まず結論:書き手と、編集を分ける
専門職の仕事には、たいてい「書く」が含まれる。報告書、提案、論文、発信。私の場合は、連載、メルマガ、患者向けの記事。量が多い。
書くをAIで回すコツは、一つ。書き手と、編集を分ける。一人三役を、まとめてやらせない。
- 書き手:方向に沿って、下書きを起こす
- 編集:トーンを整え、事実を確かめ、削る
- 署名:最後に、自分の責任で世に出す
この三役を意識して回すと、文章の質が安定する。
なぜ、書くことだけ特別扱いするのか
私は、ほとんどの作業をAIに広く任せている。でも、ライティングだけは、別のルートを通している。理由は二つ。
一つ、トーンの事故。文章には、書き手の固有の温度がある。それが崩れると、読者は一発で「これはこの人じゃない」と気づく。だから、文章は崩れにくい専用の通し方をして、最後に必ず自分の目を入れる。
二つ、帰属の漏れ。他人の考えや言葉を、自分のもののように書いてしまう事故。これは、専門職として最もやってはいけない。だからこそ、書くルートには「出典を確かめる」工程を、はっきり組み込む。
便利さを最優先しない。わざと一手間かける。看板に関わるものは、それでいい。
例:自分の編集部を、持つ
私は、自分の中に小さな「編集部」を持っているイメージで回している。
下書きが上がってきたら、トーン担当が温度を直し、校閲担当が事実を当たり、最後に編集長である私が、出すか戻すかを決める。全部AIにやらせる工程もあれば、私が直接やる工程もある。
一人で書いていた頃より、速い。そして、品質が安定した。属人的な気分の波が、工程に吸収されるからだ。
鉄則:他人の知見は、必ず帰属する
これは、文章を扱うすべての専門職への、いちばん固い鉄則だ。
他人の考え・データ・言葉を借りたら、必ず「誰の」かを明示する。AIは、出どころを曖昧にしたまま、もっともらしい文章を出してくる。だからこそ、人間が止める。引用なら出典を、人の説なら名前を、必ず添える。
速く大量に書けるようになったときほど、ここが緩む。緩ませない。
持ち帰り
- 次の文章仕事を、「下書き/編集/署名」の三役に分けて回す
- 看板に関わる文章は、最後に必ず自分の目を入れる(丸投げしない)
- 借りた知見には、必ず出どころを添える
次章は、その「確かめる」を、根性でなく仕組みにする話だ。数百件のチェックを、どう機械に回すか。