医療現場で生成AIをはじめる
生成AIは、文章を整える、情報を分類する、考えるための観点を増やす、といった作業を助けます。一方、事実を保証する仕組みではありません。もっともらしい誤りを出すことがあり、入力した情報の扱いもサービスや契約によって異なります。
最初の目標は「使いこなす」ことではなく、安全な題材で得意・不得意をつかむことです。
最初に確認する3つ
- 施設の利用規程や生成AIポリシーを確認する
- 施設が承認していない生成AIには、実患者の情報を入力しない
- 出力は完成品ではなく下書きとして扱い、担当者が確認する
氏名やIDを消しても、年齢、日付、病名、経過などの組み合わせから個人が推測される場合があります。「名前を消したから大丈夫」と自己判断しないことが大切です。
職種ごとの小さな始め方
| 立場 | 患者情報を使わない練習 |
|---|---|
| 医師 | 公開済みガイドラインの見出しを整理する |
| 看護師 | 架空の申し送りメモをI-PASS形式に整える |
| 薬剤師 | 一般向けの服薬説明文を読みやすく言い換える |
| 医療事務 | 架空の院内案内文を短く分かりやすくする |
| 保育士 | 架空の保護者向けお知らせをやさしい文に直す |
| 管理職 | 個人情報を含まない会議メモから論点を抽出する |

最初の練習は、架空の題材を使い、AIの出力を下書きとして人が点検するところまでを一組にします。
30分で試す
1. 架空の題材を用意する
実在しない設定を使います。
新しい予約方法を職員へ案内したい。変更点は「電話予約は17時まで」「Web予約は24時間」「急な体調不良は電話相談」の3点。
2. 目的と読み手を伝える
あなたは医療機関の文書編集を手伝うアシスタントです。
次の情報を、初めて読む職員にも分かる院内案内へ整えてください。
条件:
- 重要な順に並べる
- 1文を短くする
- 元の情報にない内容は追加しない
- 不明点は「確認が必要」と示す
素材:
(ここに架空の情報を貼る)
3. 出力を点検する
- 元の情報にない内容が足されていないか
- 数字、日時、固有名詞が変わっていないか
- 読み手が次に何をすればよいか分かるか
- 最終版として使う前に、担当者が確認したか
生成AIが得意なこと
- 文章の要約、言い換え、構造化
- 長いメモから論点や未決事項を抽出する
- 説明文のたたき台を複数案作る
- 学習用の問題や架空事例を作る
- 自分では気づかなかった確認観点を挙げる
任せきりにしないこと
- 診断、治療、投薬量などの最終判断
- 出典を確認していない医学情報の採用
- 患者へ直接送る文章の無確認使用
- 法令や施設規程の解釈
- 未承認サービスへの患者情報入力
次に読む
参考資料
- 個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」
- WHO「Ethics and governance of artificial intelligence for health」
本記事は一般的な学習資料です。具体的な利用可否は、所属施設の規程と承認された利用環境を確認してください。
