まず結論:手を渡しても、判断は渡さない
この本の最初から最後まで、一本の線が通っている。最後に、それをもう一度なぞって終わる。
手は渡す。判断は、渡さない。
調べること、書くこと、作ること、整えること。手の仕事は、惜しみなくAIに渡してきた。でも、「何を・なぜやるか」「何を良しとするか」という判断だけは、一度も手放さなかった。この線が、ぶれなければ、AIはどこまでも頼れる相棒になる。ぶれた瞬間、あなたはただ、機械の出力に従う人になる。
見る力は、人間に残る
判断の根っこにあるのは、「見る力」だ。
AIは、情報をいくらでも出す。でも、その中で「何が大事か」「何かおかしい」「これは美しい」と気づく力は、人間に残る。私はこれを、知覚と呼んでいる。
おもしろいのは、AIが何でもやってくれる時代になるほど、この見る力が、希少になることだ。出力は無限に湧く。だからこそ、その中から「これだ」と一つを選び取る目が、価値を持つ。たくさん作れることより、正しく見られることのほうが、これからは効いてくる。
見る力は、訓練できる。それはまた、別の一冊で書いた。ここでは、こう言うにとどめる。AIに手を任せた先で、あなたが磨くべきものは、速さではなく、見る力だ。
あなたが、操縦桿を握り続ける
第1章で、アイアンマンのスーツの話をした。スーツがどれだけ強くても、操縦するのは中の人間だ、と。
本書は、そのスーツの組み立て方だった。司令塔と相棒、記憶、技能、ブレーキ。どれも、あなたの力を桁違いに増幅する装備だ。
でも、装備は装備でしかない。どこへ飛ぶか、何のために飛ぶか。それを決めるのは、最後まで、中のあなただ。
操縦桿だけは、ぜったいに、離さない。
持ち帰り
- 自分の仕事で「これだけは渡さない」判断を、一つ言葉にする
- 出力の量ではなく、「正しく見て、一つを選ぶ」ことに、意識を向ける
- 装備は増やしていい。操縦桿だけは、自分が握る
本編は、ここまで。最後に、短い「おわりに」を置く。