

このレッスンで終わる頃には
- Deep Researchが、検索ともチャットとも違う「自律的な下調べ」だと分かる
- 自分の仕事のうち、何をDeep Researchに任せ、何を任せないかを仕分けできる
生成AIの機能の中で、医師の時間を最も大きく取り戻すのが Deep Research です。ただし、使いどころを間違えると期待外れに終わります。まず、これが何者かをはっきりさせます。
検索でも、チャットでもない
ふつうの検索は、キーワードに合うページを一覧で返すだけ。ふつうのチャットは、1回のやりとりでそれらしい答えを返すだけ。Deep Research はその中間で、もっと粘り強い動きをします。
質問を受けると、Deep Research はまず調べる計画を立て、複数の情報源を次々に巡回し、集めた内容を引用付きの一つのレポートにまとめて返します。人間がやると数時間かかる下調べを、指示ひとつで自律的に進める。ここが決定的な違いです。
たとえば「学会発表のために、あるテーマの最近の動向を整理したい」というとき。従来なら検索して、何本も開いて、読んで、メモして、と半日仕事でした。Deep Research は、この一連を下請けに出すイメージです。
向く仕事、向かない仕事
強力ですが万能ではありません。仕分けが要ります。
向く仕事
- 学会準備・抄読会の背景の下調べ(あるテーマの最近の流れをつかむ)
- 臨床疑問のとっかかりを作る(何を調べればいいかの地図を得る)
- 複数の情報源を横断してまとめる作業(1本ずつ読む前の見取り図)
向かない仕事
- その場の臨床判断(目の前の患者の治療を、これで決めてはいけない)
- 最新性が命の情報(学習データや巡回範囲の外にある、ごく最近の改訂)
- 一次情報そのものの代わり(レポートは下調べであって、原文ではない)
境目はシンプルです。「調べ物のとっかかり」には最高の相棒、「最終判断の根拠」には不適。この線を最初に引いておくと、あとで裏切られません。
レポートは「地図」であって「目的地」ではない
Deep Research が返すレポートは、よくできた地図です。どこに何がありそうか、全体像を素早く見せてくれます。
しかし地図は目的地そのものではありません。レポートに載った引用は、必ず原文に当たって確かめる。これは前提です。AIが引用を捏造することは、検証入門コースで見たとおりで、Deep Research も例外ではありません。地図で当たりをつけ、原文で確かめる。この2段構えで、はじめて安全に速くなります。
今日のまとめ
3行で振り返ります。
- Deep Researchは、計画→巡回→引用付きレポートまでを自律で進める「下調べの下請け」
- 学会準備・抄読会・臨床疑問のとっかかりに向く。その場の臨床判断・最新性が命の情報には向かない
- レポートは地図。載った引用は必ず原文で確かめてから使う
次のレッスンでは、自分の臨床疑問を1つ、実際にDeep Researchで回してみます。
