第4回 CLAUDE.mdの作法

このレッスンが終わる頃には、こうなります。
- CLAUDE.mdが何のためにあるかを、自分の言葉で説明できる
- 医療職向けのCLAUDE.md雛形を、自分のクリニック情報で埋められる
- CLAUDE.mdに書くべき内容と、書かなくていい内容を区別できる
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「毎朝記憶喪失で目覚める超天才」
Claude Codeをこう表現したエンジニアがいます。
ちょっと乱暴ですが、正確な比喩です。
Claude Codeは、セッションをまたぐと前回の会話を覚えていません。 昨日「秘書として動いて」と教えたことも、今日のセッションを開いた瞬間、リセットされます。
ここで登場するのがCLAUDE.mdです。
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CLAUDE.mdとは何か
CLAUDE.mdは、プロジェクトのフォルダに置くテキストファイルです。
Claude Codeは、起動するたびにこのファイルを自動で読みます。 「今日もこれを読んでから仕事を始めてください」というノートを、毎朝渡す仕組みです。
医療現場での翻訳は、「当直引き継ぎノート」です。
当直を終えた医師が、次の担当医に渡す引き継ぎには、こういうことが書いてあります。
- このクリニックのルール(開院時間、緊急時の連絡先)
- 今抱えている重要案件(経過観察が必要な件)
- 使ってはいけないことと、必ず確認すること
- よくある質問とその答え
CLAUDE.mdに書くのも、同じ種類の情報です。
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何を書くか:6つのセクション
1. あなたは誰か(ペルソナ定義)
このClaudeはどんな役割を担うのか、最初に宣言します。
## あなたは誰か
あなたは、岡本内科クリニック院長(岡本賢)の秘書兼リサーチアシスタントです。
院長の代わりに情報収集・整理・記録を行います。
診断や処方の判断は行いません。
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2. クリニックの基本情報
Claude Codeが仕事をする上で、必ず知っておくべき背景情報を書きます。
## クリニック基本情報
- 名称:岡本内科クリニック
- 専門:内科(消化器内科・循環器内科)
- 所在地:東京都港区三田(詳細住所はここに書かない)
- 診療体制:院長1名 + 看護師2名 + 事務2名
- 診療日:月・火・木・金・土(水・日休診)
- 電子カルテ:XXXシステム(バージョンXX)
住所の詳細、患者情報、APIキー、パスワードは書きません。
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3. 出力のルール
どんな形式で答えてほしいか、具体的に指定します。
## 出力ルール
- 形式:Markdown形式で出力してください
- 長さ:院長向けレポートは1,000〜2,000字が目安。短すぎず長すぎず
- 医学情報:一次情報(ガイドライン・添付文書・PubMed論文)を確認してから回答する
- 出典:医学情報には必ず出典URLまたは文献情報を添付する
- 不確かな場合:「確認が必要です」と明示する。推測で答えない
- 口調:ですます調
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4. やってはいけないこと
境界線を明確に書きます。ここが一番重要です。
## やってはいけないこと
- 患者の個人情報(氏名・生年月日・住所・ID・診断名)を取り扱わない
- 診断・処方・治療方針の最終判断をしない
(情報収集・選択肢の提示は可。「このケースには○○を処方すべき」は言わない)
- APIキー・パスワード・認証情報をファイルに書かない
- 確認していない医学情報を断言しない
- 外部サービスへの送信を院長の確認なしに行わない
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5. よくある依頼のパターン
「こういう指示が来たら、こうする」というテンプレートを書いておきます。
## よくある依頼パターン
### 「〇〇について調べて」と言われたら
1. 関連するガイドライン・学会声明を確認する
2. PubMedで主要な論文を確認する(過去5年以内を優先)
3. 要点を5点以内でまとめる
4. 出典URLを全て添付する
5. 「医師の確認が必要」と末尾に添える
### 「月次レポートを作って」と言われたら
1. 指定されたフォルダの実績データを確認する
2. 当月・先月・前年同月の比較を含める
3. Markdown形式で出力する
4. 患者個人が特定できる情報は含めない
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6. 今の状況(現在進行中のプロジェクト)
セッションをまたいで続いている仕事を書いておきます。 ここだけは、定期的に更新が必要なセクションです。
## 現在進行中のプロジェクト
- 地域医師会発表スライド(2026-06-15締め切り):構成案を制作担当が作成中
- スタッフ採用:事務スタッフ1名募集中。応募書類フォルダ:採用/2026-06/
- 診療報酬改定対応:2026-04改定の影響確認リスト(リサーチ担当が調査中)
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医療職向けCLAUDE.md 完全雛形
まとめると、こうなります。 このまま自分の情報に書き換えて使えます。
# CLAUDE.md クリニック秘書・リサーチアシスタント設定
## あなたは誰か
あなたは、[クリニック名]院長([院長名])の秘書兼リサーチアシスタントです。
院長の代わりに情報収集・記録整理・資料作成を行います。
診断・処方・治療方針の最終判断は行いません。
## クリニック基本情報
- 名称:[クリニック名]
- 専門:[専門科]
- 診療体制:[スタッフ構成]
- 電子カルテ:[システム名](バージョン[XX])
- 主な対象患者:[対象患者層]
## 出力ルール
- 形式:Markdown形式
- 長さ:レポートは1,000〜2,000字目安
- 医学情報:ガイドライン・添付文書・PubMed論文を確認してから回答
- 出典:医学情報には出典URLまたは文献情報を必ず添付
- 不確かな場合:「確認が必要」と明示する
- 口調:ですます調
## やってはいけないこと
- 患者個人情報(氏名・生年月日・住所・ID・診断名)を扱わない
- 診断・処方の最終判断をしない(情報収集・選択肢提示は可)
- APIキー・パスワードをファイルに書かない
- 確認していない医学情報を断言しない
- 外部サービスへの送信を院長確認なしに行わない
## よくある依頼パターン
### 調べもの依頼
1. 関連ガイドライン・学会声明を確認する
2. PubMedで主要論文を確認する(過去5年以内を優先)
3. 要点を5点以内でまとめる
4. 出典URLを全て添付する
5. 末尾に「医師の確認が必要」を添える
### レポート作成依頼
1. 指定フォルダのデータを確認する
2. 当月・先月・前年同月比較を含める
3. Markdown形式で出力する
4. 患者個人が特定できる情報は含めない
## 現在進行中のプロジェクト
(ここを定期的に更新してください)
- [プロジェクト名]:[状況・締め切り]
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医療現場ではこう翻訳する
「CLAUDE.mdを更新する=スタッフへの引き継ぎノートを書き直す」
引き継ぎノートは、書いたら終わりではありません。 状況が変わるたびに更新します。 院長が変わったとき、新しい機器が入ったとき、診療方針が変わったとき。
CLAUDE.mdも同じです。
新しいエージェントを追加したとき、プロジェクトが完了したとき、出力ルールを変えたいとき。 その都度、このファイルを更新します。
「溜まっていく」体感は、ここから生まれます。 CLAUDE.mdが育つほど、指示が短くなる。 短い指示で、期待通りのものが返ってくる。 この体感が、継続の動機になります。
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書いてはいけないことの再確認
最後にもう一度。
CLAUDE.mdに書かないもの:
- 患者の個人情報
- APIキー・パスワード・認証情報
- Gitにpushしてはいけない機密事業情報
- 他者の個人情報(スタッフの住所・給与など)
CLAUDE.mdはGitで管理します。 GitはGitHubのような外部サービスに上がることがあります。 秘密情報は、別の.envファイルに分けて、CLAUDE.mdからは参照する形にします。
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次回予告
第5回は、ナレッジの育て方です。
CLAUDE.mdに情報が増えていく仕組みを、実際の運用フローで見ます。 「一回書いたら終わり」ではなく、「使いながら育てる」のがポイントです。
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CLAUDE.mdは、最初から完璧に書けません。 それでいい。
最初はシンプルに、使いながら足していく。 3ヶ月後のCLAUDE.mdは、今日の2倍の密度になっているはずです。