

このレッスンで終わる頃には
- Deep Researchを臨床に使う前の「安全の線引き」を、自分の言葉で言える
- PHIを入れない判断と、レポートを臨床判断に直接使わない境界を持てる
ここまで5レッスンで、Deep Researchを速く安全に使う技術を身につけました。最後に、この道具の免許を確認します。免許とは、次のレベルの行為をする前に必ず身につけておく安全の線引きのことです。
免許1: PHIを入れない
Deep Researchも生成AIです。入力した内容は、サービス側に送られます。だから、患者を特定できる情報(PHI)は入れない。
- 氏名・ID・生年月日は、記号や仮名に置き換える
- 稀な疾患・特徴的な経過は、特定につながらないよう一般化する
- 症例の下調べをするときも、匿名化してから問いを立てる
Deep Researchは「調べ物」の道具なので、そもそも個別患者の情報を入れる必要はほとんどありません。一般的な臨床疑問の形にして問うのが、速さと安全の両方にかないます。
免許2: レポートは仮説生成まで
これがこのコースで最も大事な線引きです。
Deep Researchのレポートは、仮説を生むところまでが仕事です。「こういう論点がありそうだ」「この方向で調べればよさそうだ」という当たりをつける。ここまでは絶大な力を発揮します。
しかし、目の前の患者の診療判断を、レポートで決めてはいけません。診療判断は、一次情報(ガイドライン・原著)と、あなた自身の臨床の頭で下します。レポートはそこへ向かう地図であって、判断そのものではありません。
- レポートで当たりをつける → やってよい
- レポートの引用を原文で確かめる → 必ずやる
- レポートを根拠に治療を決める → やってはいけない
免許3: 最新性を過信しない
Deep Researchが巡回できるのは、限られた範囲です。ごく最近のガイドライン改訂や、最新の重要な報告が、レポートに反映されていないことがあります。
だから「レポートに載っていない=存在しない」ではありません。最新性が重要なテーマほど、学会の公式最新版・最近の主要文献を、自分で確認する。レポートの網羅性を、過信しないことです。
この道具の、正しい使い手になる
3つの免許は、どれも「AIを疑え」という話ではありません。この道具が得意なこと(下調べ)を最大限に使い、苦手なこと(最終判断・最新性・個別患者)は人間が引き受ける、という役割分担です。
これは、検証入門コースで学んだ信頼較正そのものです。Deep Researchを過信もせず、拒絶もせず、正しい距離で使う。その使い手になれれば、あなたの下調べの時間は、大きく戻ってきます。
今日のまとめ
3行で振り返ります。
- PHIは入れない。Deep Researchは一般的な臨床疑問の形で問えば足りる
- レポートは仮説生成まで。当たりをつけるのに使い、診療判断は一次情報と自分の頭で下す
- 最新性を過信しない。重要なテーマは学会の公式最新版を自分で確認する
これでDeep Research入門は修了です。ここで身につけた「地図で当たりをつけ、原文で確かめる」を、日々の下調べに持ち込んでください。
