
一行の依頼で使えない回答が返るとき、問題はAIより依頼の構造にあることが多い。プロンプトエンジニアリングは、役割・タスク・文脈・制約・形式を組み合わせ、回答を目的に近づける技術だ。
医療では、個人情報を含めない範囲を決め、用量・年齢区分・ガイドライン名などを人が確認する。プロンプトは安全性を保証するものではなく、確認しやすい下書きを得るための指示書として使う。
悪い依頼を具体化する
「説明資料を作成して」だけでは、対象も長さも形式も分からない。
急性心筋梗塞について、一般の患者が理解しやすい言葉で説明資料を作成してください。専門用語は最小限にし、300文字以内、箇条書き形式で。
違いは語数ではなく、図の5要素が揃っているかどうかだ。
医療現場での実践例
診断書作成のプロンプト
あなたは経験豊富な内科医です。
以下の患者情報に基づいて、診断書のドラフトを作成してください。
患者情報:
- 年齢:65歳、男性
- 主訴:胸痛、発汗、呼吸困難
- 現病歴:3時間前から症状出現
- 検査結果:心電図でST上昇、トロポニン陽性
- 診断名:急性心筋梗塞
診断書には、主訴、現病歴、診断名を含めてください。
医療用語を適切に使用し、簡潔に記述してください。返答に不足があれば、足りない条件を一つずつ追加する。使えたプロンプトは保存し、次回は対象や症例情報だけを差し替える。
セルフチェック
1. プロンプトエンジニアリングの主な目的として、最も適切なものはどれですか?
2. 効果的なプロンプトの基本要素として含まれないものはどれですか?
3. 「診断書について教えて」というプロンプトの問題点として最も適切なものはどれですか?
明日のアクション
明日の業務で、AIに質問する際に「役割の設定」「タスクの明確化」「コンテキストの提供」「制約条件」「出力形式」の5つの要素を意識してプロンプトを1つ作成してみる。診断書、症例要約、患者説明資料など、自分の日常業務の1つをテーマにする。
書き終えたプロンプトを Claude か ChatGPT に投げて、返ってきた回答の使い勝手を、「いきなり書いた一行プロンプト」と比較してみる。差が見えれば、それで今日の演習は成功だ。