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直しを話しかけるコツ
レッスン 6 / 15|15分で読めます

直しを話しかけるコツ

事実→想定→直してほしい点の3行ルール。「他は触らないで」が効く。修正の精度が一段上がる回。

第5回で、ChatGPTに作ってもらった1本のアプリ、まだ手元にありますか。 体重を入れると、解熱薬の目安量が出る、あれです。

今日は、それを「直してもらう」工程に入ります。 ここからが、Vibe Codingの本番です。

書く工程が、話す工程に変わる。 その「話しかけ方」だけで、返ってくるものの質がガラッと変わります。

まず、直したいところを書き出す

第5回でできたページを開いて、しばらく眺めてみてください。 よくある不満は、こんなところです。

  • 数字の表示がもっと大きい方が読みやすい
  • 入力欄に「kg」と単位を表示してほしい
  • 注意書きの文字色を、赤にしたい
  • ボタンが小さくて押しにくい
  • 全体がスマホで崩れて見える
よくある5つの不満を横並びカードで列挙。数字小/kg単位なし/赤くない/ボタン小/スマホ崩れ
まずは「気になる点」を全部書き出すところから。

ノートにメモしてもいいですし、頭の中で並べるだけでもOK。 ここで「何を直したいか」を整理する作業が、Vibe Codingで一番のスキルです。

ChatGPTにそのまま続きで話しかける

第5回のChatGPTの会話は、まだ閉じずに残しておいてください。 新しい会話ではなく、その続きで書きます。

ありがとうございます。3つだけ直してください。 ・結果の数字を、もう一段大きく表示してください ・入力欄の横に「kg」という単位を表示してください ・注意書きの文字色を、赤色にしてください

同じChatGPTの会話に修正依頼を重ね、修正版HTMLカードを開いて確認するまで。
ChatGPTの前の会話の続きに、結果表示、kg単位、注意書きの色を直してほしいと入力している実画面
新しい会話を立ち上げず、続きで頼むのが大事。文脈が引き継がれます。

新しいバージョンが返ってきます。 これも同じ手順で、index.html に上書き保存して、ブラウザで開き直します。

ChatGPTが修正版のHTMLカードを返し、結果表示の拡大、kg表示、注意書きの赤色化、計算ロジック維持を箇条書きしている実画面
ChatGPTが、どこを変えたかまで整理して返してくれます。
ChatGPTのプレビューで、入力欄横のkg表示、赤い注意書き、大きな結果欄が反映された修正版アプリの実画面
3つの指示で、画面の見え方がここまで変わります。

何回か繰り返すと、自分の好みに合った道具が完成します。

「事実 → 想定 → 直してほしい点」の3行ルール

3行ルールの構造図。事実・想定・直してほしい点の3段階段とティール矢印で「修正の精度が一段上がる」
3段で書くだけで、修正精度が一段上がります。

直してもらうときに、いちばん効くのが、この3行ルールです。

例えば、計算結果がおかしいときは、こう書きます。

体重10kgで「150mg〜225mg」と表示されました(事実)。 想定は「100mg〜150mg」です(想定)。 計算式が違うようなので、見直して直してください(直してほしい点)。

ChatGPT に3行ルールに則ったプロンプトを入力している画面。各行に「事実」「想定」「直してほしい点」のティールラベル
このまま貼って送るだけ。テンプレ化できます。

事実、想定、直してほしい点。 この3行を分けて書く。 それだけで、AIの修正精度が一段上がります。

逆に「計算結果がおかしいので直して」だけだと、AIは何が「おかしい」のか分かりません。 人間に頼むときと、まったく同じ感覚です。

直してもらうときに、もう1つ意識したいこと

「ここを変えるなら、他の部分は触らないでください」と添えると、不必要な改変を防げます。

例えば、こう。

ボタンの色だけ、青に変えてください。 計算ロジックや、注意書きの位置は変えないでください。

AIは、頼まれていない部分まで「ついでに整える」ことがあります。 本当にそこだけ触ってほしいときは、はっきり「他は触らないで」と書きます。

左:「他は触らないで」を書かなかった結果、関係ない箇所まで5行変わってしまった画面/右:書いたら1行だけ変わった画面
一言添えるだけで、改変範囲を完全に制御できます。

ChatGPTでは、ここから先がしんどい

率直なところ、ChatGPTで完結する範囲には限界があります。

  • 1ファイルで完結しない、大きめのアプリ
  • データを保存する機能(再起動しても残る、本格的なもの)
  • ネット上に公開して、不特定多数に使ってもらう
ChatGPTで作れる範囲の閾値図。上半分(できる)に1ファイル完結アプリ・計算ツール・スマホ対応フォーム、下半分(できない)にログイン機能・DB連携・公開アプリ。Claude Code(第8回〜)で対応
ChatGPT の限界線。ここから先は Claude Code が引き取ります。

ここから先は、Claude Codeのようなコーディングエージェントの出番です。

第8回以降で、その一歩先に進みます。

ただ、今日体験した「話して、直してもらう」感覚は、その先でもまったく同じです。 道具が変わるだけで、考え方は変わりません。

今日のまとめ

3行ルールの暗記カード。事実/想定/直してほしい点の3行テンプレと「他は触らないで」のティップス
このカードをスクショして、いつでも見返せるように。

3行で振り返ります。

  • 直したい点を、まず自分で書き出すことから始まる
  • 「事実 → 想定 → 直してほしい点」の3行で、修正の精度が一段上がる
  • 「他は触らないで」と書くと、不必要な改変が減る
修正回数の現実図。上に「幻想:1回で完璧」の短いバー、下に「現実:3〜5回が普通」の長いバー
1回で完璧は幻想。3〜5回が標準速度です。

次回予告

第7回はコラム回です。 ここまで一緒に手を動かしてきて、どこかで詰まった人もいるはずです。 詰まったときの抜け方を、典型7パターンでまとめます。

スキップしても先に進めますが、ひとつでも当てはまるものがあれば、寄り道して読んでみてください。


直すときの3行ルールは、コードに限らず効きます。 仕事の依頼、家族との会話、ぜんぶ同じです。

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演習:30分の宿題

第6回は、第5回の続きを直す回です。手元のアプリに、3つだけ修正を入れてください。

自分のアプリに3行ルールで修正を入れる

第5回で作ったアプリ(薬の用量計算ツール、現場のチェックリストなど何でも)を開いて、不満を3つ見つけます。 それぞれを「事実 → 想定 → 直してほしい点」の3行で書いて、ChatGPT に送信。

3回繰り返すと、3行ルールが体に入ります。

詰まったら:意地悪な指示で限界を試してみる

時間が余ったら、ChatGPTを困らせる練習も有効です。

このアプリにログイン機能を追加して。ユーザー登録もできるように。

これは ChatGPT の HTML一枚の世界では完結しません。 返ってくる答えを見て、「ここから先は Claude Code の出番だな」と感覚で分かるようになります。


医療職別 実例ギャラリー:直しの実例

例1:医師・「薬種類選択を1つだけ追加」(賢の場合)

最初に作った解熱薬計算ツールに、こう頼みました。

入力欄の上に薬の選択ドロップダウンを追加してください。
- アセトアミノフェン(10〜15mg/kg、最大500mg)
- イブプロフェン(5〜10mg/kg、最大400mg)
他のロジックや見た目は変えないでください。

5秒で完成。 最初の1本に、機能を1つだけ足す。これが第6回の真骨頂です。

例2:看護師・「申し送りテンプレに優先度フィールド」

申し送りテンプレに「優先度(高/中/低)」のドロップダウンを追加。 3行ルールで「事実:今のテンプレに優先度がない/想定:3段階で選べるドロップダウン/直してほしい点:症状欄の上に追加」と書いて送信。一発で実装。

例3:薬剤師・「相互作用の警告色を強化」

相互作用早見ツールで、重大な相互作用が出たときに赤背景で警告するように修正。 3行ルールで「事実:警告が黒文字/想定:重大なら赤背景/直してほしい点:危険度3段階で色分け」と送信。即座に対応。


もっと深く:3行ルールが効く理由

なぜ3行ルールでAIの修正精度が上がるのか。

LLMは、入力された文脈から「ユーザーが何を求めているか」を推定します。 推定の材料は、ユーザーが書いた言葉だけ。 書かれていない情報は、AIが「だろうな」で補完します。

計算結果がおかしい」だけだと、AIは:

  • どのケースで・どの数値が・どう間違っていたのか
  • 想定値が何だったのか
  • どこを直すべきと考えているのか

ぜんぶ自分で推定しなければなりません。推定が外れる確率が高い。

3行ルールは、この推定の余地をゼロにする書き方です。 事実(観測値)・想定(期待値)・修正方針(指示)を全部明示することで、AIは推定する代わりに、それを単純に実装するだけになる。

これは、人間に頼むときも同じ。 良い上司や良い同僚は、必ずこの3要素を分けて伝えます。 AIへの指示が、人間関係にも転用できる、という話です。


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