このレッスンの一行サマリ
勘で直す=暗闇の手術。レントゲン(=データ)を取って、いちばん大きな穴を1個ずつ塞ぐ。
このレッスンで終わる頃には
- 「勘で直す」と「データで直す」の違いが分かる
- ファネル分析で穴を1つ見つけて、仮説→改善まで1サイクル回せる
- ABテストの本質と、ソロ開発で現実的にできる範囲が分かる
勘で改善するのは、レントゲンなしの手術
公開して、MCPで数字が見えるようになりました。
ここで多くの人が、こう思います。
なんとなく、ここを直したらいい気がする。
これがいちばん危ない。
Shin氏の比喩がすごく的確だったので引用します(医療職の方には特に刺さるはずです)。
例えるならば、人間が病気にかかって、その病気を直しましょうと。 ですけど病気の原因分からないから、とりあえず片っ端しから、ここかなみたいなちょっと感覚で なんか手術始めたりとか、お薬処方したりとか、そういったことをやってたわけです。
ですけど、そういった病気を直すにはまずはその人に問診をして、 例えばレントゲン取ったりとか、体温測ってみたり、血圧測ってみたり、 それで、ここなんじゃないかなっていう当たりをつける。
ソロプレナー入門の動画 より。
これ、アプリ改善でも同じです。データを取らずに直すのは、暗闇で手探りの手術と同じ。
アプリ改善も診療と同じ
- 問診なし/検査なし
- 何が原因か分からないまま手を動かす
- 当たれば嬉しいが、ほぼ運任せ
- 直したつもりが悪化することも
- ファネル分析で穴を見つける
- 仮説 → 最小変更 → 数日見る
- 良くなったら採用、ダメなら戻す
- 1サイクル毎に学びが残る
ファネル分析の基本
ファネル(Funnel)= ロート。アプリ内で、ユーザーが下に進むほど数が減っていく構造のことです。
例:
ランディングページ訪問 1000人 ████████████████████
↓ (80% 離脱)
新規登録 200人 ████
↓ (50% 離脱)
初回利用 100人 ██
↓ (90% 離脱)
有料プラン 10人 ▌
このとき、いちばん大きな穴 がどこかが見えれば、改善のインパクトが最大化されます。
「LP→新規登録の80%離脱」を 80%→60%に減らせれば、登録ユーザーは2倍になる。「初回利用→課金の90%離脱」を 90%→80%にしても、課金ユーザーが2倍になる。
全部直す必要はない。いちばん大きな穴を1個ずつ。
仮説を立てる3パターン
ユーザー目線でなぞる
自分が詰まる場所を想像
他社と比較
「自社だけ違う」を探す
Claudeに分析させる
MCPでデータ+HTMLを渡す
仮説の立て方
穴が見つかったら、次は 「なぜ離脱してるか」の仮説。
仮説の立て方は3パターン。
パターン1:ユーザーの気持ちに想像力を働かせる
「LP→新規登録で80%離脱」を見て、自分がそのユーザーだとしたら、
- 「メールアドレス入力が面倒」
- 「何ができるのか分からない」
- 「料金が不明」
- 「個人情報を取られそうで怖い」
このうち1つが原因と仮定して、そこを直してみる。
パターン2:他のサービスと比較する
同じ機能を提供してる他社サイトを5つ見て、自分のサイトと比べてみる。
- 認証は何ステップか?
- LP に何が書いてあるか?
- ボタンの色・文字は?
「自社だけ違う」部分が、たいてい穴の原因です。
パターン3:Claude Code に分析させる
これがいちばん早い。MCPで取ったデータを Claude Code に渡して:
このファネルデータと、自分のサイトのページHTMLを見て、 どこに離脱の原因がありそうか仮説を3つ出してください。
これで、自分が思いつかない角度の仮説が出てきます。
改善の例
仮説ができたら、最小限の変更で試します。
例1:LP→新規登録の離脱が多い
| 仮説 | 改善 |
|---|---|
| 認証フォームが面倒 | Google認証だけにする |
| 何ができるか分からない | LPの上部に「これができます」を3行で |
| 料金が見えない | 料金プランをLPに表示 |
例2:初回利用→継続の離脱が多い
| 仮説 | 改善 |
|---|---|
| オンボーディングが弱い | 初回起動時に1分のチュートリアル |
| 価値を実感する前に詰まる | サンプルデータをデフォルトで入れる |
| 次に何していいか分からない | CTA(次の行動)ボタンを明示 |
例3:課金転換率が低い
| 仮説 | 改善 |
|---|---|
| 料金が高い | 月額を3割下げる |
| ボタンの文字が弱い | 「申し込む」→「今すぐ始める」 |
| 価値が伝わってない | 課金前に成功体験を1個渡す(無料クレジット等) |
Shin氏は「マイクロコピー(小さな文言)の修正だけで売上が1.3倍になることもある」と言ってます。コードに大変更を加えなくても、直せる場所はたくさん あります。
ABテストの本質と、ソロ開発の現実
「ABテスト」をご存知の方も多いかもしれません。
理想は、1箇所だけ変えて、他を全部固定して、数週間置いて、結果を比較する こと。
ただ、ソロ開発では現実的に難しいです。
理由:
- 1箇所だけ変えるのに数週間かけると、その間アプリが進化しない
- そもそもユーザー数が少ないので統計的有意差が出にくい
- 他の機能も並行で改善したくなる
なので 「厳密なABテスト」ではなく「テストマーケティング」 くらいの精度で進めるのが、ソロ開発の現実です。
仮説を立てる → 直す → 数日見る → 良くなった気がしたら採用、ダメなら戻す
これでも、勘で直すよりは100倍ましです。
PDCAループの作り方
┌─────────────────────────┐
│ ↓
[Plan] [Check]
仮説を立てる 数字で結果を見る
↓ ↑
[Do] [Act]
最小限の変更 採用 or 戻す
│ ↑
└─────────────────────────┘
これを 毎週のルーティン にします。
| 曜日 | やること |
|---|---|
| 月 | MCPで先週のデータを見る(10分) |
| 月 | いちばん大きな穴を1個特定 |
| 月 | 仮説を3つ立てる |
| 火-木 | 仮説1つを実装して公開 |
| 金 | 1週間データを見るために放置 |
| 翌月 | 結果を確認、次のサイクルへ |
これを 3〜6ヶ月続ける と、初期からは別物のアプリになります。
逆に「公開して数字を見ない」と、3ヶ月で諦めることになります。改善ループ=ソロ開発の生命線です。
モチベーションの話
ここまで読んで、「データ分析って地味だな」と思った方。
正解です。実際、地味です。
ただ、Shin氏も動画で言ってましたが、仮説が当たったときの嬉しさが、ゲームみたい でハマります。
「あの仮説のおかげで離脱が3%下がった」 → 月の売上が3万円から3.5万円に → 自分の判断が数字に効いた
これが、給与で1万円上がるのを待つよりずっと早く、自分でコントロールできる。
ソロ開発の隠れた楽しみは、ここにあります。
今日の宿題
Lesson 06でMCPを繋いだあなたへ。
データが1週間以上溜まってきたら、
- ファネル分析で いちばん大きな穴 を1つ特定
- その穴の原因仮説を3つ立てる(自分で / Claude Codeに頼んで)
- 仮説1つを最小限のコード変更で試す
- 1週間後、数字が動いたか確認
公開直後でデータがまだ少なければ、Lesson 09の「広げる」が先かもしれません。柔軟に。
次のレッスン予告
最後の Lesson 09 は 同僚・家族・地域に広げる。
公開して改善ループが回り始めたら、次は人を呼ぶ段階です。SEO・SNS・口コミ、ソロ開発でできるマーケティングを軽く扱います。
完成したらお知らせします。
明日のアクション
今日の宿題は4ステップ
Lesson 06でMCPを繋いだ後、データが1週間以上溜まってから:
- ファネル分析で いちばん大きな穴 を1つ特定
- その穴の原因仮説を3つ立てる
- 仮説1つを最小限のコード変更で試す
- 1週間後、数字が動いたか確認
データがまだ少ない場合は、Lesson 09の「広げる」を先にやって、ユーザーを増やしてからこのループに戻るのもアリです。柔軟に進めてください。
