前のレッスンで見たとおり、公開チャンネルでの仕事には「学びがチャンネル全体に残る」という利点がありました。この学びの正体が、今回扱うメモリです。
新しく入ったメンバーに仕事のやり方を教えるとき、私たちは一度説明したことを何度も繰り返しません。相手が覚えて、次からは言わなくても同じようにやってくれると期待します。Claude Tagのメモリも同じ発想です。メモリは特定の人ではなく、チャンネルに属します。 誰が頼んでも、そのチャンネルで積み重なった学びが反映されます。
チャンネルメモリとワークスペースメモリ
メモリには2つの層があります。チャンネルメモリは、そのチャンネルだけに効く覚え書きです。ワークスペースメモリは、ワークスペース全体に効く覚え書きで、公開チャンネルからだけ追加できます。
そのチャンネルのメモリとワークスペースメモリの両方を読み、両方に書き込める。ここで追加したワークスペースメモリは、他の全チャンネルでも参照される
そのチャンネルのメモリを読み書きできる。ワークスペースメモリは読み取り専用で参照できるが、そこから新たに書き込むことはできない
たとえば、ある公開チャンネルで「報告は表形式で」という全社的な習慣をワークスペースメモリに保存すれば、別のチャンネルで頼んだときにもその習慣が反映されます。一方、非公開チャンネルだけで通じるルール(このチャンネルの担当者は誰か、など)は、そのチャンネルのメモリにとどまり、他のチャンネルには漏れません。どちらに保存すべきか迷ったら、「他のチャンネルでも当てはまる話か」を自問すると判断しやすくなります。
明示的に覚えさせる
Claudeは作業中に気づいたことを自分で覚えることもありますが、確実に定着させたいルールは、こちらから明示的に伝えるのが確実です。
メモリは会話の記録ではなく、要点だけを残す覚え書きです。 長い説明をそのまま書き込むより、守ってほしいルールや繰り返し使う判断基準だけを短くまとめるほうが、あとで役に立ちます。長い手順書は、Claudeが読めるドキュメントやリポジトリに置いて、チャンネルではその場所を伝える形のほうが向いています。
覚えていることを確かめ、間違いを直す
メモリは一度書いたら終わりではありません。チャンネルの状況は変わっていくので、時どき見直す習慣が要ります。
間違ったことや古くなったことが記録されていたら、その場で直すよう伝えます。訂正して終わりにせず、「この修正を今後の記憶に反映して」と付け加えると、同じ間違いが繰り返されにくくなります。数週間前に書いた覚え書きが、担当者の異動やツールの変更で古くなっていることもあるので、月に一度など、チャンネルの棚卸しのタイミングを決めておくと安心です。
メモリと指示、どちらを使うか
メモリのほかに、管理者があらかじめチャンネルに設定しておく「指示」という仕組みもあります。両者は役割が違います。メモリは会話の中で試しながら育てていく覚え書きで、誰でも書き足せます。指示は管理者があらかじめ決めておく、より重みのあるルールで、新しいスレッドが始まるたびに必ず読み込まれます。試験的なルールはメモリに、絶対に守ってほしいルールは指示に、という使い分けが基本です。指示の設定は管理者の権限に関わるため、詳しくは最後のレッスンで扱います。
やってみよう
演習1:自分のチャンネルなら何を覚えさせるか
自分のチームのチャンネルで、Claudeに一度だけ伝えれば以後ずっと守ってほしいルールを1つ考えてください。「remember for this channel:」に続けて、一文で書いてみましょう。
演習2:ワークスペース全体に効かせるべきか
演習1で考えたルールは、そのチャンネルだけのものですか。それとも、他のチャンネルにも共通して当てはまる話ですか。後者なら、公開チャンネルからワークスペースメモリとして保存する価値があります。理由も含めて考えてみましょう。
今日のまとめ
3行で振り返ります。
- メモリは人ではなくチャンネルに属し、公開チャンネルからはワークスペース全体に効くメモリも保存できる
- 「remember for this channel」と明示的に伝えると、要点だけが覚え書きとして残る
- メモリは定期的に確認・訂正する。訂正した内容は「今後に反映して」と伝えると定着する
次のレッスンでは、この覚えた文脈をふまえて、1つの仕事をどう頼めばうまくいくかを扱います。
セルフチェック
1. Claude Tagのメモリについて正しい説明はどれですか。
2. 非公開チャンネルでのメモリの扱いとして正しいものはどれですか。
3. メモリの運用として、本文で勧めている習慣はどれですか。