01回目から06回目まで、4つの力を1つずつ見てきました。今回は新しいことを教える回ではありません。オンボーディングガイド作りという1つの仕事を最後まで運びながら、4つの力をつなげて使う回です。
4つの力を、通しで並べる
これまでの5回を、1本の流れにすると次のようになります。
委任力
何を自分がやり、何をAIに任せるかを決める(02回目)
記述力
成果物・プロセス・振る舞いの3種で下書きを頼む(03回目)
評価力
プロダクト・プロセス・パフォーマンスの3軸で確かめ、フィードバックする(04回目)
記述と評価の往復
1回で決めず改善を重ね、最後に自分の判断で統合する(05回目)
倫理的責任
渡す情報を確認し、AI利用の伝え方を決める(06回目)
実際の仕事では、この順番どおりに1回で終わることは多くありません。評価力を使った結果、委任力に戻って任せる範囲を決め直す、というように行き来します。それでも、迷ったときにこの5段階のどこにいるかを意識できると、やり直す範囲を絞り込みやすくなります。
実際にやってみると
オンボーディングガイドで5段階を通しでやると、次のような流れになります。まず委任力で、「構成と文章はAIに任せ、部署固有のルールは自分が事実として渡す」と決めます。次に記述力で、対象読者・形式・参照してほしい業務フロー表を伝え、下書きを1つ作らせます。
返ってきた下書きを評価力で見ると、たとえば手順の順番が実際の運用とずれている、といった問題が見つかります。ここで04回目のフィードバックの4段階を使い、指摘して直させ、自分の指示にも反映させます。1〜2回改善を重ねたら、最後に自分の経験則を1文加えて統合し、渡す前に実際の担当者に事実確認を頼みます。ここまでで、倫理的責任の展開にあたる作業も終わります。
5段階を初めて通したときは、委任力に戻ってやり直す場面が必ず出てきます。それは失敗ではなく、評価力がきちんと働いている証拠です。
演習の進め方
以下の演習は、実際に自分の題材でAIを開きながら進めると効果的です。初めてやるときは、1段階ずつ丁寧に、30分ほどかけて進めることをおすすめします。慣れてくると、この手順は無意識に近い速さでできるようになります。
やってみよう
演習1:4つの力を通しで使う
自分の題材(01回目の演習1で決めたもの、または02〜06回目の演習で書き足してきたもの)を使い、次の5段階を順に進めてください。各段階で、答えを1〜2文で書き留めます。
- 委任力: 何を自分がやり、何をAIに任せるかを一文で決める
- 記述力: 成果物・プロセス・振る舞いの3種を埋めて、実際にAIに下書きを依頼する
- 評価力: プロダクト・プロセス・パフォーマンスの3軸で下書きを確かめ、フィードバックの4段階を書く
- 改善と統合: 少なくとも1回は改善を依頼し、最後に自分の専門知識を加えて完成形を決める
- 倫理的責任: 渡した情報に問題がないかを見直し、AI利用をどう伝えるかを一文で決める
演習2:完了チェックリスト
演習1を終えたら、次の4問に「はい」と答えられるか確認してください。「いいえ」があれば、該当する回のレッスンに戻ります。
- 委任力:任せた範囲について、あとから「ここは自分でやるべきだった」と思う箇所はないか
- 記述力:3種の記述のうち、書かずに済ませた部分があるなら、それでよいと判断した理由を説明できるか
- 評価力:フィードバックの4段階目(自分の指示の修正)まで、実際にやったか
- 倫理的責任:渡した情報と、AI利用の伝え方について、人に説明できる状態になっているか
明日のアクション
自分の仕事にある繰り返し作業を1つ選び、今日の5段階(委任→記述→評価→改善と統合→倫理的責任)を最初から最後まで、実際に通してやってみましょう。オンボーディングガイドでなくても構いません。手順書、週次報告のフォーマット、よくある質問への回答集など、同じ形で当てはめられる仕事であれば何でも構いません。
今日のまとめ
3行で振り返ります。
- 委任力・記述力・評価力・倫理的責任は、順番どおり1回で終わるものではなく、行き来しながら使う
- 迷ったときは、今どの段階にいるかを意識すると、やり直す範囲を絞り込みやすい
- 同じ5段階は、オンボーディングガイド以外の、自分の仕事にある繰り返し作業にもそのまま使える
次のレッスンでは、AIとの関わりを開示する文章と、個人のAI利用方針を書きます。このコースの最終回です。
セルフチェック
1. 本文が説明する、4つの力の実際の使われ方として正しいものはどれですか。
2. 演習1の5段階のうち、「改善と統合」で行うこととして正しいものはどれですか。
3. 演習2の完了チェックリストで、「いいえ」の項目があった場合の対応として本文が説明しているのはどれですか。