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レッスン 7 / 8|11分で読めます

プランモード いきなり処方しない

Claude Codeのプランモードを医療の問診になぞらえて学ぶ。指示の前に計画を立てる習慣が、0→100の失敗を防ぐ。

第7回 プランモード いきなり処方しない

左に「いきなり処方」の図(問診なし→処方)、右に「問診→計画→処方」の正しい流れ。ティールの矢印で構造化されたオフホワイト背景のシンプルなフロー図

このレッスンが終わる頃には、こうなります。

  • Claude Codeのプランモードが何であるかを説明できる
  • プランモードを使うべきタイミングを判断できる
  • 「いきなり実装」で失敗するパターンを事前に回避できる

主訴を聞かずに処方する医師は、いません。

でも、AIへの指示では、これと同じことが起きます。 「うちのクリニックの業務を全部整理して」とだけ送って、返ってきたものが全く想定と違う。 「もっとこういう感じで」と追加修正して、また違う。 気づけば、30分のやり取りで疲弊している。

これは、問診をスキップして処方したのと同じです。

プランモードとは

Claude Codeには、3つのモードがあります。

  • 通常モード:指示された作業をそのまま実行する
  • オートモード:複数の作業を自律的に組み合わせて実行する
  • プランモード:ファイルを作ったり変更したりせず、計画だけを立てる

この中でプランモードは、「まず話し合うだけ」のモードです。

「こういうものを作りたい」と伝えると、Claude Codeは計画を提案します。 「この手順でやりますが、どうですか?」「この情報が必要ですが、ありますか?」と確認してきます。

院長がそれに応答して、計画が固まったら、実装に移る。

これが、「初手の段階で理想と計画のズレを最小化する」という梶谷健人の言葉の実体です。

医療現場ではこう翻訳する

「プランモード先行=問診してから処方する当たり前の手順」

外来での問診は、何のためにあるか。

患者が「お腹が痛い」と言ってきたとき、何を聞きますか。

  • いつから?
  • どのあたりが痛むか?
  • 食後に悪くなるか?
  • 発熱はあるか?
  • 今まで同じ症状が出たことがあるか?

この問いで、「単純な胃炎」と「緊急手術が必要なケース」が分かれます。 問診なしに処方すれば、最悪のケースで患者を危険にさらす。

Claude Codeへの指示も、同じです。

「月次レポートを作って」とだけ送ると、Claude Codeはそれなりのものを作ります。 でも「先月のデータと比較したかった」「CSVの形式が違った」「このフォルダにデータがあると思っていなかった」という問題が後から出てくる。

プランモードで先に「何が必要か」を確認すれば、これが防げます。

プランモードを使うタイミング

全ての指示でプランモードを使う必要はありません。 単純な依頼は、通常モードで十分です。

プランモードを使うべきタイミング:

複数のファイルやフォルダをまたぐ作業 「先月からのデータを全部まとめて」のような、何を参照するかが曖昧な依頼。

初めてやる作業 これまで一度もやったことがない業務をエージェントに初めて任せるとき。

複数のステップが必要な作業 「調べて・まとめて・提案して」のように、複数の工程がある依頼。

出力の品質が重要な作業 学会発表スライドや、患者向け説明資料のような、間違いが許されない出力。

プランモードの使い方:具体例

実際にプランモードで始める際の流れを見てみます。

依頼:来月の地域医師会での発表スライドを作りたい


プランモードでの最初の指示

プランモードで動いてください。
来月(2026年6月15日)の地域医師会での発表スライドを作りたいと思っています。

テーマ:「外来でのAI活用:小さなクリニックでも始められること」
対象:地域の開業医20名(AI経験は少ない)
時間:15分(質疑5分込み)

まず、このスライドを作るために何が必要か、どんな構成にするかを一緒に考えてください。
ファイルは今回まだ作らなくていいです。

Claude Codeの応答例

プランモードで確認します。

まず以下を教えてください:
1. 発表で一番伝えたいこと(メインメッセージ)は何ですか?
2. 実際にAIを使っている事例を持ち込みますか?(あるなら使う事例数)
3. スライドのデザインに関する希望はありますか?

現時点での構成案を提案します:
1. 導入:よくある誤解の解消(2枚)
2. 現状:外来でAIを使っている実例(3枚)
3. 実践:今日から始められること(5枚)
4. まとめ(1枚)

この方向でよいか、修正点をお聞かせください。

この往復を2〜3回繰り返して、構成が固まったら「では作ってください」と通常モードに切り替えます。

「0→100で失敗しやすい」

梶谷健人がよく言う言葉があります。 「0から100で全部作らせようとすると、失敗しやすい」

医療でいうと、詳細な問診なしに「この患者に最適な治療プランを全部立ててください」と言うようなものです。 情報が足りないまま、AIが見当違いの方向に突き進む。 後から修正するほうが、最初からやり直すより時間がかかる。

ステップを分けて、確認しながら進む。 この習慣が、AI経営の基本姿勢です。

プランモード不要のケース

日常的な単純依頼は、プランモード不要です。

今日のタスクリストを確認して、優先順位を教えてください
先週のリサーチ担当の出力を要約してください
この連絡文章の誤字脱字をチェックしてください

これらは、インプットとアウトプットが明確で、失敗してもすぐ修正できます。 プランモードを使うのは、「大きな工事の前に設計図を引く」必要があるときです。

実践:プランモードで始めてみる

今日、一つだけプランモードを使ってみてください。

選び方のポイント:

  • 今週中にやろうと思っていた、少し複雑な依頼を選ぶ
  • 「どう言えばうまく伝わるか迷う」と感じている依頼

最初の指示は、こう始めます。

プランモードで動いてください。
[やりたいこと]をしたいのですが、まず計画を一緒に立ててください。
ファイルの作成・変更は今日はしなくていいです。

この1行が、「いきなり処方」を防ぎます。

次回予告

最終回・第8回は、経営判断とAIの話です。

「何を任せて、何を任せないか」の境界線を、院長として引く。 特に、臨床判断に関する原則を明確にします。


「問診してから処方する」は、医師にとって当たり前の手順です。 それをAI活用にも持ち込む。

医師がAIを活用するときの、最初の強みはここにあります。 「段階を踏む」「確認してから進む」が体に入っている。 これは、非医療職には簡単には真似できない姿勢です。