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レッスン 4 / 12|12分で読めます

Dynamic Workflows(動的ワークフロー) コードで統べる

Claudeが自分で工程表のスクリプトを書き、それをランタイムが実行する。数百体規模の仕事はここでしか回らない。

一行でいうと

Claudeがその場で工程表(スクリプト)を書き、ランタイムがそれを実行して数十〜数百体のエージェントを動かす仕組みです。合言葉は ultracode

コードになった工程表が大量の処理と検証を動かす仕組み

工程をコードにすると、大量の反復と検証を同じ型で回せます。


何が新しいのか

新しいのは、Claudeが仕事のやり方そのものをコードとして書き出すようになったことです。

前のレッスンまでは、判断はすべてその場のClaudeが下していました。ターンごとに「次はこれ」と考える。人数が5人なら回りますが、100件のタスクではもう無理です。

Anthropicの公式記事は、この変化をこう表現しています。

Claude can now write its own harness on the fly, custom-built for the task at hand. (Claudeは今や、目の前の仕事のために特注の"馬具"をその場で自分で書けるようになった)

ループも分岐も、そのコードの中にあります。公式ドキュメントはこう言い切っています。「ワークフローとは、計画をコードに移すことだ」。

新しいと言っても、この発想そのものに元ネタがあります。Anthropicが2024年12月に公開した設計指針「Building Effective Agents」です。

そこでAnthropicは、workflowとagentという2つの言葉を分けて定義しました。workflowは、あらかじめ決めたコードの経路に沿ってLLMとツールを動かす仕組み、agentは、LLM自身がその場で自分の進め方とツールの使い方を決めていく仕組み、と整理しているとされます。前のレッスンまでのClaudeは、判断をターンごとに自分で下すagent型でした。Dynamic Workflowsは、そのagentが自分の手でworkflowを書き、実行はコードに委ねるという、両者をつなぐ形だといえます。


仕組み: 計画がコードになる

ultracodeと打つと、4段階を経て結果だけが返ってきます。

大事なのは最後です。ループの途中経過はスクリプト側が持ち、Claudeの会話には最終結果だけが残ります。だから100件処理しても、会話は汚れません。

この4段階の骨格は、Building Effective Agentsが挙げた5つの型のうち、Orchestrator-workersパターンをそのまま受け継いだものです。原典が挙げる5つの型は、順に処理を渡すPrompt chaining、内容で振り分けるRouting、並列に走らせるParallelization、中央のLLMがタスクを動的に分解して割り振るOrchestrator-workers、生成と評価を往復させるEvaluator-optimizerです。このうちOrchestrator-workersが、Dynamic Workflowsの直接の祖先だといえます。中央のLLMがタスクを分解し、ワーカーに配り、結果をまとめるという骨格が、設計・展開・実行・回収の4段階とそのまま重なるからです。

Claude Code
$

ultracode このフォルダの記事120本すべてを事実関係の誤りがないか監査して。見つけた指摘は別のエージェントに反証させて、生き残ったものだけ報告して

/effort ultracode と打てばセッション全体の既定にもできますが、そうすると全タスクでワークフローが検討されてトークン消費が跳ね上がります。普段はプロンプトに合言葉を混ぜる方式で十分です。


Agent Teamsとの違いは「誰がプランを持つか」

違いは一点だけです。誰がプランを持つか。ここが最も混乱しやすいポイントです。

チームはその場で相談して決める。工場は先に決めた工程表のとおりに流れる。どちらが優れているかではなく、仕事の形で選びます。


規模と限界

数十〜数百体という規模には、明確な上限があります。

  • 1回の実行で数十〜数百体
  • 同時に走るのは16体まで、1回の合計は1,000体まで
  • 25体を超えるか、見込み150万トークンを超えると警告が出る

ただし警告は出るだけで、止まりません。読むのは人間の仕事です。


数を質に変える「疑う役」

定石は、独立したエージェントに互いの発見を敵対的にレビューさせてから報告させることです。数百体を走らせると量は稼げますが、もっともらしい間違いも同じだけ増えるからです。

作る役の成果物を、疑う役の2体が独立に検証し、直す役が修正してから報告する流れ図
作る役と疑う役を分ける。疑う役は「これを潰せるか」だけを考える

働く人にはおなじみの構造です。ダブルチェックと査読。作った本人に確認させるのではなく、疑うことだけが仕事の別人を立てる。規模が大きくなるほど、この分離が効いてきます。


よくある誤解と罠

罠1: 何でもワークフロー化する

いちばん高くつく誤用です。1つの依頼が複数のワークフローに化け、トークンが最重量になります。大型の横断改修・徹底監査・多面リサーチのときだけ、と決めておくのが安全です。

罠2: 警告を無視する

25体超・150万トークン超の警告は、止まらないぶん自分で判断する必要があります。「この仕事に、人を雇っていたらいくらかかったか」を基準にすると判断しやすくなります。

罠3: 検証を付けずに数だけ増やす

これが最悪の組み合わせです。間違いも同じ倍率で増えます。数を増やすなら、必ず疑う役をセットにする。


使いどころ

向いているのは、量と横断性がものを言う仕事です。

  • 過去に書いた記事・スライド全部を横断して、記述の矛盾を洗い出す
  • 大量の資料を一定の観点で仕分けし、独立に検証させてから結論を受け取る
  • 自分の教材全体を通しで監査する(1本ずつのチェックでは見つからない矛盾が出る)
  • 四半期がかりの大規模なコード移行やリファクタリングを、後回しにせず片づける

3つ目が特に価値があります。1本ずつのファクトチェックでは、記事どうしの矛盾は原理的に見つかりません。横断で見て初めて分かります。

4つ目は、規模がものを言う効果を最も端的に示す例です。Claude Code作者のBoris Chernyは、この変化をこう述べています。

VoicesX POST

Big migrations and refactors are some of a team's most important work, and the easiest to push off to a “better time” since they'd tie up engineers for a quarter. With dynamic workflows, Claude can now land that kind of work in days or weeks.

筆者訳

大規模なマイグレーションやリファクタリングは、チームにとって最も重要な仕事の一つでありながら、エンジニアを1四半期拘束してしまうために「もっと良いタイミングで」と先送りされがちな仕事でもある。Dynamic workflowsを使えば、その種の仕事をClaudeが今や数日から数週間で仕上げられる。

Boris ChernyClaude Code作者・Head of Claude CodeX(旧Twitter)2026年5月28日x.com/bcherny/status/2060048879274414090

エンジニアを1四半期拘束していた仕事が、数日から数週間に縮む。数を扱えることの実際の価値は、ここに表れています。


今日のまとめ

  • Dynamic Workflowsは、Claudeが工程表を書き、ランタイムが数百体を動かす仕組み
  • Agent Teamsとの違いは「誰がプランを持つか」。会話で協調か、コードで統制か
  • 数を増やすなら疑う役を必ず付ける。検証なしの規模拡大は間違いも増やす
SourceDOCUMENTATION
Dynamic Workflows 公式ドキュメント

ultracodeの起動、規模の上限、Agent Teams・Subagentsとの公式比較表。

Webcode.claude.com
code.claude.com/docs/en/workflows

ここまでが「誰に判断を持たせるか」の4階層。次からは、その外側で支える仕組みを見ていきます。