第2回で、保護者向けの説明ページを1枚作りました。 あれは「動くものが手元に来る」感覚を持って帰る回でした。
第5回は、もう一段だけ腰を据えて、医療現場の道具になりそうな1本を作ります。 所要時間は10分。 道具はやっぱり、ChatGPTだけ。
私が初めて作ったアプリは、子どもの体重から解熱薬の量を出すツールでした。 所要時間20分。 内訳は10分が指示の言語化、10分が直しのやりとり。 今日と次回で、その流れを順番に再現してもらいます。
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なぜ、もう一度ChatGPTから始めるのか
理由はとてもシンプルで、いちばんハードルが低いからです。
- アカウントを作れば、すぐ使える
- 無料プランで、十分体験できる
- スマホでも、PCでも、ブラウザだけでOK
- 何かをインストールする作業がない
ここで「インストール」というのは、新しいアプリやソフトを自分のパソコンの中に入れる作業のこと。 ハマる人はここで、平気で半日溶かします。 最初の本格1本では、これを避けます。
世の中には、Vibe Coding専用のもっと強力な道具(Claude Codeなど)もあります。 それらは第8回以降で扱います。
いきなりインストールから入ると、半分の人がここで止まる。 だからまず、すでに多くの人が触っているChatGPTで、感覚を掴んでもらうのが近道です。
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ChatGPTで作れるもの、作りにくいもの
最初に、得意・不得意を伝えておきます。
得意なこと
- HTMLファイル1枚で完結するアプリ
- 計算ツール、入力フォーム、簡易ゲーム、一般情報の説明ツール
- スプレッドシートの代わりになる、シンプルな管理画面
- スマホからも動く、軽いツール
不得意なこと
- 大きなWebサービス(ログイン機能が必要なもの)
- データベースが絡む本格アプリ
- 公開して不特定多数に使ってもらうサービス
このあたりは、第8回以降のClaude Codeの出番です。 今日は「HTML1枚で完結する小さな道具」を1本、一緒に作ります。
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作るもの:体重から、薬の目安量を計算する小さなツール
題材は、私の専門の小児科から取りました。 ただ、考え方は他のジャンルでも全部同じなので、自分の文脈に置き換えながら読んでください。
完成イメージはこうです。
- 子どもの体重(kg)を入力する
- 解熱薬の1回量の目安が表示される
- 注意書きとして「医師の指示の元で使ってください」と入る

これを、ChatGPTに作ってもらいます。
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ステップ1 指示を書く
ChatGPTを開いて、新しい会話を始めます。 そこに、こう書きます。
子どもの体重(kg)を入力すると、解熱薬の1回量の目安を計算してくれる、シンプルなWebページを作ってください。
体重を入れると「目安量:◯mg〜◯mg」と表示されます。 計算式は、体重×10〜15mg/kgです。 ただし、最大量は500mg/回までとしてください。
注意書きとして、「これは目安です。実際の使用は、必ず医師の指示の元で行ってください」と表示します。
一枚のHTMLファイルにして、ブラウザで開いたら動くようにしてください。 デザインは、シンプルで読みやすいものにしてください。
少し長く感じるかもしれません。 でも、ここがこの回の山です。

何を、どう、どこまで、を書く。 これだけで、返ってくるものの質が大きく変わります。
第1回で書いた「いい感じに、では伝わらない」を、ここで実践します。

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ステップ2 出てきたコードを、動かしてみる
ChatGPTは、HTMLファイルの中身(コード)をそのまま返してくれます。 画面にコードがズラッと表示されます。

中身を読まなくていいです。 やることは2つだけ。
- コードの右上の「コピー」ボタンを押す
- PCのテキストエディタに貼り付けて、index.html という名前で保存する

ここで「テキストエディタ」というのは、文字を書くだけの一番シンプルなアプリ。 Windowsなら「メモ帳」、Macなら「テキストエディット」が最初から入っています。 私のイメージは、白紙のノートに字を書くだけのアプリです。

そして、index.html をダブルクリックして開きます。

ブラウザに、入力欄と計算結果が表示されます。 体重を入れて、ちゃんと数字が動くことを確認します。

おめでとうございます。 今、自分のパソコンの中で、自分専用のアプリが動いています。

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今日のまとめ
3行で振り返ります。
- ChatGPTひとつで、HTML1枚のアプリは作れる
- 何を・どう・どこまで、を書ききると、返ってくるものが鮮明になる
- まずは「動いた」を確認するところまで持っていけばOK
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次回予告
第6回は、いよいよ「直す」工程に入ります。 表示が小さい、色を変えたい、単位を表示したい。 そうした希望を、AIに上手く伝えるコツがあります。
事実 → 想定 → 直してほしい点。 この3行で書くだけで、修正の精度が変わります。
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最初の1本ができると、世界が変わります。 私は、これを20本以上繰り返してから、それを実感しています。
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演習:30分の宿題
第5回は、いちばん長い宿題かもしれません。 今日のうちに、自分の現場用の1本を作ってください。
自分の現場で繰り返す数値計算を、入力フォーム化する
職種ごとに3つだけ題材。1つ選んで、第5回と同じ流れで作ります。
題材A(医師向け)
自分の専門領域で繰り返し計算する数値(薬用量・輸液量・栄養必要量・蘇生薬量・スコアリング)から1つ選び、入力フォーム化してください。
例:
- 小児輸液量計算(体重から維持量・補正量)
- 抗生剤の用量計算(体重・腎機能から)
- GCS入力+判定
- APACHE II スコア計算
題材B(看護師・薬剤師向け)
検査値の正常域チェックや、与薬時の確認項目を、入力フォーム化してください。
例:
- 検査値の正常域チェック(年齢・性別から)
- インスリン用量計算(血糖・体重から)
- 与薬前の6Rチェック
- 服薬指導記録テンプレ
題材C(PT/OT・ST・検査・栄養・事務向け)
自分の業務で繰り返すスコアリングや、チェックリスト作業を、スマホで使えるアプリにしてください。
例:
- リハビリ評価(FIM・Barthel Index)
- 嚥下機能スクリーニング
- 栄養必要量の計算(年齢・体重・活動レベル)
- 患者問い合わせフロー判定
完成度70%で十分
第2回で書いた「完成度70%でいい」が、ここでも効きます。 完璧を狙わず、今日のうちに動くものを手元に残してください。
医療職別 実例ギャラリー:賢の運用ツール3つ
私が外来で実際に毎日使っている3つのツール。すべて、第5回と同じ要領で作ったものです。
例1:小児輸液量計算ツール
体重を入れると、維持輸液量・補正輸液量・最大投与量が一覧で出る。 小児科救急外来で、毎日3〜5回使っています。
実装プロンプト(コピペで動きます):
小児の輸液量を計算するシンプルなWebページを作ってください。
入力:体重(kg)
出力:
- 維持量(4-2-1ルール):mL/時間
- 5%脱水補正量:mL/24時間
- 10%脱水補正量:mL/24時間
- 維持量+補正量の合計:mL/時間
注意書きとして「臨床判断は医師の指示に従う」と表示。
スマホで読みやすいデザイン、HTMLファイル1枚で完結。
所要時間15分・難易度★☆☆。
例2:希釈計算ツール(注射薬)
「○○mgを生食何mLで希釈すると、何mg/mLになる?」を一発で出すツール。 注射薬の希釈ミスを防ぐためのチェック用。
例3:年齢別の予防接種スケジュール早見
子どもの生年月日を入れると、その日に打てるワクチン候補が出るツール。 保護者からの問い合わせに即答できるようになりました。
3つとも、HTMLファイル1枚で完結。データベースもサーバーも、不要です。
もっと深く:ChatGPT のモデル選択
ChatGPTには複数のモデルがあります。モデル名は時期によって変わりますが、Vibe Codingで使う観点では次の3つだけ見れば十分です。
標準モデル / Instant系:
- 速く返ってくる
- 第5回のような「HTML一枚もの」なら、これで十分
- 迷ったらまずはこれ
上位モデル:
- より深く考える、複雑な指示に強い
- 標準モデルより応答が遅いことがある
- 第11回以降の「複数機能を持つアプリ」で強み発揮
推論特化モデル:
- 数学・論理問題・コードのバグ解析に強い
- 最初の1本では、過剰スペック
- 詰まったときの相談相手として有用
迷ったら デフォルトのモデル で。 モデル選択の最適化に時間を使うより、自分の手で1本作る方が、はるかに学びが大きいです。
動画で見る
- YouTube:安野貴博「バイブコーディング超入門 第3回」:タイムスタンプ 0:00〜10:00 がほぼ第5回と同じ流れ
参考・出典
- 安野貴博「バイブコーディング超入門講座 第3回 ChatGPTでバイブコーディング」(YouTubeチャンネル「安野貴博の自由研究」、2026年4月)
- OpenAI「ChatGPT」 https://chatgpt.com
