Vibe Coding Level 301 連携編
第2回 MCPとは何か ─ 用語と全体像
このレッスンで終わる頃には
- MCPが「Claudeに道具を生やす仕組み」だと腹落ちしている
- MCPサーバー・クライアント・ツールという3つの概念を説明できる
- どんな種類のMCPがあるか、代表例を10個は挙げられる
「ある種の部下を呼び出す」
梶谷健人氏は、Claude Codeのエージェント機能をこう表現しました。
ある種部下として、自動で呼び出してこういうのを作ってくれる、みたいな感じ
単純にAIに質問するのではなく、実際に何かを実行する存在として呼び出す。 この発想が、MCPを理解する出発点です。
Claude Codeの「デフォルトの限界」
Claude Codeは、何もしなくてもできることがあります。
- コードを書く
- 文章を要約する
- ファイルを作る・編集する
- ターミナルコマンドを実行する
一方、デフォルトではできないことがあります。
- Notionのページを更新する
- Googleカレンダーに予定を入れる
- PubMedで論文を検索する
- Slackにメッセージを送る
- データベースに問い合わせる
この「デフォルトではできないこと」をできるようにするのが、MCPです。
MCPとは何か
MCP(Model Context Protocol)とは、ClaudeなどのAIに外部ツールへのアクセス権を渡す仕組みです。
直訳すると「モデルにコンテキストを渡すプロトコル(約束事)」。
難しく聞こえますが、本質は1行です。
Claudeに「この道具を使っていい」という許可を渡す仕組み
レストランの仕入れ業者に例えると
いけとも氏がレストランの比喩を使っていました。これがわかりやすいので引用します。
レストラン(Claude Code)は料理を作ります。 でも食材は、自分では仕入れられません。 仕入れ業者と契約することで、初めて食材が手に入ります。
| 登場人物 | 役割 | 例 |
|---|---|---|
| レストラン | Claude Code | あなたが話しかけるAI |
| 仕入れ業者 | MCPサーバー | Notion・PubMed・Slack |
| 仕入れ品 | データ・操作権限 | ページ内容・論文・メッセージ |
MCPを繋ぐとは、仕入れ業者と新しい契約を結ぶことです。 業者が増えるほど、レストランが作れる料理の幅が広がります。
MCPの3つの登場人物
MCPを理解するには、3つの概念を押さえるだけでいいです。
1. MCPクライアント(Claude Code側)
あなたが話しかける相手。Claude Codeがここにあたります。 MCPサーバーに「これをやって」と依頼します。
2. MCPサーバー
外部ツールへの橋渡し役。Notion・Slack・PubMedなどのAPIを叩く中継地点です。 「繋ぐ」とは、このサーバーをClaude Codeに登録することを指します。
3. ツール(Tool)
MCPサーバーが提供する個別の機能。 たとえばNotion MCPには、「ページを検索する」「ページを作る」「ページに追記する」といった複数のツールが入っています。
MCP接続の仕組み
Claude Codeへの接続は、設定ファイルに1〜3行追記するだけです。
claude mcp add notion
または設定ファイル(~/.claude.json)に直接書く方法もあります。
{
"mcpServers": {
"notion": {
"command": "npx",
"args": ["-y", "@notionhq/notion-mcp-server"],
"env": {
"NOTION_API_KEY": "your_key_here"
}
}
}
}
一度繋いだら、Claude Codeが起動するたびに自動で接続します。
代表的なMCP一覧
使える頻度が高い順に整理しました。
情報管理・コミュニケーション
| MCP | できること |
|---|---|
| Notion | ページ読み書き・検索・データベース操作 |
| Slack | メッセージ送信・チャンネル操作 |
| Google Calendar | 予定の追加・変更・確認 |
| Gmail | メール読み書き・送信 |
医療・研究
| MCP | できること |
|---|---|
| PubMed | 論文検索・要約 |
| Web検索(Brave等) | リアルタイム検索 |
開発・データ
| MCP | できること |
|---|---|
| Supabase | データベースのクエリ・操作 |
| Google Analytics | アクセスデータ取得・分析 |
| Search Console | 検索ワード・SEOデータ |
| GitHub | Issue管理・PRレビュー |
MCPの種類:公式・コミュニティ・自作
MCPには3つの出所があります。
公式MCP AnthropicやNotionなどのサービス提供会社が作ったもの。 品質が安定していて、ドキュメントも整っています。
コミュニティMCP 開発者がGitHubで公開しているもの。 数が多く、ニッチな用途に対応したものも揃っています。 使用前にコードを確認する習慣をつけると安心です。
自作MCP 自分の業務に特化した機能を作る。 Lesson 08 で実際に作ります。
MCP探しの場所
すでに何百ものMCPが公開されています。
- MCP.so ─ MCP検索エンジン
- Awesome MCP Servers ─ GitHub上のまとめ
- Anthropic公式サイトのMCPカタログ
「PubMed MCP」「Notion MCP」のように、使いたいツール名 + MCP で検索すると見つかります。
注意:MCPはインターネットを通る
重要なことを先に伝えます。
MCPを使うと、Claude Codeが外部サービスに接続します。 これはインターネットを通したデータのやりとりを意味します。
患者の氏名・ID・所見、自分の認証情報(パスワード・APIキー)は、MCPを通じて外部に送らないことが原則です。
セキュリティの詳細は Lesson 07 で扱います。 今は「繋いだら外部と通信している」という意識を持っておくだけで十分です。
まとめ
- MCP = Claudeに「この道具を使っていい」と許可を渡す仕組み
- MCPサーバーが外部ツールへの橋渡しをする
- 代表例:Notion・Slack・Calendar・PubMed・Supabase
- 公式・コミュニティ・自作の3種類がある
- 接続はコマンド1行か設定ファイルへの追記
次は Lesson 03。PubMed MCPを実際に繋いで、論文検索を会話で完結させます。
演習:自分が繋ぎたいMCPを3つ挙げる
Lesson 01 で書き出した「手作業コスト」を見返してください。
その手作業を減らすために、どのMCPが使えそうでしょうか。 3つ以内で、具体的なMCPの名前を書いてみてください。
書いたものが、Lesson 03〜04での実装ターゲットになります。