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研究計画書を先に書く

  • レッスン 2 / 6
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問い、デザイン、アウトカム、解析計画の順で、データを集める前に研究計画書を書く。AIに下書きさせてよい部分と、自分で決めて動かさない部分の線引きを身につける。

このレッスンで

終わる頃には、次ができるようになります

  • 研究の問いをデザイン・アウトカム・解析計画とセットで一文にできる
  • データを集め始める前に計画書を固定する理由を説明できる
  • AIに任せてよい部分と自分で決めて動かさない部分を切り分けられる

前のレッスンで、自分が作った道具のログは、QIか観察研究か症例報告かの器になると分かりました。器が決まったら、次にやることは一つです。データを集め始める前に、計画書を書きます。

順番はここでは絶対です。先にログを集めてから「これで何が言えるか」を考え始めると、都合のいい切り口を後から探す作業になります。差が出た変数だけを拾い、差が出なかった変数は「今回は評価しなかった」ことにする。悪意はなくても、これは起きます。計画書を先に書くのは、この誘惑から自分を守る仕組みです。

なぜ先に固定するのか

研究計画書は、論文の一部ではありません。データを見る前の自分と、データを見た後の自分を切り離すための文書です。

固定すべきものは4つあります。問い(何を明らかにしたいか)、デザイン(QI・観察研究・症例報告のどれで見るか)、アウトカム(何をもって結果とするか)、解析計画(その結果をどう扱うか)。この順で埋め、埋め終わったら日付を入れて動かしません。あとから都合よく書き換えた計画書は、計画書としての役目を果たしません。

書く量は多くなくて構いません。自分の道具を使った小さな研究なら、A4で1〜2枚のメモで十分です。分量よりも、データを見る前に書き終えているかどうかが結果を左右します。

問いを一文にする

まず、明らかにしたいことを一文にします。「このツールは役に立っているか」では、問いとして緩すぎます。何を、誰に対して、いつ測るかまで入れて初めて、検証できる問いになります。

たとえば、外来の問診下書きをAIで作るツールを3か月使ったとします(架空の例です)。緩い問いは「このツールで診療が楽になったか」。検証できる問いにすると「このツールを使った外来と使わなかった外来で、問診票の記載完了までの時間に差があるか」になります。後者なら、何を測ればよいかが一意に決まります。

問いが決まったら、次はその問いをどの型で検証するかです。

デザインを選ぶ

前のレッスンで見た3つの型は、それぞれ集めるべきデータが違います。

QIなら、指標を1つか2つに絞り、導入前後の推移をラン・チャートで追います。比較群は要りません。自分の部署の「前」と「後」だけで判断します。観察研究なら、比較する2群(使った/使わなかった、あるいは導入前/導入後の期間)を先に決め、両群で同じ項目を同じ方法で記録します。症例報告なら、比較や統計解析は基本的に不要で、経過を時系列で正確に記述することが計画のすべてになります。

ここでデザインを取り違えると、後で挽回できません。比較群のデータを記録しないままQIのつもりで進め、あとから観察研究として発表しようとしても、比較対象がない以上どうにもなりません。デザインは、問いを決めた直後、データを触る前に確定させます。

アウトカムを先に決める

アウトカムとは、「何をもって結果とするか」の定義です。ここが一番、後知恵の入り込む余地があります。

主要アウトカム(primary outcome)を1つ決めます。副次アウトカム(secondary outcome)は、あっても2〜3個までに絞ります。測定するタイミング(例: 導入から4週後)と、測る方法(例: 電子カルテのタイムスタンプ差)も、この段階で言葉にしておきます。

やってはいけないのは、データを見てから「この変数も測っておけばよかった」と気づき、それを主要アウトカムに格上げすることです。これをやると、その研究は「差が出た指標を後から主要アウトカムと呼んだ」研究になります。副次的な発見として書くのは構いません。しかし主要アウトカムとして扱うなら、次の研究として計画をもう一度書き直します。

解析計画を先に書く

集めたデータをどう扱うかも、データを見る前に決めます。

QIなら、ラン・チャートの読み方(中央値からの連続した外れをルールとして決めておく)が解析計画です。観察研究なら、2群の比較に使う統計手法(連続値なら平均や中央値の比較、二値変数なら割合の比較)を、アウトカムの型に合わせて先に選びます。どの手法を使うかの判断は、推測統計の基礎で扱った、データの型に応じた検定の選び方がそのまま使えます。症例報告なら解析計画は基本的に不要です。

小規模な研究では、検出力計算(必要な症例数の見積もり)まで厳密にやる必要はありません。ただし「何例集めたら区切りをつけるか」だけは先に決めます。決めずに始めると、望む結果が出るまでデータを集め続けてしまう理由になります。

AIに書かせてよい部分、自分で決める部分

ここまでの4つを埋める作業自体は、AIに手伝わせて構いません。ただし、線引きが要ります。

AIに任せてよい自分で決めて動かさない
問いの言い回しの整理、選択肢の提示最終的にどの問いを選ぶか
デザインの一般的な長所短所の説明自分の道具・自分のデータに合うデザインの決定
アウトカムの候補出し、測定方法の文献的な相場観主要アウトカムを1つに絞る決定
解析手法の候補出しと、その根拠の説明決めた解析計画を後から変えないという決定
計画書の文章としての下書き、表現の整理計画書を「これで確定」とする日付の決定

AIは、候補を広げ、専門用語を整理し、下書きを速くする役に立ちます。しかし「これに決める」「これで固定する」という決定そのものは、AIに預けられません。AIには、あなたが集めているデータの臨床的な文脈も、この研究をどこまで厳密にやる余裕があるかも分かりません。決めるのは、道具を作った本人です。

SourceAMPL LEARN
研究計画書作成支援

問い・デザイン・アウトカム・解析計画をAIと一緒に肉付けする、ステップごとのプロンプト例

記事AMPL learn ガイド
amplinc.com/knowledge/research-protocol

今日のまとめ

3行で振り返ります。

  • データを集め始める前に、問い・デザイン・アウトカム・解析計画の4つを埋めて固定する
  • 主要アウトカムは1つに絞り、データを見てから格上げしない
  • AIは候補出しと下書きまで、「これに決める」はいつも自分の決定として残す

次のレッスンでは、道具のログを研究データとして持つときに、個人情報をどう扱うかに進みます。

セルフチェック

1. 研究計画書をデータ収集の前に固定しておく、最大の理由は何ですか

2. QIとして進めるつもりだった取り組みを、後から観察研究として発表したい場合に起きる典型的な問題は何ですか

3. AIに任せてよい作業と、自分で決めて動かさない事柄の関係として正しいものはどれですか

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