まず結論:自由を広げるほど、止め方が要る
ここまで、AIにどんどん任せてきた。記憶を持たせ、技能を仕込み、勝手に発火させた。
任せる範囲が広がると、その分、事故ったときの被害も広がる。だからOSには、アクセルと同じくらい、ブレーキの設計が要る。
私の方針は、はっきりしている。アクセルは広く、ブレーキは固く。
アクセル側:調べる・作るは、ほぼ自動で許す
私はAIに、かなり広い自由を渡している。調べ物、ファイルの読み書き、コマンドの実行、ブラウザの操作。この辺りは、いちいち許可を求めさせず、自動で進ませる。
ここで毎回止まっていたら、速さが死ぬ。やり直せる作業は、どんどん任せていい。
ブレーキ側:三つの安全装置
問題は、やり直せない操作だ。ここにだけ、固いブレーキをかける。私は三つの装置を組んである。
| 装置 | 役割 |
|---|---|
| 凍結 | 触られたくない大事なファイルに鍵をかけ、AIが書き換えられないようにする |
| 権限 | 何を自動で許し、何を許さないかを、あらかじめ線引きしておく |
| 事前確認 | 不可逆な一手の前で、必ず人間に「やっていいか」を聞かせる |
この三つで、「広い自由」と「重大な事故の防止」を、両立させる。
鉄則:不可逆と外部送信は、必ず人間が踏む
線引きの基準は、覚えやすい一つに集約できる。
取り返しがつくか、つかないか。 そして、自分の中だけで完結するか、外に出ていくか。
- 消す、本番に公開する、メールを送る、お金を動かす ── これは必ず、人間が最終ボタンを押す
- 調べる、下書きする、整える ── これは任せていい
AIがどれだけ「大丈夫です」と言っても、不可逆と外部送信だけは、自分の指で確認する。ここを規律にしておくと、安心して、残りの全部を任せられる。
持ち帰り
- 自分の仕事で「やり直せない操作」を書き出す(削除・公開・送信・支払い)
- それ以外は、思い切って、任せる範囲を広げる
- 「やり直せない/外に出る」一手の前では、必ず自分が確認する、と決める
次章は、ブレーキの効いた安全な土台の上で、こちらが起動すらしなくても勝手に回る層を、作る話だ。