Slackのチームチャンネルに、いつも仕事を手伝ってくれる同僚がいるとします。バグの調査を頼めば、状況を報告しながら進めてくれる。決定事項をまとめてほしいと言えば、スレッドの流れを読んでドキュメントに仕立ててくれる。Claude Tagは、その同僚の役をClaudeにやらせる機能です。
Claude Tagは2026年9月時点でパブリックベータで、Team・Enterpriseプランでのみ使えます(Free・Pro・Maxの個人プランでは使えません)。ベータ版なので、画面の名前や設定項目は今後変わる可能性があります。この講座では変わりにくい考え方を中心に扱い、細かい操作は公式ドキュメントで確かめる前提で進めます。
社内のチャットにClaudeを常駐させると聞くと、「便利そうだけど、どこまで任せていいのか分からない」と感じる人が多いはずです。このコースでは、場所の選び方、覚えさせ方、依頼の書き方、そして管理者が押さえるべき権限設計まで、実際にチームで回すために必要な順番で扱っていきます。
タグ付けるだけで、仕事が動き出す
使い方はシンプルです。チャンネルで @Claude とメッセージに書けば、Claudeがそのスレッドで作業を始めます。
@Claude 今朝のデプロイ後からチェックアウトが遅い気がします。
デプロイ前後のレイテンシを比較して、原因を調べてもらえますか。依頼を受けたClaudeは、その場で答えを返すだけでなく、必要なら調査そのものを引き受けます。 複数の手順が要る仕事だと判断すると、スレッドの下に進捗のチェックリストを表示しながら作業を進め、終わった項目から順にチェックが付いていきます。Slackを閉じても作業は止まりません。クラウド上で動き続け、終わったらスレッドに結果が届きます。
一度スレッドに入ったClaudeは、以後の返信に @Claude を付け直す必要がありません。スレッドで交わされるやり取りをそのまま読み続けます。
誰の名前で動き、誰に課金されるか
同じClaudeでも、チャンネルで頼むかDMで頼むかで、裏側の動き方がまったく違います。
Claude自身のサービスアカウントとして動作する。タグ付けした人の権限は使わず、管理者が設定したツールを使う。費用は組織の利用残高から引かれる
送った本人のclaude.aiアカウントとして動作する。本人が有効にしている個人用のコネクタを使える。費用は本人のプラン(Claude Codeを含むseat)にかかる
この違いは、あとのレッスンで扱う「どこで頼むか」の判断に直結します。チャンネルでの発言は誰が見ても同じ答えが返り、DMでの発言は自分専用のアシスタントとして動く、とひとまず覚えておいてください。
課金の違いも実務上は見過ごせません。チャンネルでの作業がいくら増えても、それは組織の利用残高から引かれるので、メンバー1人ひとりの利用枠を圧迫しません。DMは本人のプランの範囲で動くため、個人的な調べものに使いすぎて自分の枠を消費する、ということは起こり得ます。
昔ながらのSlack botと何が違うのか
これまでのSlack bot、たとえばスラッシュコマンドで動くものは、一回のコマンドに一回の答えを返して終わりでした。Claude Tagはこの点が根本的に違います。
タグ付け
チャンネルで @Claude と書いて依頼する
受け取りの合図
数秒以内に絵文字リアクションが付き、依頼が届いたことが分かる
作業セッション
調査や複数手順が要る依頼は、スレッド内で作業を開始し「考えています」の表示が出る
結果の投稿
作業が終わるとスレッドに結果が届く。以後は再タグ付けなしで会話が続く
一問一答で終わらず、スレッドという「場所」に居続けて、複数の手順をまたいで働く。ここがClaude Tagのいちばんの変化です。
やってみよう
演習1:自分のチームに置き換える
自分のチームで、いつも同じ人に頼んでいる「調べてまとめる」系の仕事を1つ思い浮かべてください。それをチャンネルでClaudeにタグ付けして頼むとしたら、どんな一文になるか書き出してみましょう。
演習2:チャンネルとDMのどちらで聞くか
先ほど思い浮かべた仕事は、チームの誰が見てもよい内容ですか。それとも自分だけが確認すればよい内容ですか。この違いだけで、チャンネルとDMのどちらに投げるべきかが決まります。理由も含めて書き出してみましょう。
今日のまとめ
3行で振り返ります。
- Claude Tagはベータ版で、Team・Enterpriseプランのチャンネルに常駐し、タグ付けするだけで複数手順の仕事を任せられる
- チャンネルではClaude自身のアカウントとして動き組織に課金、DMでは本人のアカウントとして動き本人に課金される
- 一問一答で終わる旧来のbotと違い、スレッドに居続けて作業を進め、閉じても止まらない
次のレッスンでは、DM・公開チャンネル・非公開チャンネルという3つの場所を、どんな基準で使い分けるかを見ていきます。
セルフチェック
1. Claude Tagについて正しい説明はどれですか。
2. チャンネルでClaudeにタグ付けして依頼したとき、Claudeは誰の権限・課金で動きますか。
3. Claude Tagが、従来の一問一答型のSlack botと違う点はどれですか。