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「俺もアプリ作れるんじゃね」を体験する
レッスン 2 / 15|19分で読めます

「俺もアプリ作れるんじゃね」を体験する

ChatGPTひとつ、8分で。インストールも難しい設定もなし。動くものを手に入れる感覚を最初に持ち帰る。

第1回で書いた、私が2024年に味わった瞬間を覚えていますか。

Claudeを触っていたら、画面の中で動く小さなアプリが勝手にできてしまった、あの感覚。 「俺もアプリ作れるんじゃね」と思った、まさにあの瞬間です。

今日は、その感覚を、あなたにも一足先に持って帰ってもらいます。 所要時間は8分。 インストールも、難しい設定も、なし。 ChatGPTのブラウザ画面ひとつで進めます。

必要なものは、ひとつだけ

ChatGPTのアカウントです。

すでに使っている人は、それでOK。 まだの人は、ブラウザで chatgpt.com を開いて、メールアドレスでサインアップ。 所要時間3分です。 無料プランで構いません。

chatgpt.com のサインアップ画面イラスト。メールアドレス入力欄と、Continueボタン、Google/Microsoftで続けるリンクが見える
メールアドレスひとつで、3分で完了します。

これで準備完了です。

今日の題材

医療現場でよく使う「保護者向けの説明ページ」を、自分の手で1枚作ってもらいます。

具体的には、解熱薬の使い方の説明ページ。 外来で何度も繰り返し説明している、あの内容です。 これを、自分専用の小さな案内として、その場で作り直します。

医師でなくても大丈夫。 看護師、薬剤師、リハ職、検査技師、医療事務。 どの職種にも、似た「ちょっと作りたい説明ページ」があるはずです。

実際に完成した保護者向け解熱薬説明ページ。青いタイトルバナーと「解熱薬が必要なとき」のセクションが表示されている
今日のゴール。これは合成イメージではなく、この回の手順で実際にできたページです。

題材は、自分の現場に置き換えて読んでください。

先に、通しで見てみる

これから3ステップでやる操作を、実際のChatGPT画面で録画しました。 プロンプトを打ち込み、送信し、ページができるまで。ノーカットの実操作です。

実際のChatGPT画面。プロンプト入力から、ページが動くまでの通し操作(約15秒に短縮・無音)。

一度見ておくと、この後のステップで迷いません。 では、同じことを自分の手でやっていきます。

ステップ1 ChatGPTにこう書く

ChatGPTを開いて、新しい会話で、こうコピペします。

保護者向けに、子どもの解熱薬の使い方を説明する1枚のHTMLページを作ってください。

含める内容: ・解熱薬がどんなときに必要か ・6時間以上空けて、繰り返さない ・水分補給と併用する ・病院に行くべきサイン

スマホでも読みやすく、シンプルなデザインにしてください。 一枚のHTMLファイルで、ブラウザで開いたら動くようにします。

実際のChatGPT画面。日本語の指示プロンプト全文が入力欄に書き込まれ、送信する直前の状態
実際のChatGPT画面。このまま日本語で打ち込んで、送信します。

少し長く感じるかもしれません。 これがVibe Codingの「具体的な指示」です。

いい感じに、ではなく、何を、どこまで、どう書くか。 これを書ききると、返ってくるものの質が変わります。

プロンプトの構造解剖図。指示文の各部分に「誰のために」「何を伝える」「どんな形で」「具体的な制約」のラベルがついている
4要素を意識すると、自然と「具体的な指示」が書けるようになります。

ステップ2 返ってきたコードをファイルにする

ChatGPTは、HTMLファイルの中身(コード)をそのまま返します。 画面にコードがズラッと出ます。

実際のChatGPT画面。返ってきたHTMLコードがカードの中に表示され、右上にコピー用のボタンが見える
実際の画面。中身は読まなくていい、右上のコピーボタンだけ意識します。

なお、最近のChatGPTは、コードと一緒に「プレビュー」を直接見せてくれることがあります。 その場合は、カードの中でもうページが動いています。

実際のChatGPT画面。チャットの中にHTMLプレビューカードが表示され、完成した解熱薬説明ページが動いている
プレビューが出た場合は、この時点でページが完成しています。ステップ3はこのカードを大きく開くだけです。

カードの右上には、小さなボタンが3つ並んでいます。 コード表示に切り替える、プレビューを再生する、全画面で開く。この3つです。

プレビューカード右上の3つのボタンのクローズアップ。コード表示、再生、全画面表示のアイコンが並ぶ
カード右上のボタン。いちばん右が「全画面で開く」です。

回答の中に「HTMLファイルをダウンロード」というリンクが出ることもあります。 これを押すだけで、保存まで終わります。いちばん簡単な道です。

ChatGPTの回答内に表示された「HTMLファイルをダウンロード」リンクのクローズアップ
このリンクが出たら、押すだけでファイルが手に入ります。

リンクが出なかった場合も、やることは2つだけ。

  • コードの右上の「コピー」ボタンを押す
  • パソコンのテキストエディタ(Macなら「テキストエディット」、Windowsなら「メモ帳」)に貼り付けて、index.html という名前で保存する
macOS のテキストエディット保存ダイアログ。ファイル名 index.html、フォーマット Web ページ (HTML)、プレーンテキストで保存にチェック
拡張子は必ず .html。プレーンテキストで保存にチェックを入れます。

ステップ3 ブラウザで開いてみる

保存した index.html を、ダブルクリックします。

ブラウザが開いて、保護者向けの説明ページが表示されます。 タイトル、説明、注意事項。 全部、コードを書かずに作った、自分のページです。

実際の画面。完成した保護者向け解熱薬説明ページが全画面で表示され、見出しとセクションが整然と並ぶ
実際にできたページ。ダブルクリック(またはプレビューの全画面表示)で、自分のページが現れます。

スクロールしていくと、頼んだ内容がぜんぶ入っています。 「病院に行くべきサイン」も、ちゃんと危険を知らせる色になっています。

完成したページの「病院に行くべきサイン」セクション。赤い注意カードに受診の目安が箇条書きで並び、最後にまとめが表示されている
頼んだ4項目の最後、「病院に行くべきサイン」。指示していない「まとめ」まで付けてくれています。

ここで一度、画面をしばらく眺めてみてください。 これは、5分前まで「自分には作れない」と思っていたものです。 変化したのは出来栄えではなく、自分の感覚の方です。

ここで感じてほしいこと

うまくいった人も、思ったのと違うものが出た人も、まずは深呼吸を。

ここで体験してほしいのは、出来栄えではありません。 コードを書かずに、動くものが手元に来た、という事実です。

私が2024年に感じた、あの「俺もアプリ作れるんじゃね」が、今日のあなたにも来ているはずです。

まだ完璧じゃない、それでいい

返ってきたページは、完璧ではないかもしれません。

  • 内容が現場とズレている
  • 文字が小さい
  • もう少し色が欲しい

それでいいんです。 ここからの「直してもらう」工程は、第6回でじっくり扱います。 今日は「動くものが、自分の言葉から生まれた」だけを持って帰ってください。

完成度メーター(70%にティールの指針)と、左側「使える領域」、右側「完璧主義の罠」のゾーン分け
完成度70%で世に出すのが、Vibe Coding の標準速度です。

今日のまとめ

3行で振り返ります。

  • ChatGPTひとつで、HTML1枚のページは作れる
  • 具体的に書くほど、返ってくるものが鮮明になる
  • 動くものが手元にある、という感覚が、すべての出発点

次回予告

第3回は、地図に書いた「知っておきたい7つの言葉」の前半です。 LLM、コーディングエージェント、IDE。 今日触ったChatGPTが、なぜあれだけのことをできるのか。 全部、ポケモンの旅に例えながら見ていきます。


最初の1本ができた瞬間、すべての続きが見えてくる。 私はそう感じています。

連載の更新は、メルマガ「おかもんだより」でもお知らせします。 よかったら登録してお待ちください。


演習:30分の宿題

第1回の宿題は「読み終わった後で考えてみる」でしたが、第2回からは「実際に作る」に変わります。 所要時間30分。必要なものは、ChatGPTのアカウントだけです。

自分の現場で、繰り返し説明している「あの説明」を1枚にする

職種ごとに3つだけ題材を置いておきます。1つ選んで、ChatGPTに頼んでみてください。

題材A(医師向け)

自分の外来で、保護者・患者にいつも説明している内容のうち、今日も一度誰かに話したものを1つ選び、A4一枚分のHTMLページにしてください。

例:

  • 解熱薬の使い方(小児科)
  • 抗生剤を使わない理由(プライマリ)
  • 経過観察の目安(救急)
  • 退院後の注意(病棟)

題材B(看護師・薬剤師向け)

病棟・薬局で、新人や患者に繰り返し説明している手順を、シンプルなチェックリスト形式のWebアプリにしてください。

例:

  • 与薬前の6Rチェック
  • 服薬指導の確認項目
  • 医療麻薬の管理ルール
  • インフルエンザワクチン副反応の説明

題材C(PT/OT・ST・検査・栄養・事務向け)

自分の業務で、毎週・毎月のように繰り返している説明・記録作業を、入力フォーム付きの1ページにしてください。

例:

  • リハビリ評価シート
  • 嚥下機能チェック
  • 検査前の禁忌確認
  • 離乳食の進め方ガイド
  • よくある問い合わせの定型回答

詰まったら

ステップ1で何を書けばいいか分からなくなったら、その状態をそのままChatGPTに伝えます。

小児科の解熱薬の使い方を保護者向けに説明する1枚のHTMLが作りたい
ですが、構成が思いつきません。
含めるべき項目を5〜7個、提案してください。

ChatGPTは構成案を出してくれるので、それを材料に本番のプロンプトを書き直す。 これで詰まりは大半解消します。


医療職別 実例ギャラリー:最初の1本

連載の読者と、私の周りの医療者が、第2回をやって作った最初の1本を3つ紹介します。

例1:小児科外来・「解熱薬の使い方」リーフレット(自分用)

私自身の最初の1本がこれでした。 A4一枚に「いつ使うか」「6時間ルール」「水分」「受診サイン」をまとめた、外来で配布する説明ページ。

実装プロンプト(コピペで動きます):

保護者向けに、子どもの解熱薬の使い方を説明する1枚のHTMLページを
作ってください。

含める内容:
・解熱薬がどんなときに必要か
・6時間以上空けて、繰り返さない
・水分補給と併用する
・病院に行くべきサイン

スマホでも読みやすく、シンプルなデザインにしてください。
一枚のHTMLファイルで、ブラウザで開いたら動くようにします。

所要時間8分・難易度★☆☆。

例2:訪問看護・「看取りに向かう家族のための心構え」(同僚作)

緩和ケアを担当する訪問看護師が、看取り直前のご家族に渡す「これから起きること」のページ。 口頭で何度も説明していた内容を、家族が落ち着いて読み返せる形に。

「言葉で1回伝えるより、書いてあるものを家で読み返してもらう方が、家族が落ち着く」という効果があったとのこと。

例3:医療事務・「夜間救急の問い合わせフロー」(同僚作)

「いま受診してもいいか」「待ち時間はどのくらいか」など、夜間によくある問い合わせの判断フローを、3クリックで答えに辿り着くWebアプリにしたもの。 電話対応時間が、目安で1/3になったそうです。

3例とも、HTMLファイル1枚で完結しています。 データベースもサーバーも、要りません。


もっと深く:ChatGPT のモデル、どれを選ぶ?

ChatGPTには、複数のモデル(頭脳の違い)があります。 画面に表示されるモデル名は時期によって変わりますが、Vibe Codingで見るポイントは大きく3つです。

  • 標準モデル / Instant系:速く返ってくる標準の選択肢。Vibe Codingの最初の1本に向いています
  • 上位モデル:より深く考えるモデル。複雑な指示や大きめの修正に向いています
  • 推論特化モデル:数学・論理問題・コードのバグ解析に強いモデルです

最初の1本に使うなら標準モデルで十分です。 モデルの選択肢に迷ったら、デフォルトのままで問題ありません。

ChatGPTの中で「モデル切替」を試したくなるのは、第6回(直しを話しかけるコツ)以降。 それまでは、いま開いているChatGPTがどのモデルで動いているかを気にしなくて大丈夫。

ちなみに、Claude にも複数モデルがあります(Opus / Sonnet / Haiku 系)。 これも第8回以降で扱います。


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文字より動きで見たい人へ: