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狙った答えを引き出す(プロンプトの型)
レッスン 2 / 4|9分で読めます

狙った答えを引き出す(プロンプトの型)

「糖尿病について教えて」と雑に聞いても、雑にしか返ってこない。3つの要素を押さえるだけで出力の質が跳ねます。

このレッスンで終わる頃には

  • ChatGPTの出力が安定して高品質になる書き方が身につく
  • 医療で即使える4つの実践プロンプトが手元にある

雑に聞いたら、雑に返ってくる

ChatGPTに「糖尿病について教えて」って聞くと、教科書的な概要が返ってきます。悪くはない。でも、使えるかと言うと微妙。

「患者説明に使いたい」「鑑別診断したい」「保険の事前承認レター書きたい」。目的に合った答えを引き出すには、聞き方にコツがあります。


プロンプトの3要素:Role(役割)/ Task(タスク)/ Format(出力形式)の3点フレーム
Role → Task → Format の順で書くと、雑なプロンプトが「指示書」に変わる。
ChatGPTの入力欄に、個人情報を含めない条件とRole、Task、Formatの出力形式を指定している画面
まずは入力欄で、目的、禁止事項、出力形式を分けて書きます。
実際のChatGPT画面で、雑な依頼をRole、Task、Formatに分けた指示書へ整える流れです。
ChatGPTがRole、Task、Formatと完成プロンプトに分けて回答した画面
返ってきたものも、Role、Task、Formatに分かれていれば、そのまま見直しやすくなります。

基本の型: Role / Task / Format

医師向けのリソースで広く推奨されている3点セットです。型の体系的な解説は AIへの「聞き方」の技術(全5回)に譲り、ここではChatGPTですぐ使える形だけ押さえます。

  • Role(役割): どういう立場で答えてほしいか
  • Task(タスク): 具体的に何をしてほしいか
  • Format(出力形式): どういう形で返してほしいか

Role: あなたは小児科専門医として回答してください。

Task: 3歳男児、発熱・咳嗽・喘鳴の症例について、
      ウイルス性細気管支炎を疑う場合の簡潔な臨床ノートを作ってください。

Format: SOAP形式で、各セクション3行以内にまとめてください。

OpenAI公式Academy(260名以上の医師が監修)でもこの構造が推奨されてます [1]。

この3要素を揃えるだけで、出力の質が別物になります。


実践プロンプト集(コピペで使える)

1. 退院サマリーの要約

以下の退院経過記録を200字以内で要約し、
(1) 主診断 (2) 主治療 (3) 退院後指示
を箇条書きで出力してください:

{匿名化したカルテ本文}

恵寿総合病院ではこのパターンで要約時間を67%削減 [2]。

2. 患者説明文

あなたは優しい小児科医として回答してください。
川崎病と診断された3歳のお子さんの保護者に向けて、
病気の説明と今後の治療方針を説明する文章を作ってください。
小学6年生が読んでわかるレベルの日本語で、
A4で1枚に収まる量にしてください。

JAMAの研究では、GPT-4が退院サマリーを Grade 11 → Grade 6.2 まで読みやすくした実績あり [3]。「小6レベルで」指示が効きます。

3. 鑑別診断の壁打ち

42歳女性。主訴:2週間持続する倦怠感と微熱。
身体所見:頸部リンパ節腫脹、軽度の肝脾腫。
血液検査:白血球12,000、異型リンパ球15%、AST/ALT軽度上昇。

鑑別診断を可能性の高い順に5つ挙げて、
それぞれの根拠を1行で説明してください。
見落としやすい重要な疾患があれば追加してください。

4. 保険の事前承認レター

あなたは内科医として、保険会社への事前承認レターを作ってください。

患者:65歳男性、2型糖尿病、HbA1c 9.2%
要求:GLP-1受容体作動薬への変更
理由:メトホルミン+SU剤で6ヶ月間コントロール不良

レターに含めること:
- 現在の治療経過と効果不十分の根拠
- ガイドラインに基づく変更の妥当性
- 想定される臨床的利益

フォーマルなビジネスレター形式で出力。

PassiveIncomeMDの調査では、事前承認レターの作成時間が20分 → 5分に [4]。


プロンプトを磨く4つのコツ

1. 制約を明示する

「200字以内」「箇条書き3つ」「A4で1枚」。これないと長くなりすぎる。

2. 対象読者を指定する

「保護者向け」「研修医向け」「専門医向け」。これで出力のレベルが別物になる。

3. 出力例を1つ見せる(Few-shot)

理想の出力例を1つ添えると、そのスタイルに合わせてくれる。

こんな形式で出してほしい:

[例]
#主訴
発熱

#現病歴
...

実際の出力をお願いします:
{新しい情報}

4. 「含めない」も指定する

「薬剤名は一般名で」「ICD-10コードは不要」「エビデンスレベルを明記」。

除外指示も出力精度を上げる。


やってはいけないこと、3つ

1. 患者の個人情報を入れない

氏名、DOB、患者ID、住所、勤務先。絶対に打ち込まない。

匿名化して「40代女性、高血圧、胸痛」レベルまで一般化。家族構成も特定に繋がるので注意。

2. 出力をそのまま使わない

ChatGPTの出力は下書き。医師が内容確認、必要なら修正してから使う。

3. 薬剤量を信じない

ChatGPTは計算が苦手。

特に小児用量や腎機能補正量は、必ず自分で添付文書と照合してください。ここを信じて事故を起こすと、取り返しがつきません。

注意

下書きエディタとして使う

ChatGPTは「確率的にもっともらしい文章を作る道具」。医学的事実の検証はできない。

「下書きエディタ」と割り切って、最終チェックは自分。これで事故は防げます。


まとめ

  • Role / Task / Format の3要素でプロンプトを組む
  • 実践例: 退院サマリー、患者説明文、鑑別診断、事前承認レター
  • 制約・対象読者・出力例・除外指示の4つで磨く
  • 患者情報は入れない、出力は下書き、薬剤量は自分で確認

次は、これらのプロンプトを1回書いたら繰り返し使えるカスタムGPTsの話。


参考文献

  1. OpenAI Academy. ChatGPT for Healthcare. 2025.
  2. 恵寿総合病院 × Ubie. note.com/ai_komon, 2024.
  3. Zaretsky J, et al. JAMA Network Open. 2024.
  4. PassiveIncomeMD. The Ultimate ChatGPT Prompt Cheat Sheet. 2025.