まず結論:全部に、最高性能を使わない
AIには、賢さの段階がある。同じブランドの中でも、速くて安いものから、深く考えるが高いものまで、何段階か用意されている。
ここで多くの人がやる失敗が、何でもいちばん賢いやつを使うこと。気持ちはわかる。でも、これはお金と時間を捨てている。
賢さは、タダではない。いちばん賢いモデルは、軽いモデルの十倍以上のコストがかかることもある。雑用に最高性能を使うと、月の費用が静かに跳ねる。
三段で考える
私は、仕事を三段で振り分けている。
| 段 | 役割 | 向く仕事 |
|---|---|---|
| 速い頭 | 目と手 | 探す、一覧する、整形する、確認する。判断の要らない作業 |
| 主力の頭 | 実装の主力 | 決まった仕様を形にする。普通の調べ物、普通の文章 |
| 深い頭 | 設計と判断 | 失敗が許されない判断。事実確認、戦略、最終レビュー |
判断のフローは単純だ。
- これは「考える」より「作業」か? → 速い頭
- 違うなら、失敗したときのコストは高いか? → 高い:深い頭 / そうでもない:主力の頭
雑用は速い頭。普通の仕事は主力。間違えると痛いところだけ、深い頭。これだけで、速さとコストのバランスが取れる。
例:同じ記事でも、工程で頭を替える
一本の医療記事を作るときでも、私は工程ごとに頭を替える。
- 大量の過去記事を横断して探す → 速い頭
- 構成の下書き → 主力の頭
- 医学的な事実確認(エビデンスとの突き合わせ)→ 深い頭
全部を深い頭でやると、遅くて高い。全部を速い頭でやると、事実確認で事故る。工程に、賢さを合わせる。
あなたの場合:モデルの段を、意識して選ぶ
普段使っているAIにも、たいてい「速いモード」と「賢いモード」がある。無意識に、片方だけ使っていないだろうか。
要約や整形は、速いモードで十分。込み入った判断や、間違えられない確認のときだけ、賢いモードに上げる。この切り替えを意識するだけで、待ち時間も費用も減る。
持ち帰り
- いま使っているAIに、何段階のモデルがあるか確認する
- 今日の仕事を「作業/普通/間違えたら痛い」の三つに仕分ける
- それぞれに、速い・主力・深い、を割り当てる
次章は、頭に「記憶」を持たせる話。AIは、放っておくと毎回忘れる。