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レッスン 4 / 14|29分で読めます

ちゃんと役に立つ中身をつける

最初の一画面に、本来欲しかった中身の機能を足します。あわせて、作る前に注文書を書いてから頼む型を身につけます。

前回、あなたが育てたい物の「最初の形」が動きました。 何か一つ、画面に出て、触れる状態になった。 ここまでが、いまの出発点です。

動いたときは、たぶん少しうれしかったと思います。 でも、しばらく触っていると、すぐ物足りなくなったはずです。 形はある。 でも、まだ「ちゃんと役に立つ」とは言えない。 本来やりたかったことが、まだ入っていないからです。

今日は、そこに手を入れます。 最初の形に、本来欲しかった中身の機能を一つ、つけます。 これが入って初めて、あなたの物は「動くもの」から「役に立つもの」に変わります。

私が一緒に進める具体例は、自分の試験勉強用の弱点ドリルです。 前回は1問だけ、解いて終わりでした。 今日はそこに、複数問を出して「何問中何問正解か」を返す採点を足します。 点数が出れば、自分の現在地が初めて測れる。 これが、ドリルにとっての「役に立つ中身」です。

別の物を育てている人も、やることは同じです。 ゲームを作っている人なら、スコアや勝敗の判定。 自分用のアプリなら、入力を受けて結果を返す、その肝の部分。 「最初の形に、本来の中身を一つ足す」。 これが今日です。

そしてもう一つ、今日から全12回ずっと使う習慣を入れます。 作る前に、注文書を書く。 今日も話しかけるだけです。 コードは書きません。

なぜ、中身が要るのか

最初の形は、動いたけれど薄いんです。 私のドリルでいえば、1問だけ。 解いて「正解」で終わる。 それはそれで気持ちいい。 でも、一つ困ることがあります。

1問だけだと、自分が今どのくらいできているのか、まったく分からないんです。 試験勉強で本当に知りたいのは、「この1問が正解だった」ことより、「10問中、何問できたか」ですよね。 自分の現在地です。 それが見えないと、どこを復習すればいいかも決められません。

だから今日やることは、はっきりしています。 問題を何問かに増やして、最後に「3問中2問正解」と点数が出るようにする。 1問の正誤だけだったドリルが、点数の出る測れる道具に変わります。

あなたが別の物を育てているなら、ここを置き換えてください。 「動くけど薄い最初の形」に、何が入れば一気に役立つようになるか。 その一番効く中身を、今日の一つに選びます。

今日のゴールと、任せ方

今日も、AIへの任せ方は前回と同じ場所に置きます。 話しかけるだけ。 コードの中身は見ません。

一つだけ補足すると、今日は画面の動き、つまり点数や合否の表示は見ます。 それを見て確かめます。 コードの中身を読むのとは別のことです。 出てきた表示が注文書どおりかを見るだけで、裏で何が書かれているかは開きません。

そのうえで、今日できるようになることを一文で言います。 本来欲しかった中身の機能を、注文書を書いてから足せるようになる。

この「注文書を書いてから」が、今日の本当の主役です。 足す機能はきっかけにすぎません。 これから全12回、毎回これを使います。

ステップ1。頼む前に、注文書を書く

ここで一つ、新しいやり方を入れます。 いきなりAIに「採点をつけて」と話しかける前に、紙でもメモアプリでもいいので、数行だけ書きます。

私はこれを注文書と呼んでいます。 難しい言葉だとmini PRDと言いますが、要は注文書です。 今日足したい中身の機能を、箇条書きで先に書き出すだけです。

ドリルの採点なら、今日はこの3行です。

  1. 何問出すか。例は3問です。
  2. 何問正解で合格とするか。例は3問中2問で合格です。
  3. 部分点はありか、なしか。例はなしで、正解か不正解だけです。
採点つきドリルの実画面。左にmini PRDとして出題数、合格点、部分点が並び、右にクイズ画面が表示されている
頼む前に、出題数、合格点、部分点だけを決めておきます。注文書を画面の横に置くと、あとで結果と突き合わせやすくなります。

別の物なら、ここを置き換えます。 ゲームのスコアなら「何で加点するか」「何点でクリアか」「ミスのペナルティはあるか」。 自分のアプリなら「何を入力させるか」「何を返すか」「返せないときはどうするか」。 育てている物の中身を、3行前後で言い切るのがコツです。

なぜわざわざ書くのか。 これ、診療の指示出しと同じなんです。 指示が曖昧だと、返ってくるものも曖昧になる。 「適当に点滴」と書けば適当なものが来る。 「何を、どれだけ、いつまで」と書けば、その通りに返ってくる。 AIもまったく同じで、注文書が曖昧だと、曖昧な物が返ってきます。

視点

今日の主役は、足す機能ではなく注文書

作る前に、足したい中身を数行で決める。これが注文書です。先に決めるから、出てきた物が合っているかを突き合わせられます。注文書という正解を手元に持つことが、医師の検証を効かせる土台になります。

手を動かす

あなたが育てている物に向けて、注文書を自分のぶんで作ります。 さっきの3行を、自分の言葉で埋めてください。

私のドリルなら、足すのは2行だけです。 「出題数」を1行、「合格点」を1行。 たとえば「5問出す」「5問中4問で合格」。 あなたの基準で書いてください。

ここで一度、自分の手で試してください。 注文書に、今日足す中身が言葉で書けたら、目印クリアです。

ステップ2。Claude.aiを開く

前回の最初の形が出ている状態で、Claude.aiを開きます。 すでに弱点ドリルのクイズが画面にある人は、その続きのチャットで大丈夫です。

別の物を育てている人も同じです。 前回作った最初の形が出ているチャットを開きます。 「この続きとして、中身を一つ足す」と考えてください。

ステップ3。注文書を、そのまま渡す

書いた注文書を、そのまま言葉にして渡します。 私のドリルなら、次の文を渡します(右上のボタンでコピーできます)。

いまの1問クイズを、3問続けて出題する形にしてください。
3問中2問正解で合格とし、部分点はなしでお願いします。
最後の問題が終わったら「3問中何問正解、合格または不合格」と表示してください。
問題はあとから私が差し替えられるように、分かりやすく並べておいてください。
3問解いて、最後に3問中2問正解・合格と表示されるところまでを実画面で確認します。注文書どおりかを見るのが今日の検証です。

注文書の3行が、そのまま依頼文に乗っているのが分かりますか。 何問。 合格点。 部分点。 先に決めたから、迷わず書けます。

あなたが育てている物でも、やり方は同じです。 さっき書いた注文書の各行を、そのまま頼みごとの文に並べる。 それだけで依頼文ができます。

ステップ4。送信して、数十秒待つ

送信して、数十秒待ちます。 私のドリルなら、1問目に答えると2問目、2問目に答えると3問目、最後まで行くと点数と合否が表示される、という形が出てきます。

点数が、出るようになりました。 これもコードは書いていません。 注文書を渡しただけです。

合っているかどうかは、このあと検証で見ます。 ここではまず、形になったことだけ確認します。

ステップ5。最後まで答えて、点数を見る

出てきたドリルを、最後まで触ります。 3問出るなら、3問とも答えます。 最後に「3問中2問正解」のように、結果が表示されれば今日の中身は入っています。

採点つきドリルの結果画面。3問中2問正解、合格と表示され、各問題の正誤が一覧になっている
最後まで答えると、点数が返ります。1問の正誤だけだった画面が、現在地を測れる道具に近づきました。

ここで見るのは、コードではありません。 画面です。 注文書どおりに、3問出たか。 2問正解で合格と出たか。 部分点のような余計な表示がないか。

今日の確認は、まずそこです。

ステップ6。医者の目で、検証する

ここからが、私たち医者がいちばん得意なところです。 AIが言ったから正しい、ではありません。 医者の目で見ます。 研修医が出してきた鑑別を、そのまま信じずに一度たしかめるのと、同じ動作です。

見る観点は3つです。

一つ、中身が正しいか。 出てきた結果が、注文書で意図したものとズレていないか。 私のドリルなら、問題文と答えがズレていないか。

二つ、自分の注文書どおりか。 私のドリルなら、3問になっているか、2問で合格になっているか。

三つ、安全か。 患者情報やキーが混じっていないか。 今日はダミーの中身なので、ここは入っていないことを確認するだけです。

さて、ここに一つ、わざと外したものを置いておきました。 注文書には「2問正解で合格」と書いたのに、画面は2問正解なのに「不合格」と出ているんです。 境界の判定が、注文書とズレている。

これ、検証しなければ見逃します。 AIは堂々と「不合格」と出してくるので、注文書と突き合わせて初めて気づける。 これが、医者の目で見るということです。

ステップ7。ズレを一言で直す

見つけたら、直します。 一言でいい。

合格ラインがズレています。 注文書どおり、3問中2問正解で「合格」と表示してください。

これで、2問正解で「合格」と出るようになります。

大事なのは、注文書という正解を手元に持っていたから、ズレに気づけたということです。 注文書がなければ、「まあAIがそう言うなら不合格か」で流していた。 作る前に決める。 だから、検証できる。 これが今日いちばん持って帰ってほしいことです。

手を動かす

今度が本番です。 あなたが育てている物の中身を、自分の基準に書き換えます。

私のドリルなら、採点ロジック、つまり「何問正解で合格か」の境界を、自分の基準にします。 自分のドリルのAIに、こう話しかけてください。

合格ラインを、何問中何問正解に変えてください。

さっき注文書に書いた合格点を、そのまま言葉にするだけです。

別の物なら、注文書に書いた中身の値を、同じように一言で変えてもらう。 「クリア点を何点に変えてください」「返す内容を何々に変えてください」。

ここで一度、自分の手で試してください。 出てきた中身が、自分の基準どおりに切り替わったら、目印クリアです。

問い

つまずいたら

このレッスンの作業で起きがちな詰まりと、その抜け方です。

  • 頼んだのに出題数や合否が注文書と違って出る → 自分の注文書(何問、合格点、部分点)と画面をそのまま見比べて、ズレている行だけを一言でAIに直してもらう。
  • 送っても画面が変わらない、エラーらしき文が出た → そのエラー文と「採点をつけたら表示が変わらない」という状況を、そのままAIに貼って「これはどういう状態ですか」と聞く。
  • 合否の境界が思った通りにならない → 「3問中2問正解は合格か不合格か」と境界の1ケースだけを具体的に挙げて確かめる。
  • 患者情報やパスワードは、たとえエラーが出ても貼りません。貼るのは画面の表示とエラー文と、何をしようとしたかの状況だけにします。

一つ、自分に問いかけてみる

ここで一つ、問いを置きます。 中身は入りました。 役に立つ形に近づきました。 では、明日もう一度開いたとき、今日の結果は残っているでしょうか。

私のドリルでいえば、点数は出るようになりました。 でも、今日の3問中3問正解は、明日も画面に残っているでしょうか。

少し考えてみてください。

答えは、残っていません。 画面を閉じると、消えます。 これが次回の話につながります。

二つ、立ち止まって考える

ここで、医者として一回疑っておきます。 AIが組んだ中身、本当に正しく動いているのか。 私のドリルなら、採点ロジックは本当に正しく数えているのか。 いい疑いです。 さっき、まさに合格判定が一回ズレていましたよね。

だから、信用していいのは検証したあとだけです。 注文書と突き合わせて、自分の目で合っていることを確かめた。 そのうえで使う。 AIがそう言った、を鵜呑みにはしない。 これは試験勉強用だから多少ズレても痛くないですが、この検証の癖そのものが、あとのレベルで効いてきます。

もう一つ、正直なところを置きます。 この中身づくり、毎回これだけ手間かけて、自分は続けられるのか。 これは大事な問いです。 どんなにいい道具でも、続かなければ意味がないですからね。

でも、今日入れた注文書の型が、まさにそこを軽くします。 足したい中身を数行決めるだけ。 毎回ゼロから「どう作ろう」と悩まなくていい。 決まった行を埋めて渡すだけなので、回を重ねるほど手間が減っていきます。

続けられる形にしておくこと。 これが、このシリーズで最後まで効いてくる縦糸です。 今日はその、続けやすい型を一つ手に入れました。

今日で育てている物がどう育ったか

前回は、最初の形が動くだけ。 薄い一画面でした。 いま動かすと、本来欲しかった中身が入って、役に立つ手前まで来ました。

私のドリルでいえば、前回は1問の正誤だけ。 いまは複数問を出して「3問中2問正解、合格」と点数が返ります。 この差分に名前をつけるなら、自分の現在地が、数字で測れるようになった、です。

今日は3問なので数字としては小さいですが、これが30問、100問と増えて「間違えた分野」まで見えてくると、たとえば「自分は感染症でいつも落としている」と分かるようになります。 今日作ったのは、その弱点を見つけるためのものさしの、最初の目盛りです。

下のドリルは、今日あなたが作った「採点つき」の形です。 3問とも答えると、点数と合否が返ります。実際に触ってみてください。

Interactive demo採点つき弱点ドリル デモ

そして今日、もう一つ身についたことがあります。 作る前に注文書を書く、という型です。 足す中身を先に決めてから渡した。 だから検証できたし、ズレも直せた。

これは採点だけの話ではありません。 これから全12回、何を育てている人も、毎回この注文書を書きます。 今日がその一回目です。

補足

今日持って帰るもの

作る前に、足す中身を数行の注文書にしてから頼む。出てきた物を、注文書と突き合わせて自分の目で検証する。この「先に決める → 渡す → 突き合わせて診る」の型が、全12回ずっと変わらない芯です。

安全ラインを一つ

私のドリルは学習用です。 患者情報は入れません。 本番導入は必ず施設のルールを確認してください。

今日のレベルでは、データは自分の端末の中だけにあって、誰とも共有していません。 だからこそ、最初から患者情報は入れない癖をつける。

そしてこの採点は、あくまで自分の試験勉強用です。 患者さんの評価には使いません。 出した問題の医学的な中身は、必ずガイドラインや添付文書で確認してください。

医療を題材にしない人も、考え方は同じです。 人に見せて困る情報は、最初から入れない。

注意

ここだけは守る

医療を題材にするなら、患者情報は最初から入れません。今は自分の端末の中だけだから、ではなく、最初から入れない癖をつけます。採点は試験勉強用で、患者さんの評価には使いません。出した問題の医学的な中身は、必ずガイドラインや添付文書で確認してください。

理解度チェック

セルフチェック

1. AIに採点機能を頼む前に「注文書」を書くのは、なぜですか。

2. 画面に「2問正解なのに不合格」と出ていたとき、ズレに気づけたのはなぜですか。

次回へ

最後に、今日できて、まだ足りないことを一つ。 中身は入って、役に立つ形に近づきました。 でも、さっき確認したとおり、画面を閉じると消えます。 私のドリルの3問中3問正解も、明日にはどこにも残っていません。

ここまで育てたのに、閉じたら消える。 これは、残したくなりますよね。

次回は、これを解決します。 結果を記録して、閉じても残るようにする。 私のドリルなら、間違えた問題が貯まり始めます。 それが、あとで弱点だけを復習する仕組みの、最初の一歩になります。

注文書を書いてから作る。 今日のこれを、次回もそのまま持ってきてください。 それではまた来週。