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レッスン 3 / 14|17分で読めます

育てる物を決めて、最初の形を作る

前の2回で『作れる』を体験しました。ここから1つ選んで、公開して人に使ってもらうところまで育てます。題材は何でもいい。迷う医療者には弱点ドリルがおすすめ。最初の形を、コードを書かずに動かします。

前の2回で、ゲームや小さな道具を作って、「自分でも作れる」を体験してもらいました。

ここからは、その中から1つ選んで、本気で育てます。 ただ動くだけで終わらせず、公開して、人に使ってもらえるところまで持っていく。 このシリーズの残り全部を、その1つに使います。

育てる物を、ひとつ決める

まず、育てる物を決めます。 条件はひとつだけ。「自分が欲しい、自分が使う物」であること。

前回作ったゲームを、もっと面白くして友達に遊んでもらう物にしてもいい。 自分用のタイマーや管理ツールを、本気の道具に育ててもいい。 何でもいいです。自分がワクワクする物を、1つ選んでください。

もし思いつかなければ、医療者に一番おすすめの題材があります。 自分専用の、試験勉強の弱点ドリルです。

理由は3つ。 市販の問題集は「みんなの平均」向けで、自分の苦手だけを問う物は、どこにも売っていない。 だから、作る価値があります。 そして、出てきた問題が医学的に正しいかを見抜けるのは、あなたの臨床の目だけ。 この題材は、医師の強みが一番効きます。

この記事では、例として、その弱点ドリルを一緒に育てていきます。 あなたが別の物を選んだなら、やる手順は同じです。 「ドリル」を「あなたの物」に読み替えてください。

これから、何を作るのか

これから先、こんな順番で育てていきます。

最初の形を動かす。 ちゃんと役に立つ中身をつける。 閉じても消えないように保存する。 散らかってきたら整理する。 壊すのが怖くなったら、戻せるようにする。 別の端末でも続きができるようにする。 そして、公開して、人に使ってもらう。 最後は、毎日勝手に動く「プロダクト」にする。

一気にはやりません。 毎回、「次にこれが欲しい」と思った物を、1つずつ足していきます。

今日の進め方を、1つ宣言します

AIにどこまで任せるか、というツマミがあるとします。 今日は、それを一番右、全部任せるに振り切ります。 出てきた物は、まずそのまま受け取って、動かす。それでいいです。

ただし、これは「自分の画面の中で試すだけ」の今だけです。 保存したり、人に見せたりし始めたら、このツマミは少しずつ左、つまり自分が握る側に戻します。 そこは、後の回できっちりやります。

あなたは、2つの役を同時にやる

今日からずっと持っていてほしい構えが、ひとつあります。 あなたは、2つの役を同時にやります。 1つは、AIに頼む人。 もう1つは、出てきた物を確かめる人です。

AIは、とても優秀だけれど、平気で間違える相手だと思ってください。 速いし、よく作る。 でも、それが本当に正しいかを最後に確かめるのは、あなたの仕事です。

特に医療なら、ここがあなたの一番の武器になります。 出てきた問題や説明が、医学的に正しいか。 それを見抜けるのは、臨床を知っているあなただけです。 医療以外の物でも、「これ、思った通りに動いてる?」を確かめる役は、ずっとあなたです。

視点

このシリーズで一番大事なこと

AIが言ったから正しい、ではありません。出てきた物を、自分の目で確かめる。この「診る」役は、最初から最終回まで、ずっとあなたの仕事です。医師の検証力が、一番効きます。

最初の形を、動かす

ここからは、私の操作をそのままなぞってください。 順番にやれば、必ず動きます。

ステップ1。Claude.ai(claude.ai)を開いて、チャットの入力欄にカーソルを置きます。

SourceARTICLE
Claude.ai を開く

ブラウザで開くだけ。ここに話しかけて、最初の形を作ります。アカウントは無料で始められます。

Web
claude.ai

ステップ2。次の文を、そのまま貼り付けます(右上のボタンでコピーできます)。 弱点ドリルを選んだ人は、これでそのまま大丈夫です。

専門医試験の一問一答クイズを作ってください。
問題文と4つの選択肢を表示して、1つ選んだら正解か不正解か、それと一言の解説が出るようにしてください。
問題は後から自由に差し替えられるよう、分かりやすく書いておいてください。
ブラウザで動く、シンプルなもので大丈夫です。

別の物を選んだ人は、ここを「その物の一番小さい、動く形」に変えます。 ゲームなら遊べる1画面、道具なら1機能だけ。

Claude.aiの画面。入力欄に指示文を貼り付けた状態で、入力欄と送信ボタンの位置に印がついている
① 入力欄にプロンプトを貼り付ける。② 右下の送信ボタンを押す。これだけです。

ステップ3。送信ボタンを押して、数十秒待ちます。

ステップ4。少し待つと、こんなクイズが生成されます。

Claude.aiが生成した、小児科の選択式クイズ。問題文と4つの選択肢が並んでいる
話しかけただけで出てきた、最初の形。コードは1行も書いていません。

選択肢を押すと、正解か不正解かと、一言の解説が返ります。

最初の形は、選択肢を1つ押すだけで正誤と解説が返る。ここでは学習用ダミーのクイズで、触れるところまでを確認します。
クイズで選択肢を選んだ後の画面。正解の選択肢が緑で示され、下に解説文が表示されている
選ぶと、正誤と解説が出る。ここまでが『最初の形』です。

コードは1行も書いていません。 90秒かからずに、最初の形が動きました。

ここで1つ、釘を刺します。 このやり方に「vibe coding」と名前をつけたカルパシーというAI研究者は、本人が、これは魔法ではないと言っています。 これで一発でできるのは、週末にぱっと作る小さな物だ、と。 だから今日のこれは、小さな成功です。 その小さな成功を、これから12回かけて、ちゃんとした物に育てます。

手を動かす

ここで一度、自分の手で。

あなたが選んだ物の「一番小さい、動く形」を、AIに頼んで動かしてください。 ドリルなら、自分が苦手な範囲で1問。 ゲームや道具なら、遊べる・使える最小の形。

画面に動く物が出たら、完了です。

確かめる:自分の目で診る

出てきた物を、自分の目で確かめます。

弱点ドリルなら、3つ見ます。 医学的に正しいか。 ちゃんとクイズとして動くか。 入れてはいけない物(患者情報など)が、混じっていないか。

実は今、わざと1か所、間違った解説を混ぜてあります。 AIはもっともらしく書いてきますが、これは違う。 臨床で診ていれば、すぐ気づくはずです。

ここが大事です。 AIが言ったから正しい、ではありません。 自分の目で見て、違ったら直す。 「この説明、ここが間違っているので直して」と頼むだけで、直ります。

頼む、出る、診る、直す。 この4つを、ぐるぐる回す。 これが、最終回まで変わらない芯です。

頼む→出る→診る→直すの4ステップが矢印で繋がった図。3つ目の『診る』が緑で強調されている
『診る』のが、医師の本業。AIが出したものを、自分の目で確かめてから次へ。

自分の色を、入れる

最後に、もう一歩。 ここからが「自分の物」になる瞬間です。

弱点ドリルなら、選択肢です。 AIが作った誤答は、たぶん簡単すぎる。 本当に勉強になるのは、自分が「うっかり選びそう」な、紛らわしい誤答です。 それは、自分の弱点を知っているあなたにしか作れません。

手を動かす

選択肢を1つ、もっと紛らわしい誤りに書き換えてもらってください。 「ここの選択肢を、こういう紛らわしい誤りに変えて」と頼むだけ。 別の物なら、ここで「自分らしさ」を1つ足します。 色、言葉づかい、ルール、何でも。

差し替わったら、完了です。 いま、市販の物にはできなかった「自分仕様」を、ひとつ入れました。

今日で、どう変わったか

Before。 物は、まだ何もありませんでした。

After。 90秒で動く最初の形ができて、しかも自分仕様を1つ入れた物が、ブラウザの中で動いています。

階段の一番下に、火が灯りました。

触ってみよう(完成イメージ)

文章だけだと、ピンと来ないかもしれません。 これが、あなたが今日から育てていく弱点ドリルの完成イメージです。 下で、実際に触れます。選択肢を押すと、その場で正誤と解説が出ます。

Interactive demo弱点ドリル デモ

これを、自分の苦手な問題で、自分仕様にしていく。 それが、これからの12回です。

補足

今日持って帰るもの

作る前に、最初の形を頼む。出てきた物を、自分の目で診る。違えば、話しかけて直す。この「頼む → 出る → 診る → 直す」の4ビートが、最終回まで変わらない芯です。

安全ラインを、1つ

今日の物は、まだ自分の画面の中だけ。 誰とも共有していません。

注意

今日から、ここだけは守る

医療を題材にするなら、患者情報は最初から入れません。「今は自分の中だけだから大丈夫」ではなく、最初から入れない癖をつけます。問題の医学的な中身も、ガイドラインや教科書で必ず確認してください。

理解度チェック

セルフチェック

1. AIが作った最初のクイズを、医者の目で確かめるのはなぜですか。

2. 今日、市販のアプリにはできなかった「自分の物」にする一歩として、何をしましたか。

次回

今日の物は、動きます。 でも、まだ「ちゃんと役に立つ」には、もう一歩。 弱点ドリルなら、1問だけだと、自分が今どれだけできているのか分かりません。

次回は、そこに中身をつけます。 「次、これが欲しい」と思ったところから、また一緒に作ります。