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臨床意思決定支援プロンプト

診断・治療の意思決定を支援するプロンプトパターン。リスク評価スコア、治療選択のフレームワーク、臨床判断の構造化。

臨床意思決定とAI

臨床意思決定は、不確実性の中で最善の選択を行うプロセスです。AIは、エビデンスの整理、リスクスコアの計算、治療選択肢の比較など、意思決定の構成要素を支援できます。ただし、最終的な判断は常に医師の責任です。

リスク評価スコアの活用

プロンプト

あなたは循環器内科の専門医です。

以下の患者について、該当するリスクスコアを計算し、臨床的解釈を行ってください。

【患者情報】 [年齢、性別、バイタル、検査結果、既往歴を入力]

【実施してほしいこと】

  1. この患者に適用可能なリスクスコアを全て列挙
  2. 各スコアの計算結果を示す(各項目の点数と合計)
  3. スコアの臨床的意味を解説(リスクカテゴリ、予後予測)
  4. スコアに基づく推奨アクションを提案
  5. スコアの限界点(このスコアでは評価できないリスク因子)

【出力形式】 ■ [スコア名1]

項目患者の値点数
.........
合計: ○点 → リスクカテゴリ: ○○

臨床的意味: [解説] 推奨アクション: [具体的に]

【制約】

  • 計算過程を明示すること
  • スコアの原著論文を参照
  • 日本人データでの妥当性検証の有無を付記
  • スコアの限界と注意点を含めること
BeforeAfter

治療選択の意思決定フレームワーク

プロンプト

あなたは[診療科]の専門医で、エビデンスに基づく治療選択に精通しています。

以下の患者について、治療選択肢の比較と推奨を行ってください。

【患者情報】 [患者の臨床情報]

【比較する治療選択肢】 A: [治療法A] B: [治療法B] C: [治療法C](該当する場合)

【比較項目】 以下の各項目について、各治療法を比較してください:

比較項目治療A治療B治療C
有効性(エビデンスレベル)
安全性(主な副作用)
この患者への適合性
患者のQOLへの影響
費用(概算/保険適用)
治療期間・侵襲性
ガイドライン推奨度
この患者でのリスク

【最終推奨】

  • 第一選択とその根拠
  • 第一選択が不適/無効の場合の代替案
  • 患者と共有すべき判断ポイント
  • Shared Decision Making で患者に伝えるべき情報

【制約】

  • エビデンスレベルを各推奨に付記
  • この患者の個別リスク因子を考慮
  • ガイドラインと臨床的判断が異なる場合はその理由を説明

Shared Decision Making 支援

プロンプト

あなたは[診療科]の専門医で、患者中心の意思決定に力を入れています。

以下の臨床場面について、Shared Decision Making(SDM)に使える資料を作成してください。

【臨床場面】 [治療選択が必要な場面の記述]

【出力形式: Decision Aid(意思決定支援ツール)】

  1. 今、決める必要があること(1文で)

  2. 選択肢の説明 ■ 選択肢A: [治療名]

    • どんな治療か(3行以内)
    • 期待できる効果(具体的な数字で)
    • 起こりうるリスク(100人中○人の割合で)

    ■ 選択肢B: [治療名] [同様の構成]

    ■ 選択肢C: 積極的な治療を行わない場合 [予想される経過]

  3. 考えるべきポイント

    • あなたにとって大切なことは? □ 治療効果を最大にしたい □ 副作用をできるだけ避けたい □ 生活への影響を最小限にしたい □ 費用を抑えたい
  4. よくある質問 Q: [想定される質問1] A: [回答]

【制約】

  • 患者が理解できるリテラシーレベル2で記述
  • 数字は「100人中○人」の形式で統一
  • 特定の選択肢に誘導しない中立的な表現
  • 患者の価値観を尊重する姿勢を反映

臨床判断の構造化

プロンプト

あなたは総合内科の指導医です。

以下の臨床シナリオについて、あなたの臨床判断の思考過程を Think-Aloud(声に出して考える)形式で展開してください。

【シナリオ】 [臨床シナリオの記述]

【思考過程の展開】

  1. 第一印象: 「この症例を見て最初に思うのは...」
  2. 情報の吟味: 「特に気になる所見は...なぜなら...」
  3. パターン認識: 「この所見の組み合わせは...を示唆する」
  4. 仮説の生成: 「考えるべき仮説は...」
  5. 仮説の検証: 「仮説Aを支持するのは...否定するのは...」
  6. 不足情報の特定: 「判断のために追加で必要な情報は...」
  7. リスク評価: 「最も危険なシナリオは...」
  8. 暫定的判断: 「現時点での私の判断は...その根拠は...」
  9. アクションプラン: 「次に行うべきは...」
  10. 再評価の基準: 「○○の結果が出たら方針を再検討する」

【制約】

  • 各ステップで思考の根拠を明示
  • 不確実性がある部分は率直に述べる
  • 認知バイアスの可能性にも言及
プロンプト

あなたは臨床推論の教育者で、認知バイアスに精通しています。

以下の臨床判断について、認知バイアスが影響していないかチェックしてください。

【症例】 [症例情報]

【私の判断】 [自分の臨床判断を記述]

【チェックしてほしいバイアス】

  1. Anchoring bias(係留バイアス): 最初の情報に引きずられていないか
  2. Availability bias(利用可能性バイアス): 最近見た症例に引きずられていないか
  3. Premature closure(早期閉鎖): 十分な鑑別をせずに診断を決めていないか
  4. Confirmation bias(確認バイアス): 自分の仮説を支持する情報だけ見ていないか
  5. Framing effect(フレーミング効果): 情報の提示のされ方に影響されていないか

各バイアスについて、この症例での可能性を評価し、 バイアスを回避するための具体的なアドバイスをください。

AIは意思決定を「支援」するものであり、「代替」するものではありません。特にリスクスコアの計算では、AIの計算結果を必ず手動で検算してください。AIは計算ミスをすることがあり、臨床判断に使うスコアの誤計算は重大な結果を招きます。

この章のポイント

臨床意思決定支援プロンプトは、リスク評価、治療選択の比較、Shared Decision Making、認知バイアスチェックの4つの型を使い分けてください。AIの最大の価値は、エビデンスの整理と構造化にあります。最終的な判断は常に臨床医が行い、AIの出力は「情報整理のツール」として活用してください。