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ワークフロー

市販ツールを待つのをやめて、外来で使うeGFR計算機を自分で作った

Claude ArtifactsでeGFR計算機・CURB-65・Wells Scoreを5分で自作。URLをスタッフに共有し、外来のその日から使い始めた。「買う」より「作る」への転換点と、医療ツールに特有の限界を記録する。

Ken OkamotoKen Okamoto|2026-05-148分で読めます
ClaudeArtifacts医療計算ツールツール自作外来運営患者説明

状況

外来で「eGFR計算機のURL、知ってる?」と聞かれるたびに、スマホでアプリを探すところから始めていた。見つかってもUIが使いにくかったり、広告が入っていたり、スコアのカットオフが微妙に古かったりする。

CURB-65やWells Scoreも同じだ。院内に「公式ツール」はなく、各自がお気に入りのアプリを使っている。患者説明資料は自作するしかないが、Wordで作ると印刷専用になる。スマホで見せられるものを手軽には作れなかった。

Claude ArtifactsはHTMLとJavaScriptをその場で動かせる機能だと知って、「これで自分の計算ツールが作れる」と気づいた。プログラミングはできないが、「こういうUIで、こういう計算式で」と日本語で伝えれば動くものが出てくる。

やったこと

Artifactの生成:プロンプトをそのまま投げる

Claude.ai(Proプラン)を開いて、以下のようなプロンプトをコピーして投げるだけだ。修正も日本語で「もう少し文字を大きく」「カラーコードをG3以下は黄色にして」と追加するだけで反映される。

eGFR計算機(CKD-EPI式)

CKD-EPI式でeGFRを計算するWebアプリを作ってください。

入力項目:
- 血清クレアチニン(mg/dL)
- 年齢(歳)
- 性別(男性/女性)

出力:
- eGFR値(小数点1桁)
- CKDステージ分類(G1〜G5)
- ステージに応じたカラーコーディング(G1緑〜G5赤)
- メトホルミンなど主要薬剤の使用可否の簡易表示

デザインはシンプルで、スマートフォンでも使いやすくしてください。

CURB-65スコア(市中肺炎重症度)

CURB-65スコアを計算するインタラクティブなWebツールを作ってください。

5つの項目(各1点):
- Confusion:意識障害あり
- Urea:BUN > 7mmol/L(または19mg/dL以上)
- Respiratory rate:呼吸数≥30回/分
- Blood pressure:収縮期BP<90mmHgまたは拡張期BP≤60mmHg
- Age:65歳以上

出力:
- 合計スコア(0〜5点)
- リスク分類(低・中・高)
- 30日死亡率の目安
- 入院/外来/ICUの推奨

チェックボックス形式で選択するUIにしてください。

生成されたArtifactは画面右側にそのまま表示される。動作を確認したら「共有」ボタンからURLを取得できる。このURLを院内のチャットに貼るか、QRコードを印刷して診察室に置けばすぐ使える。

患者説明資料もArtifactで

薬の説明シートも同じ要領で作れる。印刷できるHTMLレイアウトを指定すれば、紙にもスマホにも使いやすいものができる。

「メトホルミン」を新たに処方された患者向けの説明シートをHTML形式で作ってください。

含める内容:
- この薬の目的(1〜2行)
- 飲み方(食後・用量)
- 絶対に守ること(造影剤前の休薬等)
- よくある副作用と対処法
- 「すぐに連絡が必要な症状」をわかりやすく強調
- Q&A形式で患者がよく聞く3つの質問

中学生でもわかる言葉を使い、専門用語には必ず説明を追加してください。
読みやすいデザインで、印刷にも対応したレイアウトにしてください。

効いたところ

  • 作るのに5〜10分。これを「買う・探す」に使う時間と比べると、体感で8割減
  • UIを自分の好みに合わせられる。「字が小さい」「色が見にくい」の不満が消えた
  • URLをグループチャットに貼るだけでスタッフ全員がすぐ使える。インストール不要
  • 修正が日本語で完結する。「このカットオフは最新ガイドラインと違う」と指摘すれば10秒で直る

限界・気をつけていること

医療計算ツールは「動く」と「正しい」は別だ。ここが最も気をつける点。

  • 計算ロジックの照合: 最初の2〜3症例は必ず手計算と突き合わせる。単位変換(mmol/L ↔ mg/dL)やカットオフ値のずれが生じることがある
  • PMDAの規制リスク: 「診断を補助する」ツールは医療機器規制(薬機法・PMDA)の対象になりうる。院内の補助ツールとして使うのと、患者向けに公開するのでは扱いが変わる。診断系ツールを患者向けに公開する前は法的整理が必要
  • 患者情報は絶対に入れない: ツールを作るプロンプトに「この患者のクレアチニンは」と書いてはならない。計算ツールの生成と実際の患者データの入力は完全に分離する
  • 共有URLの永続性: Claude.aiのArtifact共有URLは長期利用に向かない場合がある。院内で恒常的に使うなら、HTMLファイルをダウンロードしてGitHub PagesやVercel等に置く
  • 医学的監修: 患者向けに配布する説明資料は、AI生成のままにしない。薬剤情報の更新や添付文書との照合は自分でやる

横展開

当直前に「今夜使いそうなツール一式」をまとめて作るのにも使える。体重別の薬剤用量計算、輸液速度計算、Glasgow Coma Scaleを1ページに収めたダッシュボードも10分でできる。

専門医試験の勉強ツールを自作するのも同じ要領だ。「腎臓内科の症例問題を5問、自動採点付きで」と投げると、その場で動くアプリが出てくる。「ツールを探す」より「ツールを作る」の方が早い場面は、思ったより多かった。

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