

このレッスンで終わる頃には
- Deep Researchのレポートの引用を、一次情報まで辿って確かめられる
- 引用の誤りを「実在・中身・文脈」の3点で見分けられる
Deep Research のレポートは、引用が付いています。これが便利であると同時に、いちばん危ない理由でもあります。引用が付いていると、確かめずに信じたくなるからです。この一手間を飛ばすと、捏造された文献ごと学会発表に載せてしまいます。
引用付きは、安心の証拠ではない
前提を確認します。Deep Research も生成AIであり、引用を捏造することがあります。実際、汎用モデルの引用を人手検証した研究では、捏造が珍しくないと測定されています(検証入門コース参照)。
つまり、レポートに並ぶ「それらしい文献リスト」は、確かめるべき仮説の束であって、確定した事実ではありません。ここで工程を1つ増やします。地図(レポート)を、確かな情報に変える工程です。
3点で確かめる
引用は、次の3点を順に見ます。
- 実在するか: その論文・ガイドラインは本当に存在するか
- 中身が合っているか: レポートの要約は、原文の主張と一致しているか
- 文脈がずれていないか: 別の集団・別の条件の話を、当てはめていないか
1. 実在するか
いちばん多い誤りです。著者名・年・雑誌名が揃っていても、まるごと架空のことがあります。PubMedで著者名とタイトルを検索し、ヒットするかを見ます。ヒットしなければ、その引用は無効。レポートの該当箇所も一緒に疑います。
2. 中身が合っているか
実在しても、要約がずれていることがあります。「有効だった」とレポートにあるのに、原文は「有意差なし」だった、という取り違えです。実在を確認したら、アブストラクトだけでも原文を開き、レポートの要約と突き合わせます。
3. 文脈がずれていないか
原文も要約も正しくても、当てはめる相手が違うことがあります。成人の研究を小児の話に混ぜる、別の病態の数字を持ち込む。レポートが結論を急いでいるときほど、この取り違えが起きます。
全部ではなく、効く引用から
レポートに20本の引用があっても、全部を検証する必要はありません。あなたの結論を支える中心的な引用から確かめます。
- レポートの主張のうち、自分が実際に使う部分はどこか
- その部分を支えている引用はどれか
- その引用だけ、3点(実在・中身・文脈)で確かめる
こうすれば、検証は現実的な時間で終わります。地図の全部を歩き直すのではなく、自分が通る道だけを舗装するイメージです。
今日のまとめ
3行で振り返ります。
- Deep Researchのレポートの引用は、確かめるべき仮説の束であって、確定した事実ではない
- 引用は「実在するか→中身が合っているか→文脈がずれていないか」の3点で確かめる
- 全部ではなく、自分の結論を支える中心的な引用から確かめれば、現実的な時間で終わる
次のレッスンでは、3つの主要なDeep Researchを、目的に応じて使い分ける方法に進みます。
