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第22章 知覚と主権

手を渡しても、判断は渡さない。見る力(知覚)と主権は、人間に残る。

まず結論:手を渡しても、判断は渡さない

この本の最初から最後まで、一本の線が通っている。最後に、それをもう一度なぞって終わる。

手は渡す。判断は、渡さない。

調べること、書くこと、作ること、整えること。手の仕事は、惜しみなくAIに渡してきた。でも、「何を・なぜやるか」「何を良しとするか」という判断だけは、一度も手放さなかった。この線が、ぶれなければ、AIはどこまでも頼れる相棒になる。ぶれた瞬間、あなたはただ、機械の出力に従う人になる。

見る力は、人間に残る

判断の根っこにあるのは、「見る力」だ。

AIは、情報をいくらでも出す。でも、その中で「何が大事か」「何かおかしい」「これは美しい」と気づく力は、人間に残る。私はこれを、知覚と呼んでいる。

おもしろいのは、AIが何でもやってくれる時代になるほど、この見る力が、希少になることだ。出力は無限に湧く。だからこそ、その中から「これだ」と一つを選び取る目が、価値を持つ。たくさん作れることより、正しく見られることのほうが、これからは効いてくる。

見る力は、訓練できる。それはまた、別の一冊で書いた。ここでは、こう言うにとどめる。AIに手を任せた先で、あなたが磨くべきものは、速さではなく、見る力だ。

あなたが、操縦桿を握り続ける

第1章で、アイアンマンのスーツの話をした。スーツがどれだけ強くても、操縦するのは中の人間だ、と。

本書は、そのスーツの組み立て方だった。司令塔と相棒、記憶、技能、ブレーキ。どれも、あなたの力を桁違いに増幅する装備だ。

でも、装備は装備でしかない。どこへ飛ぶか、何のために飛ぶか。それを決めるのは、最後まで、中のあなただ。

操縦桿だけは、ぜったいに、離さない。

持ち帰り

  • 自分の仕事で「これだけは渡さない」判断を、一つ言葉にする
  • 出力の量ではなく、「正しく見て、一つを選ぶ」ことに、意識を向ける
  • 装備は増やしていい。操縦桿だけは、自分が握る

本編は、ここまで。最後に、短い「おわりに」を置く。