生成AIの機能の中で、医師の時間を最も大きく取り戻すのが Deep Research です。ただし、使いどころを間違えると期待外れに終わります。まず、これが何者かをはっきりさせます。
検索でも、チャットでもない
ふつうの検索は、キーワードに合うページを一覧で返すだけ。ふつうのチャットは、1回のやりとりでそれらしい答えを返すだけ。Deep Research はその中間で、もっと粘り強い動きをします。
計画を立てる
質問を調べる項目に分解する
情報源を巡回
複数のサイト・論文を次々に読む
レポートにまとめる
引用付きの一つの文書にする
人間がやると数時間かかる下調べを、指示ひとつで自律的に進める。「学会発表のために、あるテーマの最近の動向を整理したい」なら、検索して何本も開いて読んでメモする半日仕事を、Deep Research は下請けに出すイメージです。
向く仕事、向かない仕事
強力ですが万能ではありません。仕分けが要ります。
向く仕事、向かない仕事
学会準備・抄読会の背景の下調べ(あるテーマの最近の流れをつかむ)
臨床疑問のとっかかりを作る(何を調べればいいかの地図を得る)
複数の情報源を横断してまとめる作業(1本ずつ読む前の見取り図)
その場の臨床判断(目の前の患者の治療を、これで決めてはいけない)
最新性が命の情報(学習データや巡回範囲の外にある、ごく最近の改訂)
一次情報そのものの代わり(レポートは下調べであって、原文ではない)
レポートは「地図」であって「目的地」ではない
Deep Research が返すレポートは、よくできた地図です。全体像を素早く見せてくれますが、目的地そのものではありません。レポートに載った引用は、必ず原文に当たって確かめる。これは前提です。AIが引用を捏造することは検証入門コースでも扱うテーマで、Deep Research も例外ではありません。