第2回で、ChatGPTを使って自分の手で動くページを作りました。 あの体験の裏では、いくつかの言葉が走り回っています。
今日と次回の2回で、その7つの言葉を順番に整理します。 全部、ポケモンの旅に例えながら。
7つはこれです。
LLM、コーディングエージェント、IDE、Git、データベース、セキュリティ、デプロイ。
私は最初、この7つでつまずきました。 本を読んでも、頭に入らない。 聞いても、明日には忘れている。
でも、ポケモンの旅に例えた瞬間、全部つながりました。
前半の今回は、最初の3つ。 LLM、コーディングエージェント、IDE。 後半は次回で、Git、DB、セキュリティ、デプロイを扱います。
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全体像、ひとことで
ポケモンの世界に置き直すと、こうなります。
- 最初のパートナー(御三家)→ LLM
- 旅のエース → コーディングエージェント
- 出発の拠点(自宅・ポケモンセンター)→ IDE
- セーブポイントとポケモンHOME → バージョン管理(Git/GitHub)
- ボックス → データベース
- トレーナーID・パスワード → セキュリティ
- レーティングバトル参戦 → デプロイ

これだけ覚えていれば、AIに何を頼めばいいかが見えてきます。
今日は、上から3つ。
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1. LLM | 最初の御三家を選ぶ
LLMは、Large Language Modelの略です。 日本語にすると「大規模言語モデル」。
ChatGPT、Claude、Geminiの「中身」がLLMです。 これらの名前は「サービスの名前」で、その中で動いている頭脳の部分がLLM、と思ってください。
ポケモンに例えると、ゲーム開始直後の「最初のパートナーを選ぶ」場面です。
- ChatGPT は、攻めが強くて応用範囲が広い炎タイプのような存在
- Claude は、丁寧で長文・コーディングに強い水タイプのような存在
- Gemini は、Googleと連携が効いてサポート寄りの草タイプのような存在

最初の選択は、そんなに気にしすぎなくて大丈夫。 途中で別のサービスに乗り換える人も多いし、複数を併用するのも普通です。
私たちがVibe Codingでやり取りする相手は、ぜんぶこのLLMです。
選び方の目安だけ、ここで伝えます。
- 文章中心の作業 → ChatGPT、Claude、Geminiのどれでも
- コーディング中心 → Claude(特にClaude Code)が現時点で評判が良いです
- スマホで普段から使いたい → 無料プランから始めて構いません

賢い相棒が無料で手元にある。 これが、いま起きていることです。

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2. コーディングエージェント | 旅のエース
LLMは「相棒」でしたが、答えを返すだけが基本。 ポケモンで言えば、まだ手持ちにいるだけの状態です。
これに対して、コーディングエージェントは、自分で前線に出て手を動かしてくれます。 ファイルを作る、コードを書く、プログラムを動かす、エラーが出たら直す。 ジムバッジを取りに行く、頼れるエースです。

代表的なものは、こんな顔ぶれです。
- Claude Code:Anthropic社(クロードを作っている会社)が出している
- Codex:OpenAI(ChatGPTを作っている会社)が出している
- Cursor:専用のエディタにAIがくっついた、独立したサービス
- GitHub Copilot:マイクロソフト傘下のGitHubが出している

Vibe Codingで主に使うのは、こちらの「実際にバトルする側」のほうです。
この連載ではClaude Codeを軸に進めます。 インストール手順は第8回で扱います。

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3. IDE | マサラタウンの自宅
IDEは、Integrated Development Environmentの略。 日本語にすると「統合開発環境」。
要するに、コードを書いたり編集したりする「拠点」です。
ポケモンで言えば、マサラタウンの自宅、もしくは旅先のポケモンセンター。 作業前にひと息つけて、そこから動き始める場所です。
世界で一番使われているのは、Visual Studio Code(VSCode/ヴイエスコード)。 無料で、Windowsでも、Macでも動きます。 マイクロソフトが出しています。

最近は、IDEとAIエージェントがどんどんくっついてきています。 VSCodeの中にClaude Codeを呼び出して、その場で会話しながら作る、というのが一般的になってきました。

最初はとっつきにくく見えますが、心配いりません。 拠点自体に難しいことはありません。
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今日のまとめ

3行で振り返ります。
- LLM、エージェント、IDEは「相棒」「実行者」「拠点」の3点セット
- 御三家を選ぶ感覚で、まずはLLMサービスを1つ持つ
- ポケモンに例えると、覚えるべきことが半分になる
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次回予告
第4回は、後半の4つです。 Git/GitHub、データベース、セキュリティ、デプロイ。 セーブポイント、ボックス、トレーナーID、レーティング戦。
アプリを保存する、育てる、守る、世に出す。 この4つを、まとめて整理します。
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専門用語は、覚えるものではなく、使ってみる中で勝手に馴染むもの。 私はそう感じています。
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演習:30分の宿題
「7つの言葉」のうち、今日は前半3つ(LLM・エージェント・IDE)を扱いました。 30分で、最低限の感覚を掴む宿題を2つだけ。
宿題1:3つのLLMに同じ質問を投げる(15分)
ChatGPT・Claude・Gemini の3つに、まったく同じ質問を投げて、返ってくる文体の違いを体感してください。
おすすめの質問例:
あなたの強みを3つ、一文ずつで挙げてください。
返答を3つ並べて読み比べると、それぞれの「キャラ」が見えてきます。 無料プランで全部試せます。
宿題2:VSCodeをインストールしてみる(15分)
code.visualstudio.com にアクセスして、自分のOSに合わせたインストーラーをダウンロード。 インストール後、起動して、サイドバー・エディタ・ターミナルの3要素がどこにあるか触ってみてください。
中身に何かを書く必要はありません。 「拠点を、いま用意した」という事実だけ持ち帰れば十分です。
医療職別 実例ギャラリー:3人の使い分け
私の周りの医療者が、実際にどのLLM・どの道具を使っているか、3人の例。
例1:小児科医・賢(私)の場合
- メイン LLM:Claude(コードと長文に強いのが、医療執筆と相性いい)
- メインエージェント:Claude Code
- メイン IDE:Cursor
外来の合間に minaton の更新を入れる、論文の下書きを書く、ニュース記事の解説を書く、ぜんぶこの組み合わせ。 有料プラン(Claude Max $100/月〜、Cursor Pro $20/月。2026年6月時点)を支払っています。Claude Code を毎日使うなら、Pro($20/月)では量の上限にすぐ当たるので Max が現実的です。
例2:救急医・Aさんの場合
- メイン LLM:ChatGPT(普段の質問はぜんぶこれ)
- エージェント:使っていない(ChatGPTのコード生成だけで足りる)
- IDE:使っていない(HTMLは TextEdit で開く)
ChatGPT 1本で、当直シフト調整・救急トリアージ早見・薬量計算ツールの3本を運用中。 「最小構成で続けるのが、長く使える」 タイプ。
例3:薬剤師・Bさんの場合
- メイン LLM:Gemini(Googleドライブ・スプレッドシートとの連携重視)
- エージェント:GitHub Copilot(VSCode に組み込まれている)
- メイン IDE:VSCode
服薬指導の記録テンプレを Spreadsheet で管理しているので、Gemini との相性で選択。 病院の業務がGoogleスタックなら、Geminiは強い選択肢。
3人とも、最初は1つから始めて、必要になった順に道具を増やしています。 全部一気に揃える必要は、まったくありません。
もっと深く:LLM 3社の文体の違い
実際に同じ質問を投げると、こういう違いが出ます。
質問:「胸痛で受診した患者の鑑別を、簡潔に3つ挙げてください」
ChatGPT(標準モデル)の文体:
- 急性冠症候群(ACS):最も重要な除外診断。心電図と高感度トロポニンで初期評価を。
- 大動脈解離:背部痛を伴い、両上肢の血圧差や拡大した縦隔陰影を確認。
- 肺塞栓症:D-dimer、Wells score、必要に応じて造影CTで評価。
(簡潔・実務的・項目式)
Claude(Sonnet 4.6)の文体:
胸痛の鑑別は、致死的疾患を見逃さないことが最優先です。3つに絞るなら:
- 急性冠症候群:全症例で最初に除外する診断。心電図とトロポニンを早期に。
- 大動脈解離:「裂けるような痛み」「背部への放散」が典型像。両側血圧差をチェック。
- 肺塞栓症:リスク因子(術後・長期臥床・経口避妊薬)と組み合わせて評価。
(文脈と臨床判断を一緒に説明する傾向)
Gemini の文体:
胸痛で受診した患者の鑑別として、特に致死的な疾患を3つ挙げます:
- 急性冠症候群(不安定狭心症・心筋梗塞)
- 急性大動脈解離
- 肺血栓塞栓症
(余計な装飾を入れず、要求にきっちり応える)
どれも「正解」を返してきますが、ChatGPTは攻め・Claudeは丁寧・Geminiは中庸、というのが感覚的に分かるはずです。
最初は1つから始めて、自分の文体と相性のいいLLMを見つけるのが、長く続けるコツです。
動画で見る
- YouTube:安野貴博「バイブコーディング超入門 第2回」:全編で7つの言葉のうち主要なものを扱っています
参考・出典
- 安野貴博「バイブコーディング超入門講座 第2回」(YouTubeチャンネル「安野貴博の自由研究」、2026年4月)
- paiza株式会社「バイブコーディング入門 Claude Code編」 https://paiza.jp/works/vibe-coding-claude-code/trial
