状況
研修医に「今日の症例から1問」を出題する取り組みをしていたが、まともに作ると 1問あたり30分 かかる。鑑別を考え、選択肢を吟味し、解説を書いて、誤答選択肢の妥当性をチェックする、どれも頭を使う作業で、外来後に疲れた頭ではしんどい。
結果として「今週はクイズなし」が続き、続かなくなる。続かないなら、AIで素材を作って自分が監修する形に変えたほうがいい と判断した。
やったこと
外来後に1行メモを残しておき、それをClaudeに渡す。
以下の外来症例から、研修医向けの5択クイズを1問作ってください。
症例:
3歳男児、2日前から発熱と咳嗽。今日から喘鳴あり。
酸素飽和度 96%、呼吸数 36/min。
設問構成:
- 鑑別診断を問う設問
- 選択肢5つ、うち1つが正解、残り4つは「研修医が選びがちな典型的な誤り」
- 解説欄に「なぜ他が違うか」を1選択肢ずつ書く
- 最後に「臨床のポイント」を3行で
出力はMarkdownで、見出しは ## を使う
返ってきたクイズを、以下の3点だけ確認する。
- 正解: 自分の臨床判断と一致しているか
- 誤答選択肢: 「ありえなさすぎ」「正解と紛らわしすぎ」になっていないか調整
- ガイドライン: 引用している治療方針が最新版に合っているか
監修込みで5分で完成する。
効いたところ
- クイズ1問の所要時間が 30分 → 5分
- 「週3問」のペースが維持できるようになった
- 研修医からの参加率(解答提出率)が上がった
- 自分自身の鑑別診断トレーニングにもなる(AI出力を批判的に読むので)
限界・気をつけていること
教育コンテンツは内容が間違っているとそのまま伝染するので、検証は手を抜かない。
- ガイドライン: 特に予防接種スケジュール、救急対応プロトコル、抗菌薬選択など、最近改訂された領域 はClaudeの参照知識が古いことがある。最新版を必ず1次資料で確認する
- 誤答の妥当性: AIが作る誤答は「明らかに違う」になりがち。研修医が 本当に迷う選択肢 にするには監修者の臨床経験が必要
- 症例の匿名化: 1行メモを渡す時点で、年齢・性別以外の個人情報は伏字化する
- 「AIが作りました」と明示: 研修医に渡すときは「AIで素材を作って自分が監修した」と最初に伝える。隠さない
横展開
学会発表のスライド素案、抄読会の論文要約、勉強会のレジュメ作成など、素材を作って自分が監修する 型の教育コンテンツはすべて同じパターンで効率化できる。