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身近な不便を見つける(最初の一歩)
レッスン 1 / 9|19分で読めます

身近な不便を見つける(最初の一歩)

ソロ開発の起点はアイデアじゃなくて、自分の不便です。Shin氏が言う「自分の痛みからの発掘」を、医療現場・日常・副業のどれにでも効く型として整理する。

このレッスンの一行サマリ

ソロ開発の起点は アイデア じゃない。自分の不便 だ。3つの型で棚卸しすれば、明日から発掘できる。

このレッスンで終わる頃には

  • ソロ開発の起点は「アイデア」じゃなくて「不便」だと腹落ちしてる
  • 自分の不便を発掘する3つの型を持ってる
  • 「こんなの、すでにあるんじゃない?」で諦めなくていい理由が分かる

ソロ開発、何から始めるか

Vibe Coding 入門編で1本作ったあなた。

次に手を動かすとき、たぶんこう思いますよね。

何を作ろう。

ここで多くの人が アイデアを探す モードに入る。X見て、誰かが作ったアプリ眺めて、「これいいな」と思いつつ、自分が作ろうとは思えなくて、結局1ヶ月経つ。

これ、本当によくあります。私もそうでした。


起点は「アイデア」じゃなくて「不便」

Shin Coding Tutorial氏がソロプレナー入門の動画で言い切ってます。

自分の不快を解消するアプリを作ってください。

これ、本質を突いてると思います。

起点で何が変わるか

アイデア起点
  • 動機は外(流行・SNS・X)
  • 飽きる
  • 雑になりがち
  • 例:「メモアプリ作ってみよう」
不便起点
  • 動機は内(自分の困りごと)
  • 続く
  • 自分が使うので妥協しない
  • 例:「自分の読書メモが分散してて困る」

理由は3つ:

  1. 継続できる:自分が困ってるから、作ってる間も飽きない
  2. モチベーションが折れない:作りながら自分が使えて、毎日「効いた」が確認できる
  3. 品質が上がる:自分が一番のユーザーだから、雑な仕様で妥協しない

逆に「世間で流行ってるから」「儲かりそうだから」で始めたものは、たいてい途中で飽きます。これ、何度も経験してきました。


なぜ今ソロプレナーなのか

「不便を見つけて作る」が成立しやすくなっている時代背景を、ひとつだけ補足しておきます。

OpenAIのSam Altmanが2026年4月のインタビュー(Huge Conversations)でこう発言しています。

22歳で大学を卒業するなら、史上最も幸運な世代だ。今や「ひとり会社で時価総額1,500億円超」が現実的に可能。過去には数百人のチームが必要だったツールに、誰でもアクセスできる。

AIを作っている当事者本人が、ひとり会社の現実性を口にし始めている。これは煽り文句ではなく、いま起きていることの素朴な観察として聞いた方がいいと思います。

実際、米国の個人開発者 rohit4verse が "The solo founder stack of 2026" でまとめているソロプレナーの編成表は、こう整理されています。

役割2025年までの解2026年のソロプレナー解
エンジニア共同創業者を口説くClaude Code(CLAUDE.md+skills+MCP)
バックオフィス5人雇う(編集・SDR・分析・経理・サポート)5本のパイプライン(週末で組む)
マーケ代理店リテイナーHiggsfield Marketing Studio
調査リサーチャー or 自分の手作業Hermes Agent / OpenClaw(夜間バッチ)
ブランドの顔自分が顔出し or タレント起用AIペルソナ(一度作って使い回す)

「5人ぶんの仕事を、1人で、雇用ゼロで」。これが2026年に現実になりつつある地図です。

ただし、この地図には抜け落ちている前提が1つあります。何を作るか、誰の不便を解くか、どの語彙で語るかは、AIには決められません。 スタックがどれだけ整っても、起点に「自分の不便」がなければ、増幅される中身はゼロのままです。

このVibe Coding 応用編がツールの話より先に「あなたの不便を見つける」から始めているのは、そういう理由です。スタックは後から組めますが、不便だけは自分の生活からしか出てきません。

出典: Sam Altman in Huge Conversations (YouTube, 2026); rohit4verse, "The solo founder stack of 2026" (X, 2026-04-15)


不便を発掘する3つの型

「自分の不便」と言われても、急に思い浮かばないですよね。

3つの型に分けて、自分の生活を棚卸ししてみてください。

キーワード典型例
型1毎週やってる繰り返し作業患者説明資料・シフト調整・読書メモ
型25秒で済むはずが30分かかる領収書精算・PubMedクエリ・連絡帳整理
型3周りの人の愚痴介護スケジュール共有・宿題チェック

型1:毎週やってる繰り返し作業

「これ、また今週もやってるな」

そう感じる作業が、開発する価値のあるテーマです。

例:

  • 患者さんへの説明資料を毎回作り直してる(医療者)
  • スタッフのシフト調整を月1で手動でやってる(管理職)
  • 読んだ本のメモが、Notionとメモアプリと紙に分散してる(誰でも)
  • 来週の献立を毎週日曜の夜に頭で考えてる(家族持ち)
  • 副業の請求書を月末に手書きで作ってる(個人事業主)

「自動化したいけど、市販ツールを契約するほどでもない」のサイズ感が、ちょうどソロ開発の射程です。

型2:5秒で済むはずなのに30分かかってる作業

これは見つけやすい。

例:

  • スマホで撮った領収書を経費精算するのに、毎回フォーマット直してる
  • PubMedで条件絞り込みするのに毎回同じクエリを打ち直してる
  • 子どもの学校の連絡帳を写真に撮ってるけど、後で探せない
  • 自宅で勉強時間を測るのに、ストップウォッチアプリと記録アプリを行ったり来たり

「もっと早く済むはず」 という違和感が、開発の起点になります。

3つの型のキーワード

01

繰り返し作業

毎週やってるな、と感じる業務

02

5秒のはずが30分

本当はもっと早く済むはず

03

周りの愚痴

家族・同僚・友達の困りごと

型3:周りの人の愚痴

自分の不便がパッと浮かばない人は、周りの愚痴を聞く。

家族、同僚、友達。みんな何かしらに困ってます。

例:

  • 「親の介護スケジュール、家族で共有しにくい」
  • 「Slack見落として怒られた」
  • 「子どもの宿題チェックが地味に時間取られる」

聞いて「それ、僕もよく分かる」と思えたものは、自分の不便でもある 可能性が高い。


メモを溜める

不便を見つけても、その場では「ふーん、まあいいか」で流れていきます。

なので、メモに残すルール を作ってください。

不便を感じる
   ↓
1行メモする(その瞬間にスマホ or 紙に)
   ↓
1週間で 5〜10件 溜まる
   ↓
見返す → 何件か 重複してる
   ↓
重複してるもの = 何度も痛みを感じてるテーマ
   ↓
それが「作る価値のあるテーマ」

この 「重複してる」 がポイント。

何度も書いてるものは、毎回そこで痛みを感じているということです。 それは作る価値のあるテーマ。

逆に1回しか書いてないものは、たぶん作っても使わない。

不便メモが「テーマ」に育つまで

01

感じる

瞬間的な不便を1行メモ

02

溜める

1週間で5〜10件

03

見返す

重複を探す

04

決める

重複した1つがテーマ


「これ、すでにあるんじゃない?」問題

不便を見つけて、いざ作ろうと検索してみると、たいてい似たアプリが既にあります。

ここで多くの人が止まります。「もうあるじゃん、作る意味ない」と。

でも、Shin氏も梶谷氏もこの点で同じことを言ってます。

ChatGPTでできるじゃん、で諦めない。 既存サービスがあっても、ニッチに尖らせれば勝てる。

理由は2つ。

大手とソロ開発、戦い場の違い

大手サービス
  • 戦略:最大公約数(みんな使える)
  • 機能の幅:全部入り
  • ターゲット:マス
  • 典型例:Notion / Slack / Evernote
ソロ開発
  • 戦略:最小公倍数(自分1人に最適)
  • 機能の幅:1機能に尖らせる
  • ターゲット:ニッチ
  • 典型例:「自分のToDoだけ」「自分の家族予定だけ」

理由1:自分が使うものに「他人のサービス」は最適化されない

例えば、メモアプリは星の数ほどあります。Notion、Evernote、Bear、Apple Notes...。

でも、自分の使い方に最適化されたメモアプリ は、自分しか作れません。

「タグ付けは要らない、日付ごとに並ぶだけでいい」「画像は1枚しか貼らない」「検索より一覧スクロール派」みたいな個人差に、市販品は応えてくれない。

理由2:1機能に尖らせれば勝てる

大手のサービスは「全部入り」を目指します。Notionは何でもできるけど、何かに特化はしてません。

ソロ開発の強みは 1機能に絞れる こと。

「このサービスは○○しかできません」がそのまま価値になる時代です。

例:

  • Notionの中の「ToDoリストだけ」を、もっと使いやすく作る
  • ChatGPTの中の「メールの下書きだけ」を、自分専用に作る
  • カレンダーの中の「家族の予定共有だけ」を、自分の家族の文化に合わせて作る

「これ、すでにあるんじゃない?」で止まらず、自分の使い方にだけ最適化する という方向に振ってください。


今日の宿題

紙でもメモアプリでも、何でもいいので:

自分の身近な不便を、3つ書き出してください。

3つの型のどこから来たかも横に書くと、後で整理しやすいです。

例:

  • 「患者さんに同じ説明を毎回してる」(型1:繰り返し作業)
  • 「家計簿の入力が面倒で1ヶ月分溜まる」(型2:5秒のはずが30分)
  • 「同僚が論文管理ツールに困ってた」(型3:周りの愚痴)

このレッスンの宿題は、今日3つ書く ことだけ。 1週間メモを溜めるのは、Lesson 02までの宿題にします。


次のレッスン予告

3つ書き出したあなたの中で、「これ作りたいかも」と思えるテーマが出てきた はずです。

でも、検索してみたら似たアプリが見つかった。これで諦めるか進めるか。

次のLesson 02は、ここの判断軸を扱います。「競合がいても作っていい」を、もう少し具体的に。

完成したらお知らせします。


明日のアクション

今日の宿題は1つだけ

自分の身近な不便を、3つ書き出してください。

紙でもメモアプリでもOK。3つの型(繰り返し作業/5秒のはずが30分/周りの愚痴)のどこから来たかも横に書くと、後で整理しやすいです。

書き終わったら、その3つを1週間持ち歩いてみてください。同じ不便を再度感じたら、横にチェックを1つ追加。これがLesson 02までの下準備になります。