状況
SRの一次スクリーニング(abstract review)は、200〜500件の論文を1件あたり1〜2分で「include / exclude」判定する作業。判断は単純だが量が多い。研究の進行を遅らせる最大のボトルネックがここだった。
PICOを明確に決めていれば、abstractレベルでの判定はかなり機械的にできる。ここを人だけで進めるのは、もうコストに見合わない。
やったこと
PubMed APIで検索結果のabstractを取得し、Claudeに以下を渡した。
以下は LLM×患者教育 のRCT検索で得た abstract 一覧です。
各論文について、以下のPICOへの適合性を判定してください。
P: 一般人(患者・家族・健康成人)
I: LLMによる教育介入
C: 通常教育 or LLMなし
O: 知識・理解・満足度・行動変容のいずれか
出力フォーマット (JSONL):
{"pmid": "...", "decision": "include|exclude|borderline", "reason": "..."}
[abstract 一覧]
返ってきたJSONLを表に展開して、
- exclude: 8割。例「動物実験」「LLMでなくChatbotルールベース」「outcomeが安全性のみ」
- include: 1割。abstractレベルで明確に適合
- borderline: 1割。abstractからは判定できない
人手レビューは include + borderline の40件だけ に集中させた。
効いたところ
- 一次スクリーニング全体の所要時間が 約1/3 になった
- AI判定の reason 列が記録に残るので、後から「なぜexcludeしたか」を再現できる
- 二次スクリーニング(full text review)に労力を温存できた
限界・気をつけていること
研究の信頼性に関わるので、ここはAIに任せない一線を引いている。
- 境界症例: borderline 判定は人手で必ず再判定する。AI判定をそのまま採用しない
- 2名独立判定: PRISMA準拠のSRなら、最終的なinclude/excludeは2名のreviewerが独立で行う必要がある。AIは「reviewer」ではなく「一次フィルタ」と位置づける
- 方法欄への明記: 論文の方法セクションに「LLM (Claude) による一次スクリーニング後、2名のreviewerが独立で判定」と必ず書く。隠さない
- 記録: AI判定のJSONLは生データとして保存し、再現可能にしておく
- 個人情報: PubMedのabstractに個人情報は含まれないので比較的安全だが、別データセットで臨床データを扱う場合は別の管理が必要
横展開
二次スクリーニングの一部(除外基準の機械的判定)、リスクオブバイアス評価の下書き、データ抽出のテンプレ整形など、SRの中の機械的工程 はどれもこのパターンで効率化できる。ただし最終判定は人。