステロイドが怖い」と訴える。同じ説明を1日に3〜4回繰り返すことになり、説明の質が午後になると落ちる感覚があった。
minaton(港区子育て情報サイト)にはすでに「ステロイド外用薬の使い方」記事があるが、初診の場でいきなり「この記事を読んでください」では距離が遠い。外来の文脈に合わせた300字の説明文を、その場で渡す形にしたかった。
やったこと
Claudeに以下を渡した(テンプレ化して外来PCに常駐させている)。
あなたは小児科外来の医師です。
アトピー性皮膚炎の初診で来た乳児(生後6ヶ月)の保護者が
「ステロイドが怖い」と訴えています。
保護者向けに、ステロイド外用薬への不安を和らげる説明文を300字で書いてください。
条件:
- ですます調、専門用語を避ける
- 「皮膚のバリアを守るために、医師の指示通りの量と期間で塗ることが大事」を要点に
- 過剰な安心も、過剰な不安喚起もしない
- 「もし不安があれば次回受診で必ず相談を」で締める
返ってきた300字をそのまま読むのではなく、外来でその児の所見(範囲・重症度)に合わせて口頭で1〜2文補い、紙にして渡す。同時にminatonの該当URLをQRコードで貼って、家でも再確認できる導線にする。
効いたところ
- 説明の所要時間が 約8分から3分 に短縮された
- 保護者の表情が「処方されただけ」から「理解して持ち帰る」に変わった
- 外来後に電話・メールで来る同じ質問(「やっぱり塗ってもいい?」)が減った
- 紙を持ち帰ることで、家族間(祖父母など)の意思疎通も補助される
限界・気をつけていること
AIに任せきりにできない場面は明確にある。
- 重症例: 顔面の広範な紅斑、滲出液、感染合併があるケースは、AI出力の標準テンプレでは情報が足りない。必ず医師が再構成する
- 合併症: 食物アレルギー疑い、喘息既往などがあれば、ステロイドの説明だけでは不十分
- 記録: 渡した300字は外来カルテにコピペ添付している。「AI生成文を使用」と明記し、後で同じ説明を再現できるようにしている
「AIが説明した」のではなく「医師が、AIで素材を整えてから説明した」という線を引いておくのが大事だと思っている。
横展開
この型は他疾患でも使える。喘息の吸入指導、便秘の生活指導、夜尿のNot-Yet説明など、「繰り返す説明」かつ「個別性は中程度」 な領域は同じパターンで効率化できる。