まちの読書メモを、自分で確かめられる作品として仕上げます。今回の完成を決め、AIへ任せる仕事と、自分が受け取る結果を整理します。
この回は、しくみを読むことと、実際の結果を確かめる練習を組み合わせます。付属見本はブラウザーだけで保存する一人用の版です。アカウント・データベース・共有は拡張課題として扱います。

練習用の「まちの読書メモ」を開く。見本には追加・読書状況の変更・JSONの書出があります。編集・削除・検索・復元・共有は、依頼文を使って追加する拡張課題です。練習用データを使い、一つのタブで操作してください。
今回の完成を、三つの段階から選ぶ
ここまでの題材を、最後の作品へまとめます。まちの読書メモは、本の題名と短いメモを残し、未読、読書中、読了という状態を見られる道具です。完成を決める前に、誰がどこで使う版なのかを一文にします。一人が自分のブラウザーで使う版と、複数の人が記録を共有する版では、必要な確認が変わります。
最初の段階は、一人用のブラウザー保存です。題名は必須で120字まで、メモは省略できて1000字まで、状態は三つから選びます。一件のidと作成日時を持ち、同じ記録を更新してもidは変えません。データはそのブラウザーへ保存し、別の端末への同期は今回の機能に含めません。
次の段階は、画面を公開URLで使えるようにすることです。公開した画面でも、ブラウザー保存を使う限り記録は端末やブラウザーで分かれます。資料 S31 この段階なら、手元で起動する道具を相手に用意してもらわず、同じ画面を試してもらえます。共有するのはアプリの使い方と画面であり、全員の読書記録ではありません。
読書メモを育てる三つの段階
一人用のブラウザー保存、公開URLでの利用、アカウントと共有する保存先を分けます。どの段階でも、今回の目的と確認結果から完成を決めます。
- 一人用の保存同じ端末・ブラウザーの記録です。
- 公開URLで使うURLで開けても、記録は端末間で同期されません。
- アカウントとデータベース持ち主ごとの許可を含めた共有版です。
さらに進むなら、データベースとアカウントを加えます。記録の持ち主を表すownerIdを扱い、自分の記録への許可と他人の記録への拒否を確かめます。認証と認可は別の役割です。資料 S10 ログインを付けただけで共有版を完成とせず、第9章で作った別の利用者と未ログインの確認も通します。
三つの段階を一度に作る必要はありません。今回選んだ段階に必要な機能を、紙へ一覧にします。登録、一覧で見る、状態を変える、再読み込み後にも読む。更新機能を作った版では、その結果まで確認します。おすすめの本を自動で探す機能や、表紙画像の取得は、基本の一往復が通った後の候補へ回せます。
次に、完成の条件を見える結果へ置き換えます。題名が空なら保存しない。保存の失敗でも書きかけのメモが残る。二回押しても一件だけ増える。メモへ入れたHTMLの文字は実行しない。こう書けば、AIの説明だけでなく自分の操作で確かめられます。条件の数より、答え合わせできることを大切にします。
誰かに試してもらう前に、自分で用意した練習データを使います。試した人へは、まず一件を登録し、状態を選び、一覧へ戻ってもらいます。迷った操作や見つけにくかった文字を控え、その理由を聞きます。ここで得た感想は、その人がその場で試した結果として扱い、多くの利用者の評価へ広げて書かないようにします。
最後に、選んだ段階、できる操作、保存する場所、確認した結果、残った課題を一枚にまとめます。未確認のことがあれば、その範囲を残します。完成は、すべてのアイデアを入れた状態ではありません。今回の目的に必要な一往復を通し、使う人へどこまでできるかを説明できる状態を、本書の完成とします。
一人用の版の受入条件
本の題名とメモを登録し、三つの状態から選べる。
題名の空欄と長すぎる入力を拒否し、入力を残す。
同じブラウザーで再読込後にも記録が残る。
二回押しても一件だけ登録され、メモのHTMLを実行しない。
別端末への同期は、この段階の機能に含めない。
手を動かす順番
- 今回作る段階を一つ選ぶ
- 目的を、操作して確認できる条件へ変える
- 結果と残る課題を一枚へまとめる
AIへ任せる仕事と、自分の判断を決める
AIへの依頼も、最後に整えます。「読書メモを完成させて」だけでは、画面の修正、公開、データの変更まで一つの仕事になってしまいます。目的、対象、期待する結果、変えてよい範囲、確認方法を添えます。機能を一つずつ受け取るようにすると、途中で違いを見つけたときにも、やり直す場所を選べます。
担当を分けるなら、設計を読む人、実装する人、操作して確かめる人という仕事に分けます。同じファイルを同時に書き換える担当を増やすと、片方の変更が失われることがあります。担当ごとに扱う場所と受け渡す成果を決め、全体をまとめる役割を一つ置きます。人数より、仕事の境目を先に決めます。
レビューを別のAIへ頼む場合も、同じ入力と完成条件を渡します。「良い出来ですか」だけでは、何を確かめたか分かりません。「空欄、121字の題名、二回の保存を試し、結果を示してください」と頼めば、見落とした条件を探せます。複数の返答が一致したことだけを、実際の操作や専門家の確認の代わりにはしません。
依頼から、受け取れる結果まで
目的と範囲を決め、実装、操作の確認、結果の判断へ進みます。追加の機能は、確認できた結果から次の依頼として選びます。
- 目的と範囲
- 期待する結果
- AIの作業
- 操作して確認
- 人が受け取る
- 次の一変更
- 別担当のレビューにも、同じ完成条件を渡します。
- 指示文、実行権限、確認結果は別のものとして扱います。
プロジェクトの約束は、短い文書にできます。CodexはAGENTS.mdを読み、グローバルとプロジェクトの指示を組み合わせます。資料 S14 本書の題材なら、今回の機能、題名とメモの制限、同時編集を避ける範囲、確認する操作を書きます。ほかの道具を使う場合は、その道具がどの文書を読むかを公式の案内で確認します。
その文書は、実行権限を強制する設定とは別です。AIが何を読めて、どこを書き換えられるかも確かめます。OpenAIの公式資料は、操作する範囲の制限と、承認の方式を分けています。資料 S15 読書メモの修正に必要な場所を選び、関係のない記録や秘密へ広くアクセスさせない構成を使います。
速さの評価には、自分の仕事の結果を使います。依頼してから画面が出るまでだけでなく、直す時間や確認する時間も含めます。METRの2026年の研究報告も、AIの生産性効果を測る難しさと選択の偏りを説明しています。資料 S16 その数字を自分の作品へ当てはめず、今回の作業でどこが短くなり、どこで手が止まったかを残します。
本番の利用者の記録を扱う段階では、自分だけで正しさを判断できない点も出ます。データへの許可や復元方法が説明できないなら、知識のある人へ確認を頼み、必要な証拠をそろえます。分からないことをAIへ聞くのは役立ちますが、実際の権限や保存結果まで、自動で保証されたことにはなりません。
次に学ぶことは、作った道具の不便から選べます。見た目を直したいならHTMLとCSS、操作を足したいならJavaScript、記録を共有したいなら保存先と認可へ進みます。公式資料へ戻り、一つの変更を試し、結果を確かめます。まちの読書メモを、自分が中身と限界を説明できる小さな道具として育ててください。
最後の仕上げを依頼する
目的は、一人が同じブラウザーで読書メモを残すことです。
対象はこの練習用プロジェクト。データベースと会員登録は次の段階です。
題名120字、メモ1000字、状態三種の条件を守ってください。
空欄、保存の失敗、二回押す操作を確かめ、変更と結果を示してください。
本番へ反映する場合は、対象の版とURLを先に説明してください。
手を動かす順番
- AIへ渡す目的・範囲・期待値をそろえる
- 担当と実行権限を、必要な仕事に合わせる
- 自分の操作で確認し、次に学ぶ一つを選ぶ
演習:自分の作品の受け渡し票を書く
まちの読書メモを初めて使う人へ渡すつもりで、できること、保存先、確認した結果、残る課題をまとめます。実際に公開していない場合は、未公開と記してください。
- 今回選んだ段階と、想定する利用者を一文ずつ書く。
- 正常な操作と失敗時の操作について、確認した結果を記す。
- AIへ任せた範囲と、自分が確認した範囲を書く。
- 次に加える機能を一つだけ選び、その完成条件を作る。
解答例を読む
一人用なら、同じブラウザーで保存と再読込を確かめた結果が中心になります。
共有版なら、本人の許可に加え、他人と未ログインへの拒否が必要です。
確認していない範囲は課題として残し、宣伝の言葉で埋めません。
次の機能も、入力と期待する結果を並べられる大きさへ分けます。
この回で確かめること
- 今回選んだ段階と、想定する利用者を一文ずつ書く。
- 正常な操作と失敗時の操作について、確認した結果を記す。
- AIへ任せた範囲と、自分が確認した範囲を書く。
- 次に加える機能を一つだけ選び、その完成条件を作る。
言葉を引き直す:Vibe Coding用語集 / 具体的な開発操作へ:Claude Code入門