このレッスンで終わる頃には
- Claudeを自分のアプリの中で動かす方法が分かる
- 顧客向けFAQチャット、見積書の自動下書きみたいなものが作れるようになる
- APIキーの正しい扱い方と、systemパラメータでのガード方法が分かる
このレッスンで作るもの
Claudeを「みんなに使わせる」立場へ
ここまで、Claudeは自分が使う道具だった。
でも、例えば自社のサイトに「よくある質問チャット」を置きたくなったとする。お客様にClaude Codeを開いてもらうわけにはいかない。
自分のWebアプリの中にClaudeを埋め込む必要がある。
それを実現するのがAPI(エーピーアイ)。正式名称は気にしなくていい。

作れるものの例
APIを使うと、こういうのが作れる:
Claudeの頭脳を借りて、自分のアプリに組み込む。現場の経験と掛け合わせると、強いツールが作れます。
準備: APIキーをもらう
Anthropicの公式サイトで、APIキーという通行証をもらう。

旧Anthropic Console。APIキー発行・利用状況の確認・上限設定はすべてここから。
注意
このキー、絶対に漏らさない
- コードに直接書かない(GitHubに上げたら誰でも見える)
- Slackで共有しない
- READMEに書かない
漏れると他人があなたのアカウントでAPI使って、請求だけあなたに来る事態に。
キーをPCに保存する
「環境変数」という場所に入れるのが作法。ターミナルでこう打つ:
$echo 'export ANTHROPIC_API_KEY="さっきコピーしたやつ"' ~/.zshrc
$source ~/.zshrc
以後、コードからは ANTHROPIC_API_KEY という名前で呼び出せる。直接書かなくてよくなる。

10行でAIと対話するコード
Claudeに頼む:
$ask_claude.py というPythonスクリプトを作って。anthropic SDK を使って、claude-sonnet-4-6 に「新人が経費精算で知っておくべきことを3つ」を聞くだけのシンプルなやつ。
中身はこんな感じ:
import anthropic
import os
client = anthropic.Anthropic(
api_key=os.environ["ANTHROPIC_API_KEY"]
)
message = client.messages.create(
model="claude-sonnet-4-6",
max_tokens=1024,
messages=[
{"role": "user", "content": "新人が経費精算で知っておくべきことを3つ教えて"}
]
)
print(message.content[0].text)
実行:
$pip install anthropic$python ask_claude.py
- 領収書の原本は必ず保管する。精算が済んだあとも一定期間は捨てない。
- 交通費は最短経路が基本。遠回りした分は理由の説明が要ることが多い。
- 締め切りを過ぎると翌月扱いになる会社が多いので、提出は早めに。
数秒で回答が出る。10行で、自分のコードからClaudeに質問できる状態に。
何してるか、ざっくり
client = anthropic.Anthropic(...)→ 受付に着いた状態client.messages.create(...)→ Claudeにメッセージ送信print(...)→ 返事を表示
コード自体はClaudeに書かせて、自分は「何させるか」を考える。これが使い方です。

Python・TypeScript・Java など各言語のSDKリファレンス。インストールから最初のコールまで一気通貫。
messages.create() の全パラメータ。max_tokens, temperature, stop_sequences など。
もう一つの経路: CIやスクリプトから直接呼ぶ
APIキーとSDKだけが、Claudeをスクリプトに組み込む方法ではありません。Claude Code自体を、ターミナルから1回きりの実行として呼び出す方法もあります。対話画面は開かず、指示を渡してすぐに結果だけを受け取る、ヘッドレスモードと呼ばれる使い方です。
claude -p "指示"のように実行すると、CIパイプラインの1ステップに組み込んだり、定期実行に使ったりできます。ここで覚えておくと得をするフラグが2つあります。
1つ目は --bare です。
“Add --bare to reduce startup time by skipping auto-discovery of hooks, skills, plugins, MCP servers, auto memory, and CLAUDE.md.”
筆者訳hooks・skills・plugins・MCPサーバー・auto memory・CLAUDE.mdの自動探索を飛ばして起動時間を短縮するには、--bare を追加する。
CIやスクリプトでは、どの端末で実行しても同じ結果になることが大事です。誰かの ~/.claude に置かれたhookや、プロジェクトの .mcp.json に書かれたMCPサーバーが、実行のたびに結果を変えてしまっては困ります。--bare は、それらの自動探索そのものを飛ばすことで、この問題を避けます。
$claude -p --bare "この社内マニュアルのtypoを直して"
hooks・skills・plugins・MCPサーバー・auto memory・CLAUDE.mdの探索をすべて飛ばして起動。どの端末で実行しても同じ挙動になる。
2つ目は --json-schema です。
ヘッドレスモードの出力は、そのままでは自由形式の文章です。後続の処理に渡すなら、決まった形で返ってきてほしいことがほとんどです。--output-format json --json-schema '{...}'を組み合わせると、指定したJSON Schemaに沿った出力を structured_output フィールドに強制できると説明されています。スキーマの形式が壊れている場合は、黙って無視されるのではなく、明確なエラーで止まる仕様です。
$claude -p --output-format json --json-schema "この報告書を1文で要約して"
APIとヘッドレスモード、どちらを選ぶかは目的次第です。自分のアプリの中でユーザーとやりとりさせたいならAPI、社内の自動化フローに1ステップとして組み込みたいならヘッドレスモード、と考えると迷いません。
応用: 顧客向けFAQチャット
自社のサイトで「よくある質問」を答えるチャットを置きたい、でもChatGPTみたいに何でも答えるのは困る。
自分が監修した情報の範囲だけ回答させたい。
APIの systemパラメータ がそれを実現する:
message = client.messages.create(
model="claude-sonnet-4-6",
max_tokens=1024,
system="""あなたは自社サービスのFAQアシスタントです。
以下のルールを必ず守ってください:
- 承認済みFAQ以外の質問には「申し訳ありませんが、その質問には
お答えできません。直接サポート窓口にお問い合わせください」と返す
- 契約内容や料金プランに関する個別の判断はしない
- 承認済みFAQ:
- 利用開始の手順
- 解約時の注意点
- 障害発生時の対応状況
""",
messages=[
{"role": "user", "content": "サービスが急に使えなくなりました。どうしたらいいですか?"}
]
)
systemに書いたルールの範囲内だけで回答する。範囲外は「お答えできません」でガードされる。
自分が監修した情報だけに基づくAIチャット、これで作れます。
視点
現場の経験 × Claudeの言語能力
APIを手に入れると、他の人のためのツールを作れるようになる。
顧客向け、同僚向け、部署向け。あなたの現場の経験と組み合わさると、まだ世に無いツールが生まれます。
料金: いくらかかる?
従量課金。使った分だけ。ざっくり:
APIコンソールで「月100ドルで止まる」みたいな上限設定もできる。これを入れておくと安心。

モデル別の入出力単価。Sonnet 4.6 / Haiku 4.5 / Opus 4.7 を比較しながら設計に使う。
ここから先
Claude Codeは自分の生産性を上げる道具だった。
APIを持つと、自分が作ったアプリの中でClaudeが動く。他の人に使ってもらえるツールが作れる立場になる。
これ、あなたのキャリア後半に向けて、一人で誰かを助ける範囲を広げる強力な武器になります。
まとめ
- API = Claudeを自分のアプリから呼び出す仕組み
- APIキーを取って、環境変数に保存(コードに直書き禁止)
- Pythonで10行書けば、Claudeとのやりとりが始まる
systemパラメータで「このルールの範囲内だけで答えて」ができる- CIやスクリプトに組み込むだけなら、ヘッドレスモード(
claude -p --bare)という選択肢もある - 料金は従量課金、上限設定しておけば安心
次は Learning Mode。自分の学習を加速させる使い方。入門編の知識を深めるパート。
明日のアクション
- console.anthropic.com でアカウント作成 → APIキー取得
- 環境変数に保存
- レッスン内のPythonスクリプトを実行して、Claudeから返事が返ってくることを確認
- 自分の専門領域で1つ質問を投げてみる(「自分の業務の〇〇について、新人向けに5つポイントを」みたいな)
- APIコンソールで月額上限を設定(最初は$20くらいで十分)
「自分のコードからAI呼び出した」感覚、1回味わうと見方が変わります。
