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教える相手の説明書を先に作る

  • レッスン 2
  • 12分

このレッスンで

終わる頃には、次ができるようになります

  • 教える相手の説明書に必要な4つの要素を挙げられる
  • AIとの対話を使って、説明書を短時間で言語化できる
  • 説明書を後続の教材づくりで使い回す利点を説明できる

前のレッスンでは、教え方の入り口は4つある、という話をしました。入り口を決めたら、次にやることがあります。教える相手の説明書を作ることです。

スライドを作り始めてから「そもそも誰に向けた研修だったか」が揺れることがあります。前半は初心者向けの丁寧な説明なのに、後半は経験者向けの応用に飛んでしまう。演習の難易度が、参加者の実態と合っていない。こうしたずれの多くは、教材を作り始める前に対象を言語化していないことが原因です。

説明書に必要な4つの要素

教える相手の説明書は、長い文書である必要はありません。次の4つが埋まっていれば十分です。

対象

誰に教えるか。職種、経験年数、AIを使った経験の有無

前提

すでに知っていること。逆に、説明が必要な前提知識は何か

制約

使える時間、使えるツール、扱ってよい情報の範囲

目標

研修が終わったとき、参加者が何をできるようになっていてほしいか

教える相手の説明書:4つの要素

この4つは、演習の難易度を決めるときにも、スライドの説明の丁寧さを決めるときにも、毎回立ち返る基準になります。


一度作れば、次の教材づくりでも使い回せる

説明書を作る一番の利点は、一度きりで終わらないことです。同じ対象に向けて2回目、3回目の研修を企画するとき、あるいは配布資料やクイズを作るときにも、この説明書をそのまま貼り付けて使えます。

たとえば、人事部の研修担当が、経理部に配属されたばかりの新入社員5名向けに、AI活用の新人研修を任されたとします。説明書を埋めると、次のようになります。

対象は、入社半年以内の経理部員5名で、AIチャットはほとんど使ったことがない人たち。前提は、Excelでの伝票処理には慣れているが、AIに文章や表を作らせた経験はほぼない。制約は、研修時間は60分、使ってよいツールは社内で契約済みのAIチャットのみ、実際の取引先名や金額は演習に使わない。目標は、研修後、1人で経費精算の案内文をAIと一緒に下書きできるようになること。

この4行を先に書いておくだけで、スライドの難易度も、演習で使う題材も、あとで迷わず決められます。この説明書は、この研修の資料だけでなく、経理部向けの2回目の研修や、別の新人向けクイズを作るときにも、そのまま使い回せます。

説明書を使い回す前と後

毎回ゼロから説明する場合

スライドを作るたびに「経理部の新人で、AIはほとんど使ったことがなくて、時間は1時間しかなくて…」と一から状況を伝える。伝え忘れが起き、教材ごとに難易度がぶれる。

説明書を貼り付ける場合

一度作った説明書をそのまま貼り付けて「これを踏まえて演習を3つ考えて」と頼む。前提が毎回同じ水準で反映され、教材同士のトーンもそろう。


AIとの対話で言語化する

説明書は、白紙のフォーマットを1人で埋めるより、AIとの対話を通じて言語化するほうが早いことがあります。自分の中では漠然としている「この研修で何を目指しているか」を、質問に答える形で整理できるからです。

説明書づくりに使う頼み方
これから社内研修を1つ企画します。対象・前提・制約・目標の4つを、
私に質問しながら一緒に言語化してください。

【今分かっていること】
対象:〔部署・職種・人数など、分かる範囲で〕
研修時間:〔時間の目安〕
この研修をやろうと思った理由:〔きっかけや背景〕

この4項目を、私が答えやすい質問を1つずつ投げる形で埋めていってください。

質問に答えていく形式にすると、思いつかなかった制約や、漠然としていた目標がはっきりしてきます。たとえば「研修時間は60分」とだけ答えたつもりが、質問に押されて「実際は最初の10分が自己紹介に取られるので、演習に使えるのは実質35分」まで具体化される、ということがよく起きます。できあがった説明書は、そのまま次のレッスン以降の演習設計や評価設計でも使う材料になります。

注意

説明書に書かないこと

説明書には、参加者個人を特定できる情報(氏名、所属の詳細、評価につながる個人の弱点など)を書き込まないでください。対象は「経理部の新人、5名」のように属性で書けば十分です。


やってみよう

演習1:自分の次の研修の説明書を埋める

次に予定している(または想定する)研修について、対象・前提・制約・目標の4つを、それぞれ1〜2文で書き出してみてください。書けない項目があれば、それが今いちばん詰め切れていない部分です。

演習2:AIとの対話で埋め直す

演習1で書いた内容を土台に、このレッスンの頼み方の例を使ってAIと対話し、同じ4項目をもう一度埋めてみてください。1人で書いたときと、質問に答える形で埋めたときとで、内容にどんな違いが出たかを比べてみてください。


今日のまとめ

3行で振り返ります。

  • 教材を作り始める前に、対象・前提・制約・目標の4つを1枚の説明書にまとめる
  • 説明書は一度作れば、スライド・演習・クイズなど、その後のすべての教材づくりで使い回せる
  • AIとの対話で質問に答えながら言語化すると、漠然としていた目標や制約がはっきりする

次のレッスンでは、この説明書をもとに、現実の仕事に近い演習をどう設計するかを扱います。

セルフチェック

1. 教える相手の説明書に含めるべき4つの要素はどれですか。

2. 説明書を作る一番の利点として、本文が説明しているものはどれですか。

3. 説明書に書き込んではいけないと本文が注意しているものはどれですか。

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