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研修を1回回す

  • レッスン 6
  • 13分

このレッスンで

終わる頃には、次ができるようになります

  • 研修を準備・進行・演習・持ち帰りの4段階で組み立てられる
  • 限られた時間の中で、説明と演習の配分を決められる
  • 研修の最後に、参加者に1つの約束を持ち帰らせる意図を説明できる

ここまでの5回で、教え方の入り口、教える相手の説明書、演習の設計、評価の組み立てを扱ってきました。今回は、それらを組み合わせて、研修を実際に1回最後まで回す流れを見ていきます。

研修を4段階で組み立てる

01

準備

教える相手の説明書をもとに、扱う入り口と演習を決める

02

進行

最初に目的とゴールを短く伝え、説明は要点に絞る

03

演習

現実の仕事に近い題材で、確認と修正のやり取りまでやらせる

04

持ち帰る約束

研修が終わったあと、実際に試す1つのことを決めてもらう

研修を1回回す4段階

4段階のうち、時間を最も多く使うべきは演習です。説明を丁寧にしすぎて演習の時間を削ってしまうのは、研修でよく起きる失敗です。


説明は短く、演習を厚く

研修時間が限られているとき、つい説明を丁寧にしたくなります。しかし、AIの使い方は聞くより試すほうが早く身につきます。説明は目的とやり方の要点だけに絞り、残りの時間は演習に回すほうが、研修後に実際に使ってもらえる確率が上がります。

説明中心の進行と、演習中心の進行

説明中心

90分のうち70分を4Dフレームワークの説明に使い、演習は20分だけ。参加者は聞いた話を覚えているうちに実際に手を動かす時間が足りず、次の日には内容を忘れてしまう。

演習中心

90分のうち説明は20分に絞り、残り70分を演習と、その振り返りに使う。参加者は自分の仕事に近い題材でAIとやり取りする経験を持ち帰る。


進行中に起きやすいつまずき

研修を進行していると、いくつか決まったつまずきが起きます。事前に想定しておくと、当日慌てずに対処できます。

参加者のAI経験にばらつきがある

説明書で想定した以上に経験差が出た場合は、演習を個人ではなくペアで進めさせ、経験者が初心者を支える形に切り替える

演習が時間内に終わらない

全工程を終わらせることより、確認と修正を1回でも経験することを優先し、途中で区切って振り返りに移る

AIの出力が期待どおりに返らない

むしろ良い教材になる。なぜ期待と違う答えが返ったかを一緒に考える時間に転用する

質問が特定の1人に集中する

その場で個別に答えず、「全体に共通しそうな質問なので後でまとめて」と保留し、進行を止めない

進行中に起きやすいつまずきと対処

注意

時間管理は事前に決めておく

演習の時間が延びそうになったとき、その場で判断すると進行全体が崩れます。「演習は何分で必ず区切る」というルールを、準備の段階で決めておいてください。


持ち帰る1つの約束で締める

研修の最後は、感想を聞いて終わるのではなく、参加者が実際に試すことを1つだけ決めてもらう時間で締めます。多くを約束させるより、1つに絞るほうが実行に移されやすくなります。

約束の書かせ方

ただ「何か試してみてください」とだけ伝えても、約束は具体性を欠いたまま終わります。研修の最後の数分は、次の3点を埋める形で書かせます。

  • 何を試すか(自分の業務の中の、具体的な1つの場面)
  • いつまでに試すか(来週の会議までに、など期限を区切る)
  • うまくいったかをどう判断するか(かかる時間が半分になったら成功、など)

付箋でも、共有のフォームでも構いません。その場で回収できる形にしておくことが大事です。頭の中で「やってみよう」と思っただけの約束は、翌日には忘れられます。

その後の追いかけ方

研修が終わった時点で放置せず、書いた本人に短く追いかける仕組みを作っておくと、実行される割合が上がります。

たとえば、研修の1週間後に「先週書いた約束、試してみましたか」という短いメッセージを、チャットやメールで一斉に送るだけで十分です。返信を強制する必要はなく、思い出すきっかけを与えることが目的です。返信があった人には、うまくいった点をひとこと聞き返し、次の研修で使える実例として蓄えていきます。

月1回の社内勉強会のように継続的な場があるなら、次回の冒頭5分を「先月の約束、どうなりましたか」という共有の時間にあてる方法もあります。追いかける仕組みがあることを研修の最後に伝えておくと、参加者は約束をあいまいなままにせず、実行可能な形で書くようになります。

一度きりの研修で、この先追いかける場がない場合でも、本人のカレンダーに「約束を試す日」の予定を自分で入れてもらうだけで、忘れられる確率は下がります。追いかけの手段がないことを理由に、この段階を省略しないでください。


やってみよう

演習1:研修の時間配分を設計する

自分が次に開く(または想定する)研修の時間を、準備・進行・演習・持ち帰る約束の4段階に配分してみてください。演習にどれだけ時間を割けるかを先に決め、残りを進行の説明に回す順番で考えると配分しやすくなります。

演習2:追いかけの一文を書く

研修の1週間後に送る、約束を思い出させる一文を実際に書いてみてください。返信を強制しない、短く、読んですぐ意味が分かる文にすることを意識してください。


今日のまとめ

3行で振り返ります。

  • 研修は準備・進行・演習・持ち帰る約束の4段階で組み立て、時間は演習に厚く配分する
  • 経験差や時間切れなど、進行中に起きやすいつまずきは事前に対処を決めておく
  • 研修の最後は、感想でなく、実際に試す1つの約束を書かせて締める

次のレッスンでは、ここまでの設計をふまえて、自分の分野で何が変わるかを考えます。

セルフチェック

1. 研修の4段階のうち、本文が最も時間を多く使うべきとしている段階はどれですか。

2. AIの出力が期待どおりに返らなかったときの対処として、本文が勧めているものはどれですか。

3. 研修が終わったあと、約束が実行される割合を上げる工夫として、本文が挙げているものはどれですか。

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