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そもそもVibe Codingってなに?

エンジニアじゃない人のための入り口。Vibe Codingの全体像と、原理を知らなくてもアプリは作れるという話。

みんなのVibe Coding

第1回 そもそもVibe Codingってなに?

コードを書けない私が、半年で20本以上アプリを作りました。

きっかけは、ある日の外来でした。

「子どもの体重を入れたら、解熱薬の量が出るツールが欲しいな」 そう思ったのに、毎回手で計算している。 これまでの私なら、ここで諦めていました。

学ぶ時間がない。 エンジニアに頼むツテもない。 だから、ない。

でも2025年、状況が変わりました。

AIに「こういうの作って」と話しかけたら、ちゃんと動くツールが30分で手元にできた。 作り方は、誰でも真似できる。 そう確信しています。

その新しい作り方の名前が、Vibe Coding(バイブコーディング)です。

第1回は、これがそもそも何なのか。 途中で専門用語が出てきたら、その都度、生活に近い例えでほぐしていきます。

まず、自分の話を少し

私は、小児科医をしています。 AMPLという、医療×AIの小さな会社をやっています。

「専門の人ですよね」と必ず返されますが、コードを一行ずつ書くことは、ほぼありません。 書いているのは、AIへの指示文だけです。

ここで「コード」というのは、コンピュータへの指示書のこと。 料理でいうレシピを、コンピュータ向けに書いたものだと思ってください。 それを、いまはAIが代わりに書いてくれます。

minatonという、東京都港区の子育て情報サイトを動かしています。 機能の8割くらいは、AIに「こういうのが欲しい」と話しかけて作ってもらった結果です。

特殊スキルではなく、今日から始められる作業です。 そう言いきれるまで、自分で試しました。

「みんな」って、誰のこと?

この連載で「みんな」と呼んでいるのは、こんな人たちです。

  • 仕事で使うツールを、自分でちょっと作りたい人
  • ChatGPTに文章は頼んでいるけど、その先がよくわからない人
  • アプリを作ってみたいけど、プログラミング学習が続かなかった人
  • 家族や子どものために、何か作って渡したいと思っている人
  • 副業で、自分のお店やサービスを小さく始めたい人

職種は問いません。 プログラミング経験も、ゼロでOKです。

ちなみにプログラミングというのは、コンピュータに「こう動いてね」と命令する作業のこと。 そのために使う専用の言葉が、プログラミング言語。 PythonやJavaScript、HTMLという名前を聞いたことがある人もいるかもしれません。 今日は名前があるな、というところまでで十分です。

Vibe Codingって、何?

提唱したのは、Andrej Karpathy(アンドレイ・カルパシー)さん。 ChatGPTを作っているOpenAI(オープンエーアイ)という会社の、初期メンバーのひとりです。 電気自動車のテスラでも、AI部門のトップを務めていた人。 AI業界のスター選手みたいな存在です。

2025年の頭、彼はSNS(XやInstagramのような投稿サービス)にこう書きました。 「最近の自分のコーディングは、Vibe Codingだ」と。

直訳すると「雰囲気で書くコーディング」。 かなりラフな言い回しです。

意味はシンプル。 普段使っている日本語や英語(これをまとめて「自然言語」と呼びます)でAIに指示を出して、返ってきたものをそのまま動かす。 これだけです。

中身のコードを、一行ずつ読まなくていい。 動けばOKという割り切りで進めます。

国内でもこの言葉は一気に広がっていて、無料で学べる講座もすでに公開されています(記事末尾にリンクを置いておきます)。

原理を知らなくても、サービスは作れる

少し例え話をさせてください。

私たちは毎日スマホを使っています。 でも、こう聞かれて答えられる人は、ほとんどいません。

  • なぜ画面を指でなぞると反応するのか
  • なぜ小さな穴から大きな音が出るのか
  • なぜ今いる場所でWi-Fiがつながるのか
  • なぜカメラのアプリが、あんなにサクサク動くのか

タッチパネルの原理、スピーカーの構造、無線通信の仕組み、画像処理のアルゴリズム。 本気で説明しようとしたら、本が何冊も書けます。

でも、ほぼ誰もこれらを知らないまま、スマホでLINEを使い、地図で店を探し、写真を撮ります。

そして、スマホで動くサービスを作って成功している企業は、たくさんあります。 タッチパネルを設計した人と、LINEを作った人は、別人です。 スピーカーを発明した人と、Spotifyを作った人も、別人です。

Vibe Codingも、これと同じ立ち位置です。

コンピュータがどう動いているか、コードが裏でどう実行されているか。 これらを知らないままで、誰かに使ってもらえるアプリを作れる。 それが、いま起きていることです。

「原理を知ってからじゃないと始めちゃいけない」は、思い込みです。 使いながら、必要になったときに覚えていけば、それで間に合います。 私自身、半年たった今でも、知らないまま動かしている部分がたくさんあります。

だからまず、今日、動かしましょう。 原理は、後ろからついてきます。

これまでと、何が変わるのか

これまでの「アプリを作る」は、こんな流れでした。

  • プログラミング言語を学ぶ(数ヶ月)
  • 書き方を覚える(数週間)
  • 書いてみる(時間がかかる)
  • 動かない、で挫折

私もここで、過去2回挫折しました。

Vibe Codingは、流れがこう変わります。

  • 「こういうのが欲しい」と日本語で書く(1分)
  • AIがコードを書いて動かす(数十秒)
  • 違和感があれば「ここを直して」と話す(30秒)
  • 想定通りになるまで、会話を繰り返す

書く工程が、話す工程に変わる。 ここに、地味だけど大きな転換があります。

試しに、3分でやってみる

今この瞬間、私がClaude Codeに送っている指示は、これだけです。

ここで出てくるClaude Code(クロード・コード)は、ChatGPTのライバルにあたるClaudeというAIが、自分のパソコンの中で実際にファイルを作ったり修正したりしてくれる、ちょっと進んだ道具のこと。 詳しくは第4回で扱うので、いまは「そういう便利なものがある」くらいで構いません。

子どもの体重を入力すると、解熱薬(アセトアミノフェン)の1回量を計算してくれるツールを作ってください。 体重(kg)を入れたら、おおよその目安量がmgで表示される、シンプルなWebページにしてください。 一枚のHTMLファイルにして、ブラウザで開けるようにしてください。

短い指示にも、知らない言葉が混じっています。 ここで一気にほぐしておきます。

  • アセトアミノフェン: 子どもにも使える代表的な解熱・鎮痛薬。商品名で言うとカロナールが有名です
  • mg/kg: 「体重1kgあたり何mgの薬を使うか」という量の表し方。子どもは体が小さいので、こうした単位を使います
  • Webページ: ChromeやSafariで見られる画面のこと。お店のサイトもニュース記事も、見ているものは全部Webページです
  • HTML: Webページの設計図にあたるファイルの種類。文字や画像をどこに置くか、ボタンをどう並べるかが書かれています
  • HTMLファイル: 拡張子が「.html」で終わるファイル。ダブルクリックすると、勝手にブラウザが立ち上がって表示されます
  • ブラウザ: Webページを見るための入れ物アプリ。Chrome、Safari、Edge、Firefoxなど。今このページを読んでいる、それ自体です

数十秒で、index.htmlというファイルが手元にできます。 index.htmlは、Webページにとっての「玄関」にあたる、最初に開かれるファイルとしてよく使われる名前です。

ダブルクリックで開くと、入力欄と結果がブラウザに出ます。

これを家のパソコンに置いておけば、ちょっとした計算ツールになります。

完璧ではありません。 年齢別の補正、薬の種類、剤形(シロップか坐薬か)など、追加で詰めることはたくさんあります。

でも、「一行もコードを書かずに、動くものが手元にある」という事実が、まずは大事です。

これが、いま誰でもできる体験になっています。

始める前に、4つだけ伝えさせてください

ここから一緒に手を動かしていく前に、知っておいてほしいことがあります。

1. 一発で完璧には動かない

AIが書くコードは、最初から完璧じゃありません。 動かしてみて、おかしいところを直す。 これを繰り返します。

「うまくいかない」は、失敗ではなく、過程です。

2. 「いい感じに」では伝わらない

AIへの指示は、何を、どう、どこまで、を具体的に書きます。 「いい感じに作って」では、返ってくるものがブレます。

具体的な指示が、そのまま成果物の質になります。 ここは、書きながら少しずつ慣れる部分です。

3. AIは堂々と間違える

知らないことも、自信満々に書きます。 特に、命やお金や法律に関わる分野は要注意です。

書かれたものを鵜呑みにせず、必ず一次情報で確認します。 医療なら、添付文書(薬の公式の説明書)やガイドライン(学会が出している手引き書)。 法律やお金なら、専門家。 ニュースなら、元の報道。

「自分で確認する癖」だけで、9割の事故は防げます。

4. 個人情報は、AIに渡さない

AIサービス(ChatGPTやClaudeのこと)は、入力された情報を品質改善に使う場合があります。

氏名、住所、電話番号、生年月日、ID、写真。 これらは原則、AIに渡しません。

ダミーのデータ(架空の名前や数字)で試すか、構造だけを共有する。 最初に身につけると、あとが楽です。

今日のまとめ

3行で振り返ります。

  • Vibe Codingは、日本語で話せばアプリが作れる新しい開発スタイル
  • 学習に何ヶ月もかけずに、今日からアプリが手元に持てる時代になった
  • ただし、間違いと個人情報は、最後まで人間の責任

次回予告

第2回は、Vibe Codingを始める前に最低限知っておきたい7つのキーワード。 LLM、エージェント、IDE、Git、データベース、セキュリティ、デプロイ。

今日より少しだけ専門寄りですが、全部、台所の道具に例えながら見ていきます。 全部初めて聞く言葉でも、大丈夫です。


学ぶ時間がない、お金がない、頼める人がいない。 これまでアプリ作りを止めていた3つの理由が、2025年から1つずつ崩れています。

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参考・出典

  • Karpathy, A. (2025). 「Vibe Coding」提唱投稿(X)
  • paiza株式会社「バイブコーディング入門 Claude Code編」 https://paiza.jp/works/vibe-coding-claude-code/trial
  • 安野貴博「バイブコーディング超入門講座」シリーズ(YouTubeチャンネル「安野貴博の自由研究」)