雑に聞いたら、雑に返ってくる
ChatGPTに「糖尿病について教えて」って聞くと、教科書的な概要が返ってきます。悪くはない。でも、使えるかと言うと微妙。
「患者説明に使いたい」「鑑別診断したい」「保険の事前承認レター書きたい」。目的に合った答えを引き出すには、聞き方にコツがあります。

基本の型: Role / Task / Format
医師向けのリソースで広く推奨されている3点セットです。型の体系的な解説は AIへの「聞き方」の技術(全5回)に譲り、ここではChatGPTですぐ使える形だけ押さえます。
- Role(役割): どういう立場で答えてほしいか
- Task(タスク): 具体的に何をしてほしいか
- Format(出力形式): どういう形で返してほしいか
例
Role: あなたは小児科専門医として回答してください。
Task: 3歳男児、発熱・咳嗽・喘鳴の症例について、
ウイルス性細気管支炎を疑う場合の簡潔な臨床ノートを作ってください。
Format: SOAP形式で、各セクション3行以内にまとめてください。OpenAI公式Academy(260名以上の医師が監修)でもこの構造が推奨されてます [1]。
この3要素を揃えるだけで、出力の質が別物になります。
実践プロンプト集(コピペで使える)
1. 退院サマリーの要約
以下の退院経過記録を200字以内で要約し、
(1) 主診断 (2) 主治療 (3) 退院後指示
を箇条書きで出力してください:
{匿名化したカルテ本文}恵寿総合病院ではこのパターンで要約時間を67%削減 [2]。
2. 患者説明文
JAMAの研究では、GPT-4が退院サマリーを Grade 11 → Grade 6.2 まで読みやすくした実績あり [3]。「小6レベルで」指示が効きます。
3. 鑑別診断の壁打ち
4. 保険の事前承認レター
PassiveIncomeMDの調査では、事前承認レターの作成時間が20分 → 5分に [4]。
プロンプトを磨く4つのコツ
1. 制約を明示する
「200字以内」「箇条書き3つ」「A4で1枚」。これないと長くなりすぎる。
2. 対象読者を指定する
「保護者向け」「研修医向け」「専門医向け」。これで出力のレベルが別物になる。
3. 出力例を1つ見せる(Few-shot)
理想の出力例を1つ添えると、そのスタイルに合わせてくれる。
こんな形式で出してほしい:
[例]
#主訴
発熱
#現病歴
...
実際の出力をお願いします:
{新しい情報}4. 「含めない」も指定する
「薬剤名は一般名で」「ICD-10コードは不要」「エビデンスレベルを明記」。
除外指示も出力精度を上げる。
やってはいけないこと、3つ
1. 患者の個人情報を入れない
氏名、DOB、患者ID、住所、勤務先。絶対に打ち込まない。
匿名化して「40代女性、高血圧、胸痛」レベルまで一般化。家族構成も特定に繋がるので注意。
2. 出力をそのまま使わない
ChatGPTの出力は下書き。医師が内容確認、必要なら修正してから使う。
3. 薬剤量を信じない
ChatGPTは計算が苦手。
特に小児用量や腎機能補正量は、必ず自分で添付文書と照合してください。ここを信じて事故を起こすと、取り返しがつきません。
注意
下書きエディタとして使う
ChatGPTは「確率的にもっともらしい文章を作る道具」。医学的事実の検証はできない。
「下書きエディタ」と割り切って、最終チェックは自分。これで事故は防げます。
参考文献
- OpenAI Academy. ChatGPT for Healthcare. 2025.
- 恵寿総合病院 × Ubie. note.com/ai_komon, 2024.
- Zaretsky J, et al. JAMA Network Open. 2024.
- PassiveIncomeMD. The Ultimate ChatGPT Prompt Cheat Sheet. 2025.