まず結論:一人のAIに、全部やらせない
OSの最初の部品は、役割分担だ。
私は、AIを一体で使っていない。二つの役に分けている。司令塔と、相棒。
- 司令塔:考える側。何を作るか設計し、方向を決め、最後に成果物をレビューして、責任を持つ
- 相棒:手を速く動かす側。決まった作業を、黙々と片づける
なぜ分けるのか。考える仕事と、手を動かす仕事は、得意な道具が違うからだ。一体でやらせると、どちらも中途半端になる。
私の場合:設計はClaude、仕上げはCodex
具体的に言う。私の司令塔は、Claude。相棒は、Codexというもう一つのAIだ。
役割の線引きは、ざっくり「七割と三割」。
- 七割まで(司令塔):全体の設計、何を作るかの判断、粗い組み立て、文章やトーンの判断、そして最終レビュー
- 残り三割(相棒):細かい仕上げ、エラー潰し、決まったパターンの一括適用、地味な手直し
おもしろいのは、いちばん難しそうな「最後の仕上げ」を相棒に振ること。土台さえ正しく組めていれば、仕上げは「決まった作業」になる。決まった作業は、速い手に任せたほうがいい。
あなたの場合:道具は一つでも、役は分けられる
「二つもAIを使うのは大変そう」と思うかもしれない。道具の数は、本質ではない。役を分ける、という発想が本質だ。
たとえば、あなたが弁護士なら。
- 一つのやり取りで「この案件の争点を整理して、戦略を立てて」と考えさせる(司令塔)
- 別のやり取りで「この条項を、この型に揃えて」と作業させる(相棒)
頭を切り替えるのと同じで、AIにも「いま考える役」「いま手を動かす役」を割り振る。混ぜないだけで、出力が安定する。
鉄則:同じ場所を、二人で同時に触らせない
役を分けると、一つだけ注意が要る。同じ対象を、二つのAIに同時にいじらせないこと。
同じ書類を二人が別々に直したら、どちらが正か分からなくなる。だから私は、相棒には必ず「別の作業場(コピー)」で作業させ、終わったら司令塔が中身を確かめて、本体に取り込む。
並走させても、作業場は分ける。これが、混乱を防ぐ唯一のコツだ。
持ち帰り
- 次の仕事で、「考える」と「手を動かす」を別々のやり取りに分けてみる
- 手を動かす側には、判断を求めない。「これをこう揃えて」と作業だけ渡す
- 同じものを、二つのAIに同時にいじらせない。作業場を分ける
次章は、その「考える頭」と「動かす手」に、どれくらいの賢さを割り当てるか。賢さにも、コストがある。