セクション1: トークン化とは何か
テキストの分割
トークン化(Tokenization)は、テキストを小さな単位(トークン)に分割する処理です。AIはテキストを直接理解するのではなく、トークン単位で処理します。
トークン化の3方式
単語単位
各単語が1トークン(例:「患者」「診断」)
部分単語単位
単語をさらに分割(例:「診断」→「診」「断」)。現在の主流
文字単位
各文字が1トークン。あまり使われない
医療用語のトークン化
医療用語は一般的な単語よりも長く、複雑になりがちです。「急性心筋梗塞」は複数のトークンに分割され、「2型糖尿病」は「2」「型」「糖尿病」などに分かれることがあります。この分割のされ方によってAIの理解のしやすさが変わるため、医療用語を扱う場面ではトークン化の癖を意識しておくと、想定外の解釈のずれに気づきやすくなります。
セクション2: コンテキストウィンドウ
一度に処理できる情報量
コンテキストウィンドウは、AIが一度に処理できるトークン数の上限です。数年前は数千トークンが一般的でしたが、世代が進むごとに拡大し、本稿執筆時点(2026年)では主要モデルで20万〜100万トークン級が珍しくありません。具体的な数値は更新が速いので、使うモデルの最新仕様を確認してください。
コンテキストウィンドウの目安(2026年時点)
小型・軽量モデル
数千〜数万トークン
主要な汎用モデル
20万トークン前後
長文特化・最新世代
100万トークン級
医療文書での影響
症例報告書や診療記録は数千から数万トークンになることがあります。コンテキストウィンドウを超える場合は分割が必要で、重要な情報を最初に配置することが有効です。長い文書をあらかじめ要約してから渡す方法も併用できます。
セクション3: トークン数の見積もり
日本語と英語の違い
英語では1単語が約1.3トークン、日本語では1文字が約0.5〜1トークン(文字の種類による)に相当します。
日本語医療文書のトークン数目安
短い診断書(500文字)
約250〜500トークン
症例報告書(5,000文字)
約2,500〜5,000トークン
診療記録(20,000文字)
約10,000〜20,000トークン
トークン数の確認方法
ChatGPTでは入力の文字数から概算できます。Claudeはトークン数を表示してくれるため、より正確に把握できます。APIを使う場合は正確な数を計算できるため、業務で繰り返し使う文書テンプレートがあれば一度計算しておくと見積もりが速くなります。
セクション4: コンテキストウィンドウの最適化
効率的な情報の配置
診断名や主訴など重要な情報を最初に配置し、冗長な情報を削り、構造化すると処理効率が上がります。
長い文書の処理
コンテキストウィンドウを超える長い文書を一度に投げると、AIは途中で情報を落としたり、後半の一貫性を保てなくなったりします。そうならないために、次の3つの方法があります。
長い文書を扱う3つの方法
分割
複数の部分に分け、個別に処理してから結果を統合する
要約
まず要約版を処理し、必要に応じて詳細を参照する
重要部分の抽出
最も重要な部分だけを抽出して処理する
セルフチェック
1. トークン化(Tokenization)とは何ですか?
2. コンテキストウィンドウが医療文書の処理に与える影響として正しいものはどれですか?
3. 日本語の医療文書のトークン数を見積もる際、500文字の短い診断書はおよそ何トークンになりますか?
明日のアクション
明日、普段作成している医療文書(診断書、紹介状、症例報告書など)の文字数を確認し、それぞれがおよそ何トークンに相当するか見積もってみましょう。使用しているAIツールのコンテキストウィンドウサイズと比較し、長い文書を扱う際の戦略を考えてみてください。