第5回で、ChatGPTに作ってもらった1本のアプリ、まだ手元にありますか。 体重を入れると、解熱薬の目安量が出る、あれです。
今日は、それを「直してもらう」工程に入ります。 ここからが、Vibe Codingの本番です。
書く工程が、話す工程に変わる。 その「話しかけ方」だけで、返ってくるものの質がガラッと変わります。
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まず、直したいところを書き出す
第5回でできたページを開いて、しばらく眺めてみてください。 よくある不満は、こんなところです。
- 数字の表示がもっと大きい方が読みやすい
- 入力欄に「kg」と単位を表示してほしい
- 注意書きの文字色を、赤にしたい
- ボタンが小さくて押しにくい
- 全体がスマホで崩れて見える

ノートにメモしてもいいですし、頭の中で並べるだけでもOK。 ここで「何を直したいか」を整理する作業が、Vibe Codingで一番のスキルです。
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ChatGPTにそのまま続きで話しかける
第5回のChatGPTの会話は、まだ閉じずに残しておいてください。 新しい会話ではなく、その続きで書きます。
ありがとうございます。3つだけ直してください。 ・結果の数字を、もう一段大きく表示してください ・入力欄の横に「kg」という単位を表示してください ・注意書きの文字色を、赤色にしてください

新しいバージョンが返ってきます。 これも同じ手順で、index.html に上書き保存して、ブラウザで開き直します。


何回か繰り返すと、自分の好みに合った道具が完成します。
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「事実 → 想定 → 直してほしい点」の3行ルール

直してもらうときに、いちばん効くのが、この3行ルールです。
例えば、計算結果がおかしいときは、こう書きます。
体重10kgで「150mg〜225mg」と表示されました(事実)。 想定は「100mg〜150mg」です(想定)。 計算式が違うようなので、見直して直してください(直してほしい点)。

事実、想定、直してほしい点。 この3行を分けて書く。 それだけで、AIの修正精度が一段上がります。
逆に「計算結果がおかしいので直して」だけだと、AIは何が「おかしい」のか分かりません。 人間に頼むときと、まったく同じ感覚です。
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直してもらうときに、もう1つ意識したいこと
「ここを変えるなら、他の部分は触らないでください」と添えると、不必要な改変を防げます。
例えば、こう。
ボタンの色だけ、青に変えてください。 計算ロジックや、注意書きの位置は変えないでください。
AIは、頼まれていない部分まで「ついでに整える」ことがあります。 本当にそこだけ触ってほしいときは、はっきり「他は触らないで」と書きます。

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ChatGPTでは、ここから先がしんどい
率直なところ、ChatGPTで完結する範囲には限界があります。
- 1ファイルで完結しない、大きめのアプリ
- データを保存する機能(再起動しても残る、本格的なもの)
- ネット上に公開して、不特定多数に使ってもらう

ここから先は、Claude Codeのようなコーディングエージェントの出番です。
第8回以降で、その一歩先に進みます。
ただ、今日体験した「話して、直してもらう」感覚は、その先でもまったく同じです。 道具が変わるだけで、考え方は変わりません。
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今日のまとめ

3行で振り返ります。
- 直したい点を、まず自分で書き出すことから始まる
- 「事実 → 想定 → 直してほしい点」の3行で、修正の精度が一段上がる
- 「他は触らないで」と書くと、不必要な改変が減る

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次回予告
第7回はコラム回です。 ここまで一緒に手を動かしてきて、どこかで詰まった人もいるはずです。 詰まったときの抜け方を、典型7パターンでまとめます。
スキップしても先に進めますが、ひとつでも当てはまるものがあれば、寄り道して読んでみてください。
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直すときの3行ルールは、コードに限らず効きます。 仕事の依頼、家族との会話、ぜんぶ同じです。
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演習:30分の宿題
第6回は、第5回の続きを直す回です。手元のアプリに、3つだけ修正を入れてください。
自分のアプリに3行ルールで修正を入れる
第5回で作ったアプリ(薬の用量計算ツール、現場のチェックリストなど何でも)を開いて、不満を3つ見つけます。 それぞれを「事実 → 想定 → 直してほしい点」の3行で書いて、ChatGPT に送信。
3回繰り返すと、3行ルールが体に入ります。
詰まったら:意地悪な指示で限界を試してみる
時間が余ったら、ChatGPTを困らせる練習も有効です。
このアプリにログイン機能を追加して。ユーザー登録もできるように。
これは ChatGPT の HTML一枚の世界では完結しません。 返ってくる答えを見て、「ここから先は Claude Code の出番だな」と感覚で分かるようになります。
医療職別 実例ギャラリー:直しの実例
例1:医師・「薬種類選択を1つだけ追加」(賢の場合)
最初に作った解熱薬計算ツールに、こう頼みました。
入力欄の上に薬の選択ドロップダウンを追加してください。
- アセトアミノフェン(10〜15mg/kg、最大500mg)
- イブプロフェン(5〜10mg/kg、最大400mg)
他のロジックや見た目は変えないでください。
5秒で完成。 最初の1本に、機能を1つだけ足す。これが第6回の真骨頂です。
例2:看護師・「申し送りテンプレに優先度フィールド」
申し送りテンプレに「優先度(高/中/低)」のドロップダウンを追加。 3行ルールで「事実:今のテンプレに優先度がない/想定:3段階で選べるドロップダウン/直してほしい点:症状欄の上に追加」と書いて送信。一発で実装。
例3:薬剤師・「相互作用の警告色を強化」
相互作用早見ツールで、重大な相互作用が出たときに赤背景で警告するように修正。 3行ルールで「事実:警告が黒文字/想定:重大なら赤背景/直してほしい点:危険度3段階で色分け」と送信。即座に対応。
もっと深く:3行ルールが効く理由
なぜ3行ルールでAIの修正精度が上がるのか。
LLMは、入力された文脈から「ユーザーが何を求めているか」を推定します。 推定の材料は、ユーザーが書いた言葉だけ。 書かれていない情報は、AIが「だろうな」で補完します。
「計算結果がおかしい」だけだと、AIは:
- どのケースで・どの数値が・どう間違っていたのか
- 想定値が何だったのか
- どこを直すべきと考えているのか
をぜんぶ自分で推定しなければなりません。推定が外れる確率が高い。
3行ルールは、この推定の余地をゼロにする書き方です。 事実(観測値)・想定(期待値)・修正方針(指示)を全部明示することで、AIは推定する代わりに、それを単純に実装するだけになる。
これは、人間に頼むときも同じ。 良い上司や良い同僚は、必ずこの3要素を分けて伝えます。 AIへの指示が、人間関係にも転用できる、という話です。
動画で見る
- YouTube:安野貴博「バイブコーディング超入門 第3回後半」:修正の話法
