閉じると消える。 残したい。
前回、あなたが育てている物は、だいぶ動くようになりました。 ドリルを選んだ人なら、問題に答えると、その場で点数が出ます。 ゲームを選んだ人なら、遊べて、スコアが出ます。 自分のアプリを選んだ人なら、ボタンを押すと、ちゃんと反応します。
ここまで来て、たぶん一つ、引っかかったはずです。 せっかく作ったのに、タブを閉じると、全部消える。 次に開くと、また真っさらです。
その「残したい」という気持ちが、今日の出発点です。 今日は、閉じても消えないようにします。
そして今日は、私が一言一句の頼み方を見せません。 満たすべき条件だけをお渡しして、あなた自身がAIに頼んで保存機能を足します。 これが、この段の最後の関門です。 これを越えたら、卒業です。
動く。でも、閉じると消える
前回の終わりに、一つだけ引っかかったままのことがあります。 画面は動きます。 でも、ブラウザのタブを閉じると、その結果はどこにも残りません。 次に開くと、また真っさらです。
これが何を意味するか。 昨日と今日を、比べられないんです。 昨日の自分が、消えてしまう。 経過が追えない。
ドリルを育てている人なら、こうです。 昨日は3問中2問だったのか、今日は3問正解できたのか、比べられない。 ゲームなら、自己ベストが残らない。 別の物でも同じで、続けて使うほど「前回どうだったか」が見たくなるのに、それが消えてしまう。
私たちの本業で言えば、カルテのない診療と同じです。 その日その日の判断は下せる。 でも、残さなければ経過が追えません。 前回と比べて良くなったのか悪くなったのか、分からない。
だから今日やる、普遍のスキルはこれです。 ブラウザの中に状態を保存して、閉じても消えないようにする。 その場の結果を、ブラウザの中に履歴として置いておく。
視点
「保存」は、経過を診るための土台
カルテのない診療では、経過が追えません。残すから、昨日と今日を比べられる。今日の保存も同じで、目的は「機能を足すこと」ではなく「自分の積み上がりを診られるようにすること」です。残したいものが本当に残ったか、最後に診るのはあなたです。

ここで大事なのは、入り方の順番です。 データベースという言葉から入りません。 困っているのは「閉じると消える」。 それを埋めるために記録を足す。 順番はいつもこれです。
今日のゴールと、任せ方
今日の進め方を、先に宣言しておきます。
これまでの2回は、私が頼み方を一言一句お見せして、あなたはそれをなぞる形でした。 今日は一段、あなた側に倒します。
私は手順を見せません。 満たすべき条件だけお渡しします。 あなたがその条件を頼りに、自分が育てている物に保存機能を空から足す。
今日のゴールを一文で言います。 自分が育てている物に、再読込しても状態が消えない仕組みを、手順なしで自力で足せるようになる。 これができたら、卒業です。
ステップ1。消えるところを自分の目で見る
ミニボスに入る前に、敵を正確に知るところから始めます。 「消える」と言葉で言っても実感が湧きにくいので、まず実際に消すところを見ます。
例として、私のドリルでやってみます。 3問解いて点数を出します。 3問中2問正解、と出ました。 ここでタブを閉じます。 そして、同じドリルを開き直します。
開き直すと、さっきの「2問正解」はどこにもありません。 また真っさらです。 これが、私たちが今日やっつける相手です。
別の物を育てている人も、同じことが起きているはずです。 ゲームならスコア、自分のアプリなら入力した内容。 何であれ、閉じれば消えます。
手を動かす
自分が育てている物で、消えることを確かめてください。
やることは一つです。 前回の物を開いて、何か結果が出る操作をしてから、タブを再読込します。
できたらの目印は、さっき出ていたものが消えて、画面が真っさらに戻っていることです。 ドリルなら点数が消えている。 ゲームならスコアが消えている。 自分のアプリなら入力した内容が消えている。
ここで一度、自分の手で試してください。 やることは一つだけ、再読込です。
消えましたよね。 これが今日の出発点です。 消えるのを自分の目で確認できた人だけ、次の「消えないようにする」がちゃんと効きます。
ステップ2。何を残したいかを言葉にする
ミニボスに入る前に、検証の筋トレを一回だけやります。 今日はあなたが自分でAIに頼みます。 だから、AIの出したものを自分の目で見る練習を、先に私の画面でお見せしておきます。
私はわざと、少し外した頼み方をしてみます。 「結果を残してください」と、それだけ言ってみます。
すると、保存機能がつきました。 再読込しても結果が残っています。 一見、成功です。
でも、ここで止まらないのが今日の肝です。 自分の目で見ます。 AIが「できました」と言ったから正しい、ではありません。
検証の観点は、毎回同じ3つです。 一つ、やりたいことに合っているか。 二つ、中身が正しいか。 医療を題材にする人なら、医学的に正しいか。 三つ、安全か。
今回、二つ目と三つ目は問題なし。 患者情報も入っていません。 でも、一つ目で引っかかります。
私が残したかったのは「履歴」です。 何回挑戦して、どう推移したか。 でもAIが残したのは「最後の1回」だけでした。 これだと、昨日と比べられません。 やりたいことと、ずれています。
だから直します。 「最後の1回ではなく、これまでの結果をすべて履歴として残してください」と頼み直す。
すると、過去の結果が一覧で並びました。 再読込しても消えません。
ここまでが、頼む、出る、検証、直すの一周です。 出たものを鵜呑みにせず、自分の目で一回見る。 これが、このシリーズで一番大事な筋肉です。
別の物なら、残したいものはそれぞれ違います。 ゲームなら全プレイのスコア履歴。 自分のアプリなら入力の一覧。 「自分は何を残したいか」を一度言葉にしてから頼むと、ずれに気づきやすくなります。
ステップ3。合格条件だけを決める
ここからが本番です。 今度は、あなたの番です。
私は頼み方を見せません。 代わりに、満たすべき条件だけお渡しします。 これです。
今日の合格条件
① 再読込しても、結果が消えない
② これまでの結果が、履歴として見える
この2つを満たすように、自分が育てている物にAIで保存機能を足してください。 ドリルなら「点数」と「挑戦の履歴」。 ゲームなら「スコアの履歴」。 別の物なら、①②の「結果」を自分の物に置き換えて読んでください。
頼み方は自由です。 さっき私が検証で見せた「やりたいことに合っているか」を思い出しながら、自分の言葉で頼んでください。
大事なのは、頼んだら必ず自分で検証することです。 「できました」を信じない。 再読込して、本当に残っているか、自分の目で確かめる。 残っていなかったら、ずれている所を言葉にして頼み直す。
問い
つまずいたら
このレッスンの作業で起きがちな詰まりと、その抜け方です。
- 再読込したら全部消える → エラーは出ていないので、状況をそのまま「保存したはずなのに再読込で消える、原因を一緒に探して」とAIに貼って聞く。
- 最後の1回しか残らない → 合格条件②と画面を見比べて、「履歴として全部並べたい」とずれている所を言葉にして頼み直す。
- AIが「できました」と言うのに残っていない → その言葉を信じず、自分で再読込して、消えていたら「再読込すると消える」と症状だけを返す。
題材が医療なら、患者情報やログインの鍵はAIに貼らず、起きた症状と画面の様子だけを貼ってください。
ステップ4。AIに頼んで保存機能を足す
手順は見ずに、合格条件の2つだけを頼りに、保存機能を足します。
やることは一つです。 自分が育てている物に、AIに頼んで保存機能を足す。
できたらの目印は、再読込しても、これまでの結果が履歴として残っていることです。
ここで一度、自分の手で試してください。 やることは一つ、保存機能を足すことです。 足したら必ず、自分で再読込して確かめてください。
残りましたか。 残った人は、いま手順書なしで、条件だけを頼りに、自分で機能を一つ実装しました。 これがミニボス越えです。
もし残らなかった人も、大丈夫です。 今日教えた範囲だけで必ず解けます。 新しい道具は何も要りません。 再読込して何が起きているかを言葉にして、もう一度頼み直してください。 詰まったまま終わらないのが、このシリーズの登り方です。
ステップ5。再読込して、本当に残っているか見る
保存機能を足したら、画面を触って終わりではありません。 一度、再読込します。 ここが今日の検証です。
私のドリルなら、前回の3問中2問正解と、今日の3問中3問正解が並びます。 再読込しても、履歴が残っている。 昨日と今日が、初めて比べられるようになります。


見るのは、コードではありません。 画面です。 再読込しても残るか。 最後の1回だけではなく、履歴として残るか。 患者情報や院内情報が混じっていないか。
今日の確認は、まずそこです。
ステップ6。ずれていたら、一言で直す
もし、最後の1回だけが残っていたら、今日の合格条件からずれています。 その場合は、一言で直します。
最後の1回だけではなく、これまでの結果をすべて履歴として残してください。
もし、再読込したら消えていたら、そこも一言で直します。
再読込しても履歴が消えないようにしてください。
大事なのは、合格条件という正解を手元に持っていたから、ずれに気づけたということです。 合格条件がなければ、「まあ保存できているらしい」で流していた。 先に決める。 だから、検証できる。 これが前回の注文書と同じ構造です。
手を動かす
今度が本番です。 あなたが育てている物で、ずれている所があれば、自分の言葉で直してください。
ドリルなら、点数と挑戦履歴が残るようにする。 ゲームなら、スコア履歴が残るようにする。 自分のアプリなら、残したい入力や結果が一覧で戻るようにする。
ここで一度、自分の手で試してください。 再読込しても、自分が残したいものが履歴として見えたら、目印クリアです。
ステップ7。その記録がどこにあるか知る
ここで一度、頭を使ってもらいます。 問いを出すので、少し考えてみてください。
あなたが今日足した記録は、いま、どこに置かれているでしょうか。
答えは、あなたの端末の、このブラウザの中だけ、です。 クラウドにも、私の所にも、どこにも送られていません。 完全に、あなたの手元です。
ここで一度立ち止まる論点を挟みます。 「ブラウザの中だけって、心もとなくないか。本当にこれを信用していいのか」。 当然の疑問です。 でも今日は、あえてその手前で止めます。
クラウドに置くと、アカウント、ログイン、保存先の設定と、やることが一気に増えます。 それはもっと先で、Supabaseという道具を使ってちゃんとやります。 今日大事なのは「閉じても残る」を一度、自分の手で成立させること。 いきなり全部やらない。 これが、このシリーズの登り方です。
今日でどう育ったか
今日で、あなたの物がどう育ったか、確認します。
前回までは、結果は出るけれど、閉じると消えていました。 昨日の自分と比べられなかった。
いまは、ブラウザの中に履歴が残ります。 再読込しても消えない。 昨日と今日が、並んで見える。
ドリルを育てている人なら、昨日の挑戦と今日の挑戦が並びました。 弱点ドリルの、本当の芽がここで出ました。 別の物でも、続けて使うほど積み上がる土台ができたということです。
補足
今日持って帰るもの
「閉じると消える」を埋めるために、手順なしで自分で保存機能を足せました。先に合格条件を決めたから、出てきたもののずれに気づき、自分の言葉で直せた。先に決めるから、検証できる。これが、これから先もずっと使う登り方です。
卒業ゲート
そして、この段の卒業ゲートです。 次の3つを自分で満たせたか、確認してください。
- 空の状態から、操作して、結果が出て、それが記録されるところまで動いている。
- 再読込しても消えない。
- 出てきたものを、自分の目で見て、おかしければ直せた。
この3つにうなずけたら、卒業です。 ここまで全部、コードを一行も書いていません。 頼んで、自分の目で検証して、直す。 それだけで、ここまで来ました。
安全ラインを一点だけ
今日残した履歴は、あなたの端末の中だけにあります。 まだ誰とも共有していません。 だからこそ、いまのうちから癖をつけておいてほしいことがあります。
注意
残すのは、自分の点数と挑戦回数だけ
医療を題材にしている人へ。患者情報は、最初から入れません。ドリルはあくまで、自分の試験勉強用の弱点ドリル、学習用のダミーです。残すのは、自分の点数と挑戦回数だけ。患者さんの情報は一切入れない。施設のルールがある場合は、それも先に確認しておく。この癖を、誰とも共有していないいまのうちに身につけておきます。
理解度チェック
セルフチェック
1. 今日、頼み方の手順ではなく「合格条件」だけを先に決めたのは、なぜですか。
2. 今日ブラウザの中に保存した記録は、いまどこに置かれていますか。
次へ:1画面が、そろそろ手狭
最後に、今日できて、まだ足りないことを一つ。
残せました。 閉じても消えない。 ここは、ちゃんと越えました。
でも、ここまで来て、画面を見て気づきませんか。 点数も、履歴も、ボタンも、ぜんぶ1つの画面に詰め込んでいます。 記録が増えるほど、その1画面が、だんだん窮屈になってくる。
次回からは、その手狭さを開きにいきます。 1画面に全部詰め込むのをやめて、ちゃんと部屋を分けられる道具に進みます。 ここまで育てた物を、腰の据わった形に組み直していきます。
1画面に全部詰め込むのが限界です。 ここから先は、本気で育てたい。