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ログインを、今の常識で作る

「複雑なパスワードを定期変更」はもう古い。NIST最新版(SP 800-63B-4)とパスキーを軸に、2026年基準のログインを設計する。

  • レッスン 6 / 15
  • 7分

このレッスンで

終わる頃には、次ができるようになります

  • NIST新基準で複雑性と定期変更の強制が廃止され長さと漏洩照合が重視されると説明できる
  • パスキーがフィッシングを原理的に防ぐ仕組みをパスワード方式と使い分けられる
  • 自分のアプリより先にSupabase・Vercel・GitHubの管理アカウントにMFAを設定できる

「記号と大文字を混ぜて8文字以上、90日ごとに変更」。多くの病院の情報システムで、いまも現役のルールです。

ところが、世界標準である米国NISTのガイドライン(SP 800-63B、2025年7月に第4版確定)は、複雑性の強制と定期変更の強制を、どちらも廃止しました。人間はそのルールの下では弱いパスワードを作るというエビデンスが理由です。

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旧常識と新基準の対照表

比較

パスワードの旧常識 vs NIST SP 800-63B-4(2025年確定)

論点旧常識現行基準
複雑さ記号・大文字・数字を強制強制しない(長さのほうが効く)
長さ8文字あればよい最低8文字、15文字以上を推奨
定期変更90日ごとに強制変更強制しない(漏洩の兆候があった時だけ変更)
チェック形式チェックのみ既知の漏洩パスワード一覧と照合して弾く

強制された人間は P@ssw0rd! のような、規則は満たすが予測しやすいパスワードを作ります。効くのは複雑さでなく長さです。短く複雑な文字列より、長いパスフレーズのほうが総当たりに強い。

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それでも本命は、パスワードをなくすこと

現行基準がいちばん推しているのは、良いパスワードではなくパスキー(passkey)です。端末の中の秘密鍵と、指紋や顔認証を組み合わせてログインする仕組みで、利用者は何も暗記しません。

フィッシングへの強さ

パスワード

偽サイトに騙されて入力すれば盗まれる。防御は利用者の「気をつける」頼み。

パスキー

本物のサイトのドメインと紐づいており、偽サイトではそもそも動作しない。「仕組み上できない」防御。

SupabaseやClerkなどの認証サービスは、パスキーやMagic Link(メールのリンクでログイン)を設定で選べます。AIへの指示はこうです。

「ログインはパスワードではなく、パスキー対応(なければMagic Link)で実装して。パスワードを使う場合は、最低8文字・複雑性要件なし・漏洩パスワードリストとの照合ありで」

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忘れがちな2つのドア

忘れがちな2つのドア

1

管理画面そのもの

SupabaseやVercelの自分自身のアカウント。ここが破られるとRLSも環境変数も金庫ごと持っていかれる。対策はMFA(多要素認証)。Supabase公式の本番チェックリストも、利用者向け設定より先に「まず自分の管理アカウントにMFAを」と書いている

2

パスワードの使い回し

利用者は他サービスと同じパスワードを使い回す。他所で漏れたパスワードで正面からログインされる(リスト型攻撃)。これが漏洩パスワードとの照合が基準に入った理由

明日のアクション

今日中にやる3点

  1. Supabase・Vercel・GitHubの自分のアカウントにMFAを設定する(アプリより先に自分)
  2. 自分のアプリのログイン方式を確認し、パスキーまたはMagic Linkへの移行をAIと検討する
  3. パスワードを残す場合、「複雑性強制・定期変更強制」が入っていたら外す(長さと漏洩照合に置き換える)

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セルフチェック

1. NIST SP 800-63B-4(2025年確定)のパスワード基準として正しいのはどれ?

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次のレッスン

ドアの守りはできました。次回は、ドアから入ってくるものの話です。利用者の入力欄も、AIの出力も、信用した瞬間に武器になります。インジェクションという古典と、プロンプトインジェクションという新顔をまとめて扱います。

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参考・出典

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