このレッスンで終わる頃には
- Geminiを 自分の1日の中でどう使うか がイメージできる
- ChatGPT / Claude / NotebookLM / Gemini の使い分けが整理されてる
NotebookLMとの連携、これが最強
GeminiとNotebookLMは同じGoogleのエコシステム。連携させると効果が跳ね上がる。

実践の流れ
- Geminiで最新情報を検索 → 見つけた論文をDriveに保存
- NotebookLMでDriveのPDFを読み込み → 引用付きの質問応答
- Geminiで音声・スライド化 → Canvas機能で編集
dadada先生(救急科専攻医)はこの連携を 「NotebookLM + Drive synergy」 と呼んで、Gemini課金の主要理由に挙げています [1]。
NotebookLMの「音声オーバービュー」を移動時間に効かせる
NotebookLMには 資料を対話形式のラジオ音声に変換する機能 があります。
院内勉強会の資料、学会のプログラム冊子、長い症例検討のスライドなど 「読む時間が取れないが頭には入れたい資料」 を入れて、対話形式の音声で出力する。通勤・移動・運動中に イヤホンで一気にインプット できます。
(NotebookLMに資料一式を入れて)
このノートブックの内容を、対話形式の音声で要約してください。
聞き手にとっての臨床的なポイントを軸に。
会議の前後で特に効きます。
- 事前:分厚い議題資料を音声化 → 移動中に把握
- 事後:録音から議事録を作り、決定事項とアクションを抽出 → 次回資料の骨組みに
「資料を読む時間を音声で買い戻す」、これが地味に大きい。
Canvas機能でスライドの下書きを作る
GeminiのCanvas機能では、スライド構成案を作ってGoogleスライドに移して微調整 という流れが組めます。
(資料・論文を渡した上で)
院内勉強会用のスライド構成案を10枚以内で作って。
各スライドのタイトル、キーメッセージ、根拠とする論文を表形式で。
最後に Google スライド形式で書き出して。
最初から完璧なスライドを作らせず、「骨組みをAIで、化粧は自分で」 が現実的。テンプレ化されたスライドのレイアウト調整は人がやった方が早いし、ブランドの一貫性も保てます。
LearnLM: 医学教育に特化したモデル
あまり知られてないけど、Googleは 教育特化モデル LearnLM を出してます [2]。
50のシミュレーション医学教育シナリオと290の医学生との会話で検証:
- 医師教育者の評価: ベースモデルより 教育性+6.1%、「良い家庭教師のよう+6.8%」
- 学生の評価: 楽しさ+9.9%
専門医試験対策、初期研修、学生指導 に今後使われていく。動向は押さえておく価値あり。
Geminiが一番効く場面、4つ
1. 最新情報のキャッチアップ
今月発表された小児の食物アレルギーに関する主要な論文を3つ教えて。
日本語で要約して、PubMedのリンクもつけてください。
Search Grounding で最新情報を取りに行ってくれる。
2. 動画の要約
{YouTube URLを貼る}
この学会シンポジウム動画を要約してください。
演者ごとの主張を箇条書きで。
英語の学会動画も 日本語で要約 してくれる。留学代わりになります。
3. メールの整理
今週の未読メールのうち、研究関連だけリストアップして。
返信が必要なものに★をつけて。
Gmail検索+分類 が一発。
4. スライドの下準備
Driveの「気管支喘息」フォルダにある論文3本から、
院内勉強会用のスライド構成案を作って。
各スライドのタイトルとキーメッセージ。10枚以内で。
Drive + 構成案生成 で、勉強会準備の時間が激減します。
もう一歩踏み込んだ活用術カタログ
ここからは「メインの4場面」だけだとこぼれる、細かい活用術 を並べておきます。全部やる必要はなく、自分の生活・診療スタイルに刺さるものから1つずつ。
A. 出張・学会の「今日の自分」を組み立てる
地方出張、学会、研究会、当直入りで日々動線が変わる人向け。
今日と明日の予定について、Gmail と Google カレンダーから
以下を1ページにまとめて:
- 移動(飛行機・新幹線の便、出発時刻、到着時刻、座席)
- 宿泊先(ホテル名、住所、チェックイン時間)
- 会場(学会会場の住所、徒歩ルート、最寄駅)
- アポ(時間、相手、場所、アジェンダ)
最後に Google ドキュメントに書き出して、リンクを返して。
毎朝これを走らせると、「今日どこに行けばいいか」が一画面で分かる ようになります。
B. 学会会場近くの作業カフェを口コミから絞る
{学会会場住所} から徒歩10分以内、星4.0以上で、
口コミに「電源あり」「Wi-Fi」「静か」のいずれかが書かれているカフェを
5つリストアップして。営業時間と所要徒歩時間も。
学会のスキマ時間に 資料を仕上げたい時、論文を読みたい時 に。海外学会でも同じプロンプトが効きます。
C. 大きなキャリア決断の壁打ち相手にする
開業、転職、留学、専門医取得、副業、ライフイベント。
私は卒後10年目の小児科医で、現在は総合病院勤務。
今後3年で「開業」「大学院進学」「製薬企業転職」のいずれかを
選ぶとしたら、それぞれの想定キャリアパスと、向き不向きの判断軸を
比較表で出して。
最後に「私が見落としていそうな選択肢」も2つ追加して。
ポイントは 「見落としを聞く」 こと。AIは肯定寄りに寄せるので、見落としを能動的に引き出す質問を必ず添える。
D. クリニック経営・副業の事業計画を詰める
都内エリアでオンライン診療メインの小児皮膚科クリニックを開く構想。
- ターゲット患者層(年齢・症状・地理)
- 想定単価と月間必要患者数(売上目標〇〇円から逆算)
- 競合(既存オンライン診療サービス)の強み・弱み
- 差別化ポイントの候補
- リスク(規制・集患・運営)
を整理して。
そのあと、この計画の「弱点」を厳しい視点で5つ指摘して。
事業計画 → 自己批判 → 修正、の 3ターン回す とブラッシュアップが進みます。
E. Gem機能に「自分の前提」を保存する
毎回「私は〇〇科の医師で、診療スタイルは〜」と書くのは面倒。Gem(カスタム)機能 に保存しておけば、それが常に効きます。
(Gemの設定欄に書く例)
あなたの相手は、卒後12年目の小児科医・岡本。
- 港区の総合病院で外来・病棟・救急を担当
- AI医療プロダクト開発も並行(minaton, Hoshizu)
- 文章は短く、断定を避け、根拠を求める
- ハルシネーションがありそうな時は「自信度」を10段階で添えて
回答時は、上記前提に沿って、専門用語OKで簡潔に。
これで 毎回の状況説明をスキップ できます。研究用、診療用、執筆用などGemを分けて作っておくと便利。
F. 口調・スタイルをミラーリングさせる
Geminiは こちらの書き方に合わせて返してくる 性質があります。
- カジュアルに書けば、カジュアルに返ってくる
- 学術調で書けば、学術調で返ってくる
- 方言で書けば、方言が混ざって返ってくる(精度はムラあり)
これを使って、
(学会発表用の原稿を学術調で書きたい時)
以下の主張を、学術発表のスクリプト調で展開して。
冗長な敬語は避け、淡々と事実と根拠を積む。
(患者向け説明文を平易にしたい時)
以下の医学用語を含む説明を、小学校高学年でも分かる言葉に
書き直して。比喩は1つだけ使ってOK。
「どう返してほしいか」をプロンプトの冒頭にトーンの例で示す と命中率が上がります。
G. 当直明け・忙しい日の食事を冷蔵庫から組む
冷蔵庫にあるもの:鶏むね肉300g、ブロッコリー1株、卵5個、
玉ねぎ2個、米2合分、納豆3パック。
- 当直明けで疲れているので、調理時間20分以内
- 高タンパク・低脂質寄り
- 2日分(昼・夜)×2日のメニューを設計して
- 食材を使い切る配分にして
注意点:冷蔵庫からのレシピ提案は 食材の配分ミスが起きやすい という比較報告があります(初日に肉を全消費するなど)[3]。「使い切り配分」を明示する と精度が上がります。
H. 患者教育素材のたたき台
6歳児の保護者向けに「気管支喘息の長期管理」を説明する文を作って。
- A4 1枚
- 専門用語は最小限、出てくる時はカッコ書きで易しく言い換え
- 吸入手技のチェックリストを最後に添える
- 受診の目安(緊急受診・予約受診)を分けて書く
そのまま使うのではなく、たたき台を取り、自分の言葉で削り込む のが基本ルールです。
I. 議事録 → 次回会議資料への展開
(録音から起こした議事録テキストを渡した上で)
この議事録から、
1. 決定事項
2. 保留事項(誰が・いつまでに判断するか)
3. アクションアイテム(担当者と期限)
4. 次回会議の議題候補(3つ)
を抽出して。最後に、次回会議用のスライド構成案を5枚で。
会議の 後片付けと次回準備を一気通貫 で済ませる流れ。Canvasと組み合わせるとそのままスライドの骨組みまでいけます。
J. プレゼンの「練習相手」として質問させる
以下のスライド構成で、AMPL Vibe Coding 101 の30分講演を行います。
{構成テキスト}
聴衆(卒後5年目の医師、AI初心者)から出そうな
「鋭い質問」「困る質問」「典型的な誤解からくる質問」を
それぞれ3つずつ作って。各質問への模範回答も添えて。
本番前に 想定問答を一気に作れる。学会発表、院内勉強会、講演、いずれにも効きます。
プロンプトのコツ:3点だけ押さえる
Geminiから良い答えを引き出すコツは、突き詰めると3つに集約できます。

① 質問の意図を伝える
「何のために聞いているか」を一文添える。
(悪い例)SGLT2阻害薬について教えて。
(良い例)腎機能低下のある2型糖尿病患者にSGLT2を導入する判断材料が欲しい。
効果と注意点を、外来で5分の説明に使える形でまとめて。
② 状況を伝える
相手のAIには 冷蔵庫の中身が見えていない という前提で書く。
(悪い例)今日の昼ごはん何にしよう。
(良い例)冷蔵庫に鶏もも肉400g、玉ねぎ2個、卵5個、米1合分。
30分で作れる、塩分控えめのメニューを2品提案して。
医療文脈なら、患者背景・現在の処方・診療科・想定する読み手などが「状況」にあたります。
③ 議題本文のセンテンスを必ず1つ用意する
議題そのものを 完結した一文 で言い切る。これがないと、Geminiは語句ひとつひとつに対する解説を始めてしまうことがあります。
(議題本文の例)
「2025年改訂の高血圧治療ガイドラインで、家庭血圧の評価基準がどう変わったか、
プライマリケア医が外来で押さえるべき変更点を3つに整理してください。」
「相手は人間だと思って書く」、これが3点を貫く根本ルールです。
+α:厳しいフィードバックを引き出す
Geminiは基本「肯定的にこちらの願いに寄せる」傾向があります。これだと精度が頭打ちになる。
この計画に対して、厳しい視点で指摘してください。
弱点・抜けている観点・前提が崩れた時のリスクを挙げてください。
この説明文に対して、不足している情報を質問形式で5つ挙げてください。
逆質問させる とブラッシュアップの精度が一段上がります。事業計画、研究プロトコル、患者向け説明文、いずれにも効きます。
+α:時間軸を変えて聞く
1つの時間断面でしか見ていない回答を、フェーズで切り直す。
このアプリのターゲットを、リリース直後・半年後・1年後で
どう変えていくべきか、フェーズごとに分けて提案して。
「最初はこの層に刺し、半年で隣接層へ広げる」のような 段階展開の設計 が引き出せます。
+α:AIで作った感を最終調整する
Geminiが出した文章は、そのままだと 「AIっぽい構造」 が透けて見えます。
- 箇条書きが過剰
- 「〇〇は重要です」のような安全寄りの定型句
- 強弱がなく一様
最後に自分の手で、削る・並び替える・自分の言葉に置き換える。素材は丸投げ、化粧は自分で が現実的なバランスです。
4つのAI、使い分け完全版
ここまでAMPL LearnでNotebookLM・ChatGPT・Claude・Geminiを紹介してきた総まとめ:
| やりたいこと | おすすめ | 理由 |
|---|---|---|
| ガイドライン引用付き検索 | NotebookLM | 資料内だけで答える、ハルシネーション最小 |
| 論文をポッドキャスト化 | NotebookLM | 音声オーバービュー |
| 退院サマリー・紹介状 | ChatGPT | GPTsでテンプレ化、即戦力 |
| 患者説明文 | ChatGPT | 平易な文章が得意 |
| カスタムGPTsでツール化 | ChatGPT | ノーコードで |
| 長文論文の批判的読解 | Claude | 100万トークンの文脈保持 |
| 論文Intro/Discussion草稿 | Claude | 文章の質が最高 |
| インタラクティブツール(Artifacts) | Claude | HTMLアプリ作成 |
| 最新情報のウェブ検索 | Gemini | Search Grounding |
| 画像+テキスト質問 | Gemini | マルチモーダル |
| Google連携(Drive/Gmail/YouTube) | Gemini | エコシステム一体化 |
| 文献の横断調査 | Gemini Deep Research | 自動調査+レポート |
| 鑑別診断の壁打ち | どれでもOK | 複数に聞いて比較 |
結論: 1つに絞らなくていい
目的で使い分けるのが正解。全部無料で始められて、本気で使うやつだけ課金していけばいい。
おすすめの課金順序(僕の場合):
- Claude Pro(文章作業が多い)
- ChatGPT Plus(GPTsとDeep Research)
- Gemini Advanced(Drive連携でストレージも)
まとめ
- Gemini + NotebookLM + Drive の三点セットが 最強
- 最新情報、動画要約、メール整理、Drive連携 が効く場面
- NotebookLMの 音声オーバービュー で資料を移動時間に音声化
- Canvasで スライドの骨組み生成 → Googleスライドで化粧
- 細かい活用術カタログ:日次ブリーフ/カフェ探し/キャリア壁打ち/経営計画/Gem設定/口調ミラー/献立/患者教育/議事録展開/プレゼン練習相手
- プロンプトのコツは 意図・状況・議題本文の3点 + 厳しい逆質問・時間軸切り
- 4つのAIは 1つに絞らず使い分ける
- まず触って、自分の診療スタイルに合うやつを見つける
次のステップ
AMPL LearnのAIツール入門コース、ここまでで:
- NotebookLM — ガイドラインと論文の知識ベース
- ChatGPT — 文書作成とカスタムGPTs
- Claude — 長文読解と論文執筆
- Gemini — Google連携と最新情報検索
まだ触ってないツールがあれば、1つずつ試してみてください。全部使いこなす必要はない。自分の診療スタイルに合うのが見つかれば、それで十分です。
明日のアクション
今週中に1つ、Geminiの得意技を試してください。候補:
- Drive連携で自分の論文フォルダから要約
- 学会のYouTube動画を日本語要約
- 今週のGmailから「研究関連だけ」抜き出し&返信忘れ抽出
- 検査結果のスクショをアップして解釈
- Googleマップの口コミから学会会場近くの作業カフェ5選
- NotebookLMで院内勉強会資料を音声オーバービュー化、通勤で聞く
- Gemに「自分の前提(科・経験年数・文体好み)」を保存
- 当直明けの2日分メニューを冷蔵庫から逆算
一度使うと、「ChatGPTとは別物」ということが実感できるはず。
参考文献
- dadada@救急科専攻医. note.com/it_shogakusei_er, 2025.
- Google Research. LearnLM for health professions education. 2025.
- 日経トレンディ. 「生成AI Gemini vs ChatGPT 7番勝負」特集. 2026年4月号.
