このレッスンで終わる頃には
- Claudeを「答え製造機」から「考えさせられる相手」に切り替えられる
- 試験勉強、論文読解、コード理解で 記憶の定着が上がる 使い方ができる
- 実務時とのモード使い分けが身につく
このレッスンで作るもの
AIに頼るほど、頭に残らない問題
ここまで、Claudeに「作って」「直して」と頼んで、返事をもらってきた。便利。
でも、正直なところ、自分の頭で考えた感 ありますか?
AIから答えもらって貼る。動く。次また聞く。また動く。
この繰り返しだと、自分に残るものが少ない。
患者さんに薬の名前だけ教えても、なぜその薬か を理解してないと応用が効かないのと同じ。自分の中にパターンが溜まらない。
そこで使えるのが Learning Mode。答えを教えずに、質問で返してくる モード。

2種類ある
まずClaude Codeの方から。
/output-styles で切り替える
Claude Codeのターミナルで:
$/output-styles選択肢:[1] Normal - 普通モード(答えをそのまま返す)[2] Explanatory - 説明モード(なぜそう書くかを解説)[3] Learning - 学習モード(TODOで自分に書かせる)
→ 選択肢が出る。注目は2つ。
Explanatory(説明モード)
コードを書きながら、なぜその書き方なのか を逐一説明してくれる。「ここでuseState使うのは、コンポーネントの状態管理のため」みたいに。
初心者がコードの意味を追いかける 時に向く。
Learning(学習モード)
コードの一部を TODO コメントにして、自分で書かせる モード。
「ここはあなたが書いて。ヒント:配列のfilterメソッドで絞り込みできるよ」と導いてくれる。
手を動かして覚えたい 時に使う。
体験: 同じ質問を2つのモードで比べる
試しに同じ質問を投げてみる。
質問: 「患者リストから5歳未満を絞り込むスクリプト作って」
Normalモード
完成したコードがそのまま返ってくる。コピペして終わり。
Learningモード
const fs = require('fs');
const patients = JSON.parse(fs.readFileSync('patients.json', 'utf-8'));
// TODO: patientsから age < 5 の患者を抽出してください
// ヒント: 配列の filter メソッド
// const youngPatients = patients.filter(...)
// TODO: 抽出した患者の名前と年齢を表示してください
// ヒント: forEach か for...of
骨組みは作ってくれるけど、核心は自分で書く。考えて、試して、動かす。この過程が記憶に残る。
「自分で考えた」は定着する
認知科学の研究で、自分で考えて導き出した知識は、受け身で教わった知識より定着する ことが分かってる(generation effect)。Learning Modeはこの原理をコーディング学習に応用したもの。
自分で生成した情報は受け身で学んだ情報より記憶に定着するという古典的研究。Learning Modeの理論的背景。
医療者こそ使いたい3場面
Learning Modeはコードだけじゃなく、医療の学習全般 でも強力。
場面1: 専門医試験の勉強
Claude.aiのLearning Modeをオンにして:
$川崎病の診断基準を教えて川崎病の主要症状は6つあります。発熱はその1つ。残り5つのうち、皮膚に関連するものはいくつあると思いますか?まずそこから考えてみましょう。
→ 自分で思い出す。「えーと、発疹と…四肢の変化と…」
この 思い出すプロセスが記憶を強化する。読むだけじゃ起きない脳の動き。
場面2: 論文の批判的読解
抄録を貼って「限界を教えて」の代わりに、Learning Modeでは:
「この研究デザインを見て、交絡因子として考えられるもの は何?」
と返ってくる。
自分でバイアスやlimitationsを考える訓練。論文を書く側 に回った時に直接効く。
場面3: コードの理解
Claudeに自分のコードを見せて「この関数は何してる?」と聞くと、Learningでは:
「この関数の引数のpatientsは配列です。返り値は何型になる と思いますか?」
コードを読む力は、書く力の土台。ここを鍛えると応用が効く。
モードの使い分け
いつでも切り替えOK
/output-styles はセッション中いつでも切り替えられる。Learningで詰まったらExplanatoryでヒント、理解できたらLearningに戻る。この往復が一番効率いい。
Claude.ai 側の Learning Mode
Webブラウザやアプリ側でも使える。
→ 以降、すべてのチャットがソクラテス式に。
専門医試験の勉強、英語論文読解、統計の理解。答えを聞く前に自分で考えるクセ がつきます。
Anthropic公式のLearning Mode紹介記事。設計思想と教育機関での導入事例。
実務時はオフ
Learning Modeは 学習のための機能。臨床で急いで薬用量確認したい、みたいな場面ではOFFに。
学ぶ時間と実務の時間を分ける、この使い分けが大事。
海外の大学ではもう標準
Claude for Education という教育機関向けプランがあって、Northeastern大学、LSE、Columbia大学などが正式導入してる。
共通するのは 「AIに答えをもらう」→「AIに考えさせられる」への転換。
医学教育も同じ方向に向かってる。OSCEでもCBTでも、丸暗記より 臨床推論 が問われる。Learning Modeで鍛えた「自分で考える筋肉」は、試験にも臨床にも効く。

教育機関向けプランの紹介。Learning Modeを中核に据えた使い方が解説されている。
「正しい問いを立てる力」
入門編の最後に「全部を知る必要はない、正しく質問する方法 を知っていればいい」と書きました。
Learning Modeは、その「正しく質問する力」を育てる道具でもある。Claudeが返してくる問いのパターンを見てると、自分でも質問の立て方が上手くなる。
「この関数がエラーを出す」じゃなくて、「この関数にnullが渡されたときにTypeErrorが出る。入力のバリデーションを追加すべきか、呼び出し元で保証すべきか」と聞けるようになる。
これ、患者に問いを立てる力と地続き。ClaudeとOSCE、繋がってる気がします。
まとめ
- AIから答えもらうだけだと 自分に残らない
- Learning Mode = 答えを教えず、質問で返してくる
- Claude Code:
/output-stylesでLearningに切替 - Claude.ai: Settings でLearning Modeトグル
- 新しいことは Explanatory → 定着させたいことは Learning の往復
- 実務中はOFFに(急ぎの時は答えをもらう)
次は Dispatch。スマホから自宅PCのClaudeを動かす、移動中も止まらない仕組み。
明日のアクション
Claude Codeで /output-styles を実行して、Learningモードに切り替えてみてください。
その状態で、今勉強したいテーマ(専門医試験の疾患、プログラミング概念、なんでも)を1つ質問してみる。
「答えをもらう」じゃなくて「自分で考えて答えに辿り着く」体験。詰まったらExplanatoryに切り替えてヒント、また戻る。この往復が効きます。
