第7回 プランモード いきなり処方しない

このレッスンが終わる頃には、こうなります。
- Claude Codeのプランモードが何であるかを説明できる
- プランモードを使うべきタイミングを判断できる
- 「いきなり実装」で失敗するパターンを事前に回避できる
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主訴を聞かずに処方する医師は、いません。
でも、AIへの指示では、これと同じことが起きます。 「うちのクリニックの業務を全部整理して」とだけ送って、返ってきたものが全く想定と違う。 「もっとこういう感じで」と追加修正して、また違う。 気づけば、30分のやり取りで疲弊している。
これは、問診をスキップして処方したのと同じです。
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プランモードとは
Claude Codeには、3つのモードがあります。
- 通常モード:指示された作業をそのまま実行する
- オートモード:複数の作業を自律的に組み合わせて実行する
- プランモード:ファイルを作ったり変更したりせず、計画だけを立てる
この中でプランモードは、「まず話し合うだけ」のモードです。
「こういうものを作りたい」と伝えると、Claude Codeは計画を提案します。 「この手順でやりますが、どうですか?」「この情報が必要ですが、ありますか?」と確認してきます。
院長がそれに応答して、計画が固まったら、実装に移る。
これが、「初手の段階で理想と計画のズレを最小化する」という梶谷健人の言葉の実体です。
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医療現場ではこう翻訳する
「プランモード先行=問診してから処方する当たり前の手順」
外来での問診は、何のためにあるか。
患者が「お腹が痛い」と言ってきたとき、何を聞きますか。
- いつから?
- どのあたりが痛むか?
- 食後に悪くなるか?
- 発熱はあるか?
- 今まで同じ症状が出たことがあるか?
この問いで、「単純な胃炎」と「緊急手術が必要なケース」が分かれます。 問診なしに処方すれば、最悪のケースで患者を危険にさらす。
Claude Codeへの指示も、同じです。
「月次レポートを作って」とだけ送ると、Claude Codeはそれなりのものを作ります。 でも「先月のデータと比較したかった」「CSVの形式が違った」「このフォルダにデータがあると思っていなかった」という問題が後から出てくる。
プランモードで先に「何が必要か」を確認すれば、これが防げます。
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プランモードを使うタイミング
全ての指示でプランモードを使う必要はありません。 単純な依頼は、通常モードで十分です。
プランモードを使うべきタイミング:
複数のファイルやフォルダをまたぐ作業 「先月からのデータを全部まとめて」のような、何を参照するかが曖昧な依頼。
初めてやる作業 これまで一度もやったことがない業務をエージェントに初めて任せるとき。
複数のステップが必要な作業 「調べて・まとめて・提案して」のように、複数の工程がある依頼。
出力の品質が重要な作業 学会発表スライドや、患者向け説明資料のような、間違いが許されない出力。
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プランモードの使い方:具体例
実際にプランモードで始める際の流れを見てみます。
依頼:来月の地域医師会での発表スライドを作りたい
プランモードでの最初の指示:
プランモードで動いてください。
来月(2026年6月15日)の地域医師会での発表スライドを作りたいと思っています。
テーマ:「外来でのAI活用:小さなクリニックでも始められること」
対象:地域の開業医20名(AI経験は少ない)
時間:15分(質疑5分込み)
まず、このスライドを作るために何が必要か、どんな構成にするかを一緒に考えてください。
ファイルは今回まだ作らなくていいです。
Claude Codeの応答例:
プランモードで確認します。
まず以下を教えてください:
1. 発表で一番伝えたいこと(メインメッセージ)は何ですか?
2. 実際にAIを使っている事例を持ち込みますか?(あるなら使う事例数)
3. スライドのデザインに関する希望はありますか?
現時点での構成案を提案します:
1. 導入:よくある誤解の解消(2枚)
2. 現状:外来でAIを使っている実例(3枚)
3. 実践:今日から始められること(5枚)
4. まとめ(1枚)
この方向でよいか、修正点をお聞かせください。
この往復を2〜3回繰り返して、構成が固まったら「では作ってください」と通常モードに切り替えます。
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「0→100で失敗しやすい」
梶谷健人がよく言う言葉があります。 「0から100で全部作らせようとすると、失敗しやすい」
医療でいうと、詳細な問診なしに「この患者に最適な治療プランを全部立ててください」と言うようなものです。 情報が足りないまま、AIが見当違いの方向に突き進む。 後から修正するほうが、最初からやり直すより時間がかかる。
ステップを分けて、確認しながら進む。 この習慣が、AI経営の基本姿勢です。
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プランモード不要のケース
日常的な単純依頼は、プランモード不要です。
今日のタスクリストを確認して、優先順位を教えてください
先週のリサーチ担当の出力を要約してください
この連絡文章の誤字脱字をチェックしてください
これらは、インプットとアウトプットが明確で、失敗してもすぐ修正できます。 プランモードを使うのは、「大きな工事の前に設計図を引く」必要があるときです。
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実践:プランモードで始めてみる
今日、一つだけプランモードを使ってみてください。
選び方のポイント:
- 今週中にやろうと思っていた、少し複雑な依頼を選ぶ
- 「どう言えばうまく伝わるか迷う」と感じている依頼
最初の指示は、こう始めます。
プランモードで動いてください。
[やりたいこと]をしたいのですが、まず計画を一緒に立ててください。
ファイルの作成・変更は今日はしなくていいです。
この1行が、「いきなり処方」を防ぎます。
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次回予告
最終回・第8回は、経営判断とAIの話です。
「何を任せて、何を任せないか」の境界線を、院長として引く。 特に、臨床判断に関する原則を明確にします。
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「問診してから処方する」は、医師にとって当たり前の手順です。 それをAI活用にも持ち込む。
医師がAIを活用するときの、最初の強みはここにあります。 「段階を踏む」「確認してから進む」が体に入っている。 これは、非医療職には簡単には真似できない姿勢です。